電子契約における原本とは?導入メリットや書面契約との違い、定義を解説!

電子契約における原本とは?導入メリットや書面契約との違い、定義を解説!

電子契約の原本の定義とは?保存時に遵守する法律や保存時の注意点を解説!

「電子契約の場合、原本とは?」

「電子契約の原本の保管条件とは?」

と疑問に感じていませんか。

電子契約における原本とは、最初にかつ確定的に作成されたシステム上の電子署名済みのファイルです。この電子ファイルのコピーは謄本や正本に該当します。

電子契約は税法上の国税関係書類に該当し、電子帳簿保存法電子取引要件にしたがった保存が必要ですので注意ください。

当記事では、電子契約と書面契約の違い、企業間取引で原本が求められる理由、原本の定義について解説します。

目次

書面契約と電子契約の違い

書面契約と電子契約の違い

電子契約における原本について解説する前に、そもそも電子契約と書面契約の違いについて説明させてください。

電子契約とは

電子契約とは、従来書面で行っていた契約業務をオンライン上で実現する契約です。

電子契約サービスを利用することで、契約締結用のURLが記載されたメールを相手方に送付することで契約締結を完了できる場合も多く、契約業務の効率化が期待されています。

電子契約のメリット

電子契約を導入することで以下のメリットが見込まれます。

印紙税削減などコストメリット

以下コストの削減効果が見込まれます。

  • 印紙税の削減
  • 書面契約の保管・管理コストの削減
  • 検索性向上による監査コストの削減 など

特に印紙税は1通あたり2,000円~かかる場合も多いことから、印紙税を削減できるだけでも電子契約サービスを導入した費用を回収できる企業も多いようです。

取引のリードタイムの短縮

郵便法が2021/10に改正され、普通郵便の最短郵送日が翌々日になりました。

したがって、取引リードタイムの長期化が懸念です。加えて、海外企業との契約書のやり取りや業務パートナーとのNDA締結など契約書の修正が多数発生する契約書の場合はさらに長期化する場合があります。

この点、電子契約サービスであれば相手方に契約締結用のURLが記載されたメールを送付することで契約を完了できる製品が多いですので、取引のリードタイム短縮を期待できます。

また、多くの電子契約サービスでは契約書のテンプレート登録機能や複数の取引先へ一括送信機能が搭載されていることから、取引のリードタイムの短縮と同時に契約業務の効率化を見込める点がメリットです。

セキュリティの強化

契約書を保管する場合、契約書の閲覧や持ち出し、修正の履歴情報を管理する必要があります。

書面契約の場合、このような保管履歴を手動または半自動で実施する必要があるため、保管コストが高い点が課題です。加えて、手動で行う以上セキュリティリスクの低下が懸念されます。

一方で、電子契約サービスを利用して契約書の保管を実施する場合、多くのシステムでは契約書別のアクセス制御やユーザー別のIPアドレス制御を自動で実施できるため、保管コストの削減とセキュリティリスクの低減を同時に実現できます。

書面契約との違い

電子契約と書面契約は作成の方法が異なるものの、法的には同等に有効です。電子契約と書面契約の作成方法などの違いは以下の通りです。

書面契約 電子契約
形式 書面 電子データ(PDF)
押印 印鑑と印影 電子署名
本人性の確保方法 印鑑証明書 電子証明書
完全性の担保方法 契約・割印 タイムスタンプ
送付 郵送または持参 電子データの送付
保管 書棚保管 サーバー保管
印紙税の有無 印紙税の課税無 印紙税の課税有

原本とはなにか

原本とはなにか

そもそも電子契約における原本とは何かについて解説します。

電子契約における原本とは

電子契約における原本とは、当事者が合意した際にシステム上に保存され、かつ、電子署名およびタイムスタンプを付与した文書を指します。

仮に当該ファイルがコピーされたとしても、電子署名およびタイムスタンプによって、文書の真実性は担保されることから、複数のファイルが同時に存在してもファイルの内容が同一であることは容易に証明できます。

したがって、タイムスタンプと電子署名が付与してあれば、システム上の複数のコピーされたファイルの中でどれが原本であるかの懸念が不要になります。

法律に基づいた保存・保管が必要

電子契約の原本は税法上の国税関係書類に該当するため、法人税法上などで要求される年月(最低7年、繰越欠損金がある場合は10年)で保存する必要があります。

また、税法上の電子帳簿保存法電子取引要件を満たした保存が必要な点に注意してください。電子帳簿保存法は2022/1に改正され、電子取引に該当する電子契約は必ず電子データとして保存する必要があります。

電子契約をダウンロードして書面契約として保存する手法が認められない場合が多いです。仮に税務調査時に当該の電子契約を電子保存していない旨が指摘された場合、青色申告の承認取り消しなどのリスクがあります。

電子帳簿保存法電子取引要件に求められる要件は以下の通りです。

  • 書類の備え付け(施行規則 第3条 第1項 第3号イ・第5項 第7項第8条 第1項)
  • 見読可能装置の備え付け(施行規則 第3条 第1項 第4号第8条 第1項)
  • 検索機能の確保(施行規則 第3条 第1項 第5号・第5項 第7号第8条 第1項)
  • 真実性の確保(施行規則 第8条 第1項 第1号・第2号 など)

