電子契約サービス利用時にタイムスタンプは不要?締結日証明含めて解説!
電子契約サービス利用時にタイムスタンプは不要?締結日証明含めて解説!

タイムスタンプを付与していれば契約締結日の記載は不要?具体例を含め解説

「電子契約サービス利用時にタイムスタンプは不要?」

「バックデートに対してタイムスタンプ付与が必要かわからない」

と疑問に感じていませんか。

タイムスタンプはバックデートを直接的に防ぐ効果はないものの、バックデートが不正を意図するものなのか検証する際にタイムスタンプは有効です。

また、電子契約にタイムスタンプを付与することで電子署名の有効日付延長や電子帳簿保存法対応の容易化などを見込めますので付与をおすすめしています。

当記事では、バックデートの概要、バックデートに対してタイムスタンプが有効である理由、タイムスタンプを利用するメリットについて解説をします。

目次

不正なバックデートは私文書偽造罪のリスクがある

不正なバックデートは私文書偽造罪のリスクがある

バックデートだからといって必ずしも不正に該当するわけではありません。しかし、不正を意図したバックデートである場合、私文書偽造罪に該当し、企業の信用を落とす結果になる場合がありますので注意が必要です。

バックデートとは契約締結日のごまかしを指す

バックデートとは実際の契約締結日よりも過去を契約締結日として契約書上に記載されている状況を指します。具体例として例えば以下のような場合が該当です。

  • 4/1に契約締結を実施したが、昨年度の売上実績として計上したいので、契約締結日を3/25日付にして記載をした。

このような状況をバックデートと呼んでいます。上記は明らかに不正を意図したバックデートですが、バックデートの中には不正を意図せず、不正に該当しないものもあるため、見極めが重要です。

契約締結日とは当事者が合意をした日を指す

バックデートの話をするにあたり、契約締結日について正確に理解する必要があります。契約締結日を含め、契約書上にある日付の意味合いは以下の通りです。

契約書上の
日付
意味合い 契約書上での役割
契約締結日 契約関係者全員が
署名を完了した日付
契約書上に特段の記載がなければ、
契約締結日から法的効力が発生
署名欄記載の
日付
契約書に署名をした日付 契約書上に特段の記載がなければ、
契約締結日から法的効力が発生
タイムスタンプ
時刻
契約関係者の中で
最後の人がタイムスタンプを
付与した日付時刻
契約書の存在証明
および非改ざん証明を実施する
効力発生日 契約書の効力が
開始される日付
記載された日付から
契約書に法的効力が発生

上記の日付を用いて以下ではバックデートについて説明をしていきます。

不正なバックデートは私文書偽造罪になる

上述したような不正なバックデートが判明した場合、私文書偽造罪に問われる可能性がある点に留意ください。私文書偽造罪が企業で生じた場合、企業の信用に影を落とす結果になりますので対策が必要になります。

電子契約利用時、タイムスタンプは不要ではない

電子契約利用時、タイムスタンプは不要ではない

上記で紹介した不正なバックデートへの対策としてタイムスタンプの付与が有効です。以下ではタイムスタンプが電子契約においてバックデート対策に有効である理由を紹介します。

タイムスタンプとは何か

タイムスタンプとは電子契約などの電子文書の存在証明と非改ざん証明を行うものです。

電子契約などの電子文書に対しては電子署名が付与されることで真正性が証明されます。しかし、電子署名が証明するのは「誰が」「何に」署名作成したかという情報であるので、「いつ」署名作成したのか証明することは難しいです。

つまり、文書の完全性という意味では不完全な状態にあります。そこで利用されるのがタイムスタンプです。

タイムスタンプを付与することで電子契約に「いつ」署名作成されたかを証明できることで、電子契約の完全性を担保できるのです。

電子契約ではタイムスタンプの付与と契約締結日に併記が一般的

電子契約の場合、書面契約と異なりタイムスタンプを付与して作成できるので、契約書上に契約締結日の記載は不要とも考えられます。なぜなら、タイムスタンプの日付を確認すれば、契約締結日の情報を確認できるからです。

しかし、タイムスタンプの付与日と契約締結日には後述するようにずれが出る場合があります。つまり、タイムスタンプの日時が契約締結日であると必ずしもいえるわけではないのです。

このような背景があり、一般的には契約書上に契約締結日を記載し、かつ、タイムスタンプを付与する運用を取る場合が一般的なようです。

基本的に契約締結日とタイムスタンプのずれは問題にならない

電子契約にタイムスタンプが付与されると、タイムスタンプが付与された時点での日時時刻が電子契約に付与されます。しかし、この時、タイムスタンプの時刻と電子契約上の契約締結日にずれが出る場合があるのです。

このタイムスタンプ時刻と電子契約書上の契約締結日の日付ずれは一見するとバックデートに該当します。しかし、不正なバックデートには該当しませんので注意が必要です。例えば以下のケースが該当します。

  • 2/28に契約締結を完了し、電子契約を作成したが、相手方が繁忙だったこともあり、契約書へのタイムスタンプ付与は3/1になってしまった。

上記のケースであれば、不正を意図していないことは明白です。したがって、この場合、契約締結日とタイムスタンプのずれは不正なバックデートには該当せず、問題になることはありません。

締結日のずれが問題となる場合

一方で問題となりやすいバックデートがいくつか存在します。電子契約において契約締結日とタイムスタンプのずれが問題となりやすいバックデートは以下の通りです。

  • 今期売上計上とするため、実際に合意した日付以前を契約締結日にする。
  • 合意はしているものの、契約締結日から契約書作成日までが相当期間空いている
  • 新代表が着任する前の日付を契約締結日としている
  • 暦上存在していない日付を契約締結日としている

