電子契約活用ガイドラインとは?建設業法など関連する記載も併せて解説!
電子契約活用ガイドラインとは?建設業法など関連する記載も併せて解説!

電子契約活用ガイドラインとは?建設業法など関連する記載も併せて解説!

「網羅的に電子契約について知りたい」

と考えていませんか。

国土交通省やJIIMA(公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会)から電子契約サービス活用時の疑問点や課題を解消するためのガイドラインが公表されています。

ガイドラインを参照することで網羅的に電子契約サービス活用について知れる一方で、内容量が多いことから、読み進めるのは中々大変です。

そこで当記事では、各団体が公表しているガイドラインの内容をポイントのみに絞って紹介します。

目次

電子契約ガイドラインとは?

電子契約ガイドラインとは?

以下2つの団体によって発行される、電子契約活用のためのガイドラインがよく利用されているようです。

ガイドライン名 発行主体 ガイドラインの目的
電子契約活用ガイドライン JIIMA(公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会) 電子契約活用に向けて、電子契約にまつわる情報を網羅的に掲載し提供する
建設工事の電子契約についての解説  「建設業法施行規則第 13 条の 2 第 2 項に規定する  『技術的基準』に係るガイドライン」の解説 国土交通省総合政策局建設業課 建設工事の請負工事で利用する電子契約について、安全に契約締結する際のポイント網羅的に掲載し提供す

以下では、上記で紹介したガイドラインのポイントを解説していきます。

JIIMAによるガイド

JIIMAによるガイド

JIIMAによるガイドラインでは、電子契約全般について解説しています。JIIMAによる電子契約ガイドラインを読むことで、電子契約サービス導入時に最低限必要な知識を網羅的に得られるでしょう。

電子契約の定義

ガイドラインに記載された電子契約の定義は以下の通りです。

電子的に作成した契約書を、インターネットなどの通信回線を用いて契約の相手方へ開示し、契約内容への合意の意思表示として、契約当事者の電子署名を付与することにより契約の締結を行うもの。

電子情報であるとはいえ、電子契約は税法上の国税関係書類に該当するため、各種税法に準じた対応が必要です。

また、取引情報を電子的に授受するため、電子契約は電子取引に含まれる1つの手段と考えられる点に留意ください。電子取引固有で順守が求められる電子帳簿保存法電子取引要件などがあります。

電子契約では、書面の押印や手書き署名の代わりに電子署名や電子サインを利用します。この二つの手法は、認証方法や利用される技術により区分され、係争時の信頼性などに影響を与える為、違いを理解しておきましょう。

電子契約で利用する電子署名・電子サインとは

まず、ガイドライン上の電子サインと電子署名の違いを紹介します。

電子サインとは、第三者による認証を要せず導入しやすい点にメリットがあります。一方で、電子署名は第三者による本人認証や高度な暗号技術要素が加わるため、文書の真正性が高い点が特徴的です。

次に電子署名が付与された電子文書の法的有効性を解説します。電子署名が付与された電子文書が書面と同等に法的効力を期待できることは、電子署名法第2章に記載があります。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

したがって、本人性が担保された電子署名を電子文書に付与した場合、その電子文書は法的に有効であると解釈できるでしょう。

電子契約の運用のポイント

電子契約の運用のポイント

ガイドラインに記載された電子契約を利用する場合に検討が必要なポイント例は以下の通りです。

契約相手に応じた本人性の確認

対企業である場合、無権代理を阻止するために署名者自身が法人代表から契約締結権を受けている本人であるか確認するのが一般的です。

一方で、対個人の場合、本人確認の審査時に契約が重要か否かにより、以下のように対応を変えるのも1つの手です。

  • 重要な契約の場合:住民票+印鑑登録証明書などの確認を推奨
  • 重要な契約以外は、運転免許証コピーなどを確認

契約相手が誰なのか、また、契約の重要性により本人性確認のフローを調整しましょう。

既存システムとの連携

ユーザID/PWをシステムと連携し、SSOでログイン可能にするなど、既存のシステムと電子契約サービスを連携させることで業務の効率化が図れます。したがって、契約予定/済みのサービスの既存システムとの連携の検討が必要です。

特に昨今では電子契約サービス単体では電子帳簿保存法対応など法対応が難しい場合があるため、電子契約サービス上で契約を実施し、電子ファイルを法対応可能なシステムへ電子ファイルの自動連係保存などができると運用上よいです。

相手方への説明と同意

導入した電子契約サービスのタイプによっては、電子証明書の発行やアカウントの発行など、導入時に相手方に負荷を与える場合があります。したがって、相手方への電子契約サービス導入のメリットや、導入方法を丁寧に説明する必要があるでしょう。

訴訟リスクへの対応

電子署名が付与された電子文書が法的に有効であるとは言え、電子文書の保存方法により電子文書の係争時の信頼性に差があります。

例えば、タイムスタンプが付与されたものは係争時信頼性がより高いと考えられますし、立会人型の電子契約サービスを利用した方が当事者型を利用するより係争時の信頼性は高いと考えられます。

保存する予定の文書にどの程度の訴訟リスクを見込むかによって保存方法の検討が必要です。

国土交通省による建設工事向けのガイド

国土交通省による建設工事向けのガイド

建設工事の請負契約を電子契約により実施した際に「省令第 13 条の 2 第 2 項」に規定する「技術的基準」を満たす必要があります。ただ上記の条文を読んだだけでは、具体的な技術的要件がわかりにくい点が課題です。

