「電子契約を訂正することは可能?」
「電子契約を訂正する具体的な方法とは?」
と疑問に感じていませんか。
電子契約は書面契約と同様に訂正ができます。書面契約の場合は訂正印を付与するなどして対応します。一方で、電子契約は物理体に印鑑の押印ができませんので、契約書の再作成・再締結、または、覚書の作成をすることで対応するのが一般的なようです。
当記事では電子契約の訂正方法、訂正時の注意点、電子契約における覚書の作成方法までご紹介します。
電子契約の訂正は可能
電子契約は書面契約と同様に訂正ができます。以下では書面契約と比較した電子契約の訂正方法を解説します。
書面契約の場合の訂正方法
書面契約で文章の変更や誤記などを修正する場合、以下のいずれかの手段を取る場合が多いようです。修正テープなどで修正することは基本的にありません。
- 契約書を再作成する
- 訂正印を押して修正する
- 訂正箇所について覚書を作成する
- 契約自体を破棄して、訂正後の契約内容で再締結する
特に訂正印を使用する方法がメジャーなようです。書類上の訂正箇所を二重性で削除したうえで、正しい文字を追記する手法です。訂正が完了後、契約当事者全員の印鑑を付与することで完了します。
電子契約の場合の訂正手順
多くの電子契約サービスでは、一度合意締結した契約を再度修正・解除できる仕様になっていないようです。
これは電子契約では改ざんができないように電子署名が付与されるからです。電子署名が付与されることで民事訴訟法228条2項にあるような真正性を確保できます。
また、電子契約を修正する場合、書面契約のように印鑑付与など物理的に修正を表す記号を契約書上に付与できません。したがって、電子契約を修正する場合には多くで以下のいずれかの手法が取られる場合が多いようです。
- 契約書を再作成する
- 訂正箇所について覚書を作成する
- 契約自体を終了させて訂正後の契約内容で再締結する
この中で特に実施される仕方は覚書の作成のようです。訂正する場合には、具体的な変更箇所、原契約を特定できる情報などを記載して電子契約を再度作成します。
覚書の作成方法
電子契約を訂正する際によく利用される覚書の作成についてもう少し詳細に解説します。
覚書とは契約を変更するための契約書
そもそも、覚書とは一旦締結した契約を様々な理由から契約内容を修正したり、補填する際に利用される文書です。
覚書と聞くと覚書という語感から法的効力が弱いんじゃないかと誤解をうけますが、法的効力は十分に持たせることができます。契約内容を変更し、変更内容に法的拘束力を持たせる趣旨で関係者双方において締結するのが覚書だからです。
このような趣旨で締結される文書であるため、「変更契約書」と覚書は同一視されています。覚書という名称であるものの、実態は法的拘束力のある合意であるため、契約締結と同様に慎重に締結する必要があるでしょう。
覚書の書式例
書面契約における覚書の書式例は以下の通りです。あくまで書面契約用であるので、電子契約用に修正してご利用ください。
覚書
○○株式会社(以下、「委託者」という)と△△株式会社(以下、「受託者」という)は、両当事者間で締結された2018年1月1日付業務委託契約(以下、「原契約」という)に関し、以下のとおり合意する。
第1条(委託料の変更)
原契約第3条に定める委託料「月額90万円(消費税別)」を「月額100万円(消費税別)」に変更するものとする。
第2条(変更の効力発生日)
前条の委託料の変更は2020年2月分の業務より適用されるものとする。
第3条(原契約の適用)
本覚書に定めのない事項については原契約の定めに従うものとする。
本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、各当事者が記名押印のうえ、各1通を保有する。
令和xx(20xx)年1月1日
委託者 東京都xxxxxxxxx
○○株式会社
代表取締役xxxx 印
受託者 東京都xxxxxxxxx
△△株式会社
代表取締役xxxx 印
覚書作成時の注意点
契約内容を変更するための覚書は原契約と一体として機能するものです。したがって、原契約の内容を踏まえた上で修正をする必要があります。電子契約における覚書作成時の注意点は以下の通りです。
原契約を特定する必要がある
再締結しようとしている覚書がどの契約を保管するものであるのか特定し、覚書上に明記する必要があります。少なくても以下の情報の明記が必要です。
- 当事者
- 日付
- 契約名 など
また、原契約上に「契約の変更は両当事者の権限ある者が押印した書面による」などの条項がある場合には、該当の条項を元に変更する旨の記載も必要になるでしょう。
契約の変更内容を明記する必要がある
原契約のうちどの個所を変更するのか明記する必要があります。原契約の一部を変更すると関連する他契約や業務に影響を与える場合がありますので、必要に応じて関連する他条項の修正も必要です。
また、原契約上の文言の定義と覚書上の用語の定義は統一したほうが、読み手の誤解を生まないのでよいです。
原契約と覚書の用語の定義が同一である場合には、覚書の冒頭で「原契約で定義した語は本覚書においても同様の意義を有するものとする」などを記載しておくとよいでしょう。
変更時期を明記する必要がある
覚書による原契約の変更がいつから適用されるか明記する必要があります。
書面契約用のテンプレートは電子契約用に変更する必要がある
上述で紹介した覚書テンプレートのように、インターネット上にはテンプレートが多数存在しますが、書面契約用のテンプレートの場合には注意が必要です。
例えば、以下は書面契約固有の文言ですので、電子契約にテンプレートを利用する場合には修正が必要になります。
- 書面
- 押印
書面とは基本的に紙を指し示すため、ファイルなどの表現に変更が必要です。また、電子契約には物理的に印鑑の押印はできませんので、電子署名などの表記に変更する必要があります。
まとめ 契約を修正する時は注意しよう
電子契約を訂正することは可能です。ただ、書面契約と比較すると印鑑の押印ができませんから、訂正方法が限定されます。したがって、電子契約に合わせた訂正する必要があるでしょう。
また、電子契約を訂正する際に一般的に使用されるのは覚書のようです。訂正箇所を記載した覚書を相手方と締結することで訂正を実施しています。電子契約サービスであれば覚書などの多数の契約書締結に使用ができますから、訂正をするときに柔軟に対応ができます。
電子契約サービスを導入することで契約業務を効率化してきましょう!