特に問題となりやすいのが、契約締結日のずれが以下のパターンです。

  • 今期売上計上とするため、実際に合意した日付以前を契約締結日にする。

会計監査上でも最も注意深くみられるのが上記の例です。経理や社内の監査上で相手方の承認日付がわかる書類を求められることがあるのは、上記のような不正なバックデートを未然に防ぐ点にあるからです。

タイムスタンプが不正なバックデートを見つけやすくする

上記で紹介したようにバックデートだからといって、必ずしも不正に該当するわけではありません。つまり、発生したバックデートが不正であるかを見極める必要がでてくるのです。

この時、タイムスタンプを活用すると発生した不正なバックデートを検知しやすくなるため、活用がおすすめです。

タイムスタンプは第三者機関が電子契約へ付与するため、タイムスタンプ日時を恣意的・不正的に編集することができません。したがって、発生した不正なバックデートを未然に防止する効果が期待できます。

加えて、恣意的にタイムスタンプ日時を変更できないことで、企業全体で取り扱う電子契約の信頼性向上を期待できる点もメリットです。

つまり、タイムスタンプを電子契約に付与することでコンプライアンス上の大きなメリットを得られるといえるでしょう。

電子契約利用時、締結日証明以外にもタイムスタンプ付与はメリットがある

電子契約利用時、締結日証明以外にもタイムスタンプ付与はメリットがある

電子契約へのタイムスタンプ付与は契約締結日の不正な改ざんを予防するだけでなく、例えば以下のようなメリットがあるため、利用がおすすめです。電子契約利用時のメリット例は以下の通りです。

  • 電子帳簿保存法対応の容易化
  • 文書の完全性の向上
  • 電子署名の有効期限延長

電子帳簿保存法対応の容易化

電子契約は電子とはいえ、契約書ですので各種税法に基づいた保存が必要です。要件を満たして保存すべき法律の一つとして電子帳簿保存法 電子取引要件があります。

電子取引要件の一つに真実性、つまり、電子契約を授受してから改ざんされていないことを証明する要件があります。この要件はいくつか満たす方法がありますが、もっとも簡単に満たす方法がタイムスタンプの付与なのです。

タイムスタンプの付与以外でも要件を満たすことができますが、運用負荷の高さや要件の例外対応の多さが目立つため、対応が難しい点に課題があります。

したがって、タイムスタンプを導入した場合、電子帳簿保存法対応を容易にできるようになる点がメリットといえるでしょう。

文書の完全性の向上

電子契約に限らず電子文書には以下のようなリスクがあります。

  • 文書の改ざんが容易である
  • 文書の複製作成が容易である
  • 文書の作成日時改ざんが容易である

このようなリスクに対応するため、経済産業省では以下の要件を満たした電子契約などの電子文書の作成を推奨しています。

  • 見読性
  • 完全性
  • 機密性
  • 検索性

上記の中の一つ、完全性は以下の要素で成り立っており、完全性を保管する要素としてタイムスタンプによる存在証明、非改ざん証明が有効なのです。

  • 本人証明
  • 非改ざん証明
  • 存在証明

つまり、タイムスタンプを付与することで完全性を強化して電子契約を作成できる点がメリットといえます。

電子署名の有効期限延長

電子署名は電子署名法上で法的効力に対して5年間の有効期限が設けられています。一般的には2-3年程度が電子署名の有効期限として定められることが多いようです。一方で電子契約は法人税法上で7年以上の保存を求められています。

つまり、電子契約に電子署名を付与して作成保存をするだけでは、法人税法上で求められる長期間の保存が難しく、法的効力を維持できないのです。

この課題に対して、長期署名(タイムスタンプ+電子署名)の技術を利用することで法的効力を維持することができます。

長期署名を電子契約に付与することで、電子署名の法的効力を10年、20年と延長していくことが可能です。

電子契約サービス事業者の中にはタイムスタンプを提供していない場合がある

電子契約サービス事業者の中にはタイムスタンプを提供していない場合がある

電子契約利用時、タイムスタンプは契約締結日を証明し、発生するバックデートを未然に防ぐ効果があることに加えて、法対応の容易化などに効果があると紹介しました。

ここまで聞いてタイムスタンプが利用可能な電子契約サービスを導入する場合には、1点問題点があります。それは、大手電子契約サービス事業者の中にはタイムスタンプを提供しない事業者がいることです。

特に外資系の電子契約サービス事業者の場合、日本国内の法律に準拠する意思が弱い場合があり、タイムスタンプを提供していない場合があります。

したがって、電子契約サービス選びの際にはタイムスタンプを利用できるかも一つのポイントになるでしょう。

まとめ タイムスタンプは不要ではない、契約締結日を明確にしよう

まとめ タイムスタンプは不要ではない、契約締結日を明確にしよう

電子契約を利用する際、タイムスタンプを付与は法的に必須ではありません。しかし、発生する不正なバックデートに対応する意味でも契約締結日を明らかにできるタイムスタンプを付与がおすすめです。

タイムスタンプを作成付与することで長期署名が利用できるようになるなど他にも複数メリットがありますので、コストパフォーマンスにはすぐれるでしょう。

ぜひ電子契約サービスを利用する際にはタイムスタンプの有無もご確認ください。

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