そこで、国交省によるガイドラインでは、この技術的要件をわかりやすく解説しています。

建設工事の請負契約で電子契約を利用できる法律的な理由

契約書の中には契約書の交付が原則書面のものがあります。建設工事の請負契約も原則、書面交付の契約書です。

しかし、国交省のガイドライン上に記載のある建設業法第19条を見ると、相手方の了承を得た場合に契約書の電子化が認められると確認できます。

建設工事の請負契約の当事者は、(中略)当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。

建設工事の請負契約で電子契約を行うための法的要件

国交省のガイドラインによると、建設工事の請負契約で電子契約を行うための法的要件は以下の通りです。

  • 原本性の確保
  • 見読性の確保
  • 本人性の確保

原本性の確保

ガイドラインの、「原本性の確保について(規則第 13 条の 2 第 2 項第 2 号関係)」には原本性の要件が記載されています。記載は以下の通りです。

原本性の確保について(規則第 13 条の 2 第 2 項第 2 号関係)  建設工事の請負契約は、一般的に契約金額が大きく、契約期間も長期にわた る等の特徴があり、契約当事者間の紛争を防止する観点からも、契約事項等を 記録した電磁的記録の原本性確保が重要である。このため、情報通信技術を利 用した方法を用いて契約を締結する場合には、以下に掲げる措置又はこれと同 等の効力を有すると認められる措置を講じることにより、契約事項等の電磁的記録の原本性を確保する必要がある。

つまり、原本性を確保するためにシステム上で対応措置をとる必要があります。ガイドラインに記載された対応は以下の通りです。

(1)公開鍵暗号方式による電子署名   情報通信の技術を利用した方法により行われる契約は、当事者が対面して 書面により行う契約と比べ、契約事項等が改ざんされてもその痕跡が残らな いなどの問題があり、有効な対応策を講じておく必要がある。  このため、情報通信の技術を利用した方法により契約を締結しようとする 場合には、契約事項等を記録した電磁的記録そのものに加え、当該記録を十 分な強度を有する暗号技術により暗号化したもの及びこの暗号文を復号す るために必要となる公開鍵を添付して相手方に送信する、いわゆる公開鍵暗 号方式を採用する必要がある。

まず、公開鍵暗号方式により文書の本人性および非改ざん性の証明が必要です。公開鍵暗号方式を採用する場合、本人性をより強固に証明するために電子証明書を発行します。ガイドラインに記載された電子証明書に係る要件は以下の通りです。

(2)電子的な証明書の添付   (1)の公開鍵暗号方式を採用した場合、添付された公開鍵が真に契約を しようとしている相手方のものであるのか、他人がその者になりすましてい ないかという確認を行う必要がある。  このため、(1)の措置に加え、当該公開鍵が間違いなく送付した者のも のであることを示す信頼される第三者機関が発行する電子的な証明書を添 付して相手方に送信する必要がある。この場合の信頼される第三者機関と は、電子認証事務を取り扱う登記所、電子署名及び認証業務に関する法律(平 成 12 年法律第 102 号)第 4 条に規定する特定認証機関等が該当するものと考 えられる。

つまり、電子署名法第4条~14条に規定された要件を満たす認証事業者が発行する電子証明書を取得し、相手方に送付する必要があります。

(3)電磁的記録等の保存  建設業を営む者が適切な経営を行っていくためには、自ら締結した請負契 約の内容を適切に整理・保存して、建設工事の進行管理を行っていくことが 重要であり、情報通信の技術を利用した方法により締結された契約であって もその契約事項等の電磁的記録等を適切に保存しておく必要がある。  その際、保管されている電磁的記録が改ざんされていないことを自ら証明 できるシステムを整備しておく必要がある。また、必要に応じて、信頼され る第三者機関において当該記録に関する記録を保管し、原本性の証明を受け られるような措置を講じておくことも有効であると考えられる。

また、契約書を適切に保存しなければいけません。保存時、保存した文書の非改ざん性を証明できるシステムを整備する必要があると記載されています。

見読性の確保

ガイドラインの「見読性の確保について(規則第 13 条の 2 第 2 項第 1 号関係)」には見読性の要件が記載されています。記載は以下の通りです。

見読性の確保について(規則第 13 条の 2 第 2 項第 1 号関係)  情報通信の技術を利用した方法により締結された建設工事の請負契約に係 る建設業法第 19 条第 1 項に掲げる事項又は請負契約の内容で同項に掲げる事 項に該当するものの変更の内容(以下「契約事項等」という。)の電磁的記録 そのものは見読不可能であるので、当該記録をディスプレイ、書面等に速やか かつ整然と表示できるようにシステムを整備しておくことが必要である。  また、電磁的記録の特長を活かし、関連する記録を迅速に取り出せるよう、 適切な検索機能を備えておくことが望ましい。

つまり、見読性を確保するために、明瞭かつ速やかにディスプレイ上に建設工事請負契約書などを出力できる必要があります。

本人性の確保

2020/10に建設業法が改正され、原本性、見読性に加えて本人性も要件として加えられています。

(建設工事の請負契約に係る情報通信の技術を利用する方法) 第十三条の四 (略) 2前項に掲げる措置は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない。 一・二(略) 三 当該契約の相手方が本人であることを確認することができる措置を講じていること。

ガイドラインを参照すると、本人性は契約当事者同士で本人確認ができるのであれば要件を満たすと考えられます。したがって、電子証明書を発行する当事者型電子署名、また、立会人型電子署名を付与することで要件を満たします。

まとめ ガイドラインを読んで電子契約サービスを活用しよう!

まとめ ガイドラインを読んで電子契約サービスを活用しよう!

電子契約サービス利用時に各機関から公表されているガイドラインを読むと、網羅的に知見が身につくため、まずはガイドラインの参照をおすすめします。とはいえ、ガイドラインの記載も中々小難しいため、不明点がある場合は随時、当記事や解説サイトを閲覧するようにしてください。

ガイドラインを読みこんで電子契約サービスを有効活用していきましょう!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次