また、書面の契約書を電子化して保存する場合は電子帳簿保存法スキャナ保存要件を満たした保存が必要な点に留意ください。電子帳簿保存法スキャナ保存要件は電子帳簿保存法電子取引要件より要件が多いです。

特に相互関連性の要件を満たすことが困難であるため、書面契約の電子化を検討している場合、電子帳簿保存法スキャナ保存要件を確認した上で導入をご検討ください。

電子契約における原本・謄本・正本とは

書面契約の場合、原本、謄本、正本、写しの概念がありますが、電子契約の場合はどのような整理になるのでしょうか。

結論、電子契約の場合、最初に、かつ、確定的に作成された契約書が原本です。原本をコピーした文書が謄本・正本に該当します。

ここまでの整理をまとめると以下の通りです。

原本 正本・謄本
電子契約 最初に、かつ、確定的に作成された契約書 原本をコピーした契約書

企業間取引では原本が求められる

企業間取引では原本が求められる

そもそもなぜ契約書の原本は求められるのでしょうか。企業間取引において電子契約の原本が求められる場合は以下2つの場合です。

係争時への対応で必要

係争時に裁判所への契約書提出時に原本の提出が求められる場合があります。民事訴訟法規則143条によって、係争時の証拠として契約書の原本の提出が求められるため、原本の保存が必要です。

(文書の提出等の方法)
第百四十三条 文書の提出又は送付は、原本、正本又は認証のある謄本でしなければならない。
2 裁判所は、前項の規定にかかわらず、原本の提出を命じ、又は送付をさせることができる。

また、裁判所へ提出する契約書の形式は法律的に定義されていないことから、現状採用されている電子ファイルをプリントアウトして書面の写しとして提出する必要があると考えられます。

つまり、原本はシステム上の電子契約で問題ないが、裁判所への提出は原本をシステム上からダウンロードし印刷した書面の写しになるということです。

税務調査対応時に必要

電子契約は税法上の国税関係書類に該当することから、税務調査時に提出を求められる場合があります。税務調査においても、原本はシステム上のデータそのものであると考えられています。

以下の平成10年5月28日付国税庁通達「電子帳簿保存法取扱通達の制定について」(令和2年6月23日快晴)の解説を見ると電子ファイルそのものを原本としてみなしてよいことがわかります。

受信データを自己の複数の各業務システムに分割して引き継いでいるような場合は、その 分割前の変換直後のものが保存すべきデータ となる。

原本保存時の注意点

原本保存時の注意点

上記で紹介した以外の電子契約サービス利用時の原本保存時の注意点をご紹介します。

すべての契約書の原本を電子化できるわけではない

書面の契約書を電子化する場合に、書面契約の原本のすべての電子化して保存できるわけではない点に注意が必要です。

例えば不動産業界の一部の契約書では、扱う契約金額の大きさから原本の電子化を法的に禁じています。

例えば以下の契約書の原本の電子化ができません。

【公正証書の作成が必要とされる類型】

  • 事業性貸金契約の保証契約(民法465条の6)
  • 定期借地契約(借地借家法22条) など

【書面交付が必要とされる類型】

  • 宅地建物売買等の媒介契約書(宅建業34条の2)
  • 宅地建物売買等契約における重要事項説明時に交付する書面(宅建業法35条) など

ただし、契約書の写しをシステム上に格納することは許されています。

したがって、契約書の検索性向上など電子契約サービス導入時のメリットの一部を受けられます。

また、上記で原本の電子化ができない契約書の一部を含め、2021/9に施行されたデジタル改革関連法により原本の電子化を許容する動きがあります。契約書の種別によりますが、2022/5までに原本の電子化が可能になる契約書もあるようです。

書面契約の電子化を検討している場合はデジタル改革関連法もあわせてチェックしてください。

クラウド上のログデータが原本とみなされる場合がある

上述で紹介した通り、原本とは最初に、かつ、確定的に作成されたシステム上のデータを指します。

したがって、契約時に契約書に電子署名を付与せず、クラウドシステム上からダウンロード時に電子署名を付与するタイプの電子契約サービスの場合、クラウドシステム上のログデータが原本に該当する点に注意が必要です。

つまり、クラウドシステム上のログデータと謄本・正本相当の契約書ファイルの内容が一致するかはサービス提供事業者の保証能力によります。

仮に利用しているサービス事業者がサービスの提供を中止した場合、システム上の原本となるログデータは失われることになりますので注意が必要です。

事実上のベンダーロックインが発生しますので、電子契約サービスを導入する場合は、電子署名の付与タイミングの確認が必要となるでしょう。

まとめ 電子契約サービスを導入して契約業務を効率化しよう!

まとめ 電子契約サービスを導入して契約業務を効率化しよう!

電子契約における原本とは、最初にかつ確定的に作成されたシステム上の電子署名済みのファイルです。

電子契約の原本は税法上の国税関係書類に該当し、電子帳簿保存法電子取引要件にしたがった保管が必要ですので注意ください。

電子帳簿保存法は2022/1に改正され電子取引に該当する電子契約は基本的に電子ファイルとして保存することになります。

要件を満たした保管をしていない場合、青色申告の承認取り消しのリスクがあると国税庁より公表されていることから、特に注意が必要です。

いくつか注意すべきポイントがあるものの、基本的に電子契約サービスを導入した場合のメリットが勝ります。電子契約サービスを導入して契約業務を効率化していきましょう!

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