電子契約の保存条件とは?電子帳簿保存法など各種法律を含め解説!
電子契約の保存条件とは?電子帳簿保存法など各種法律を含め解説!

電子契約が満たすべき保存の条件とは?法人税法など関連する法律も解説!

「電子契約を保存する際に満たすべき条件とは?」

と疑問に感じていませんか。

契約書は国税関係書類ですので、各種税法に基づいた条件で保存が必要です。もし条件を満たして保存をしていない場合、ペナルティも想定されますので、条件を満たして保存をするようにしましょう。

当記事では、電子契約が満たすべき保存条件や保存時の注意点までを解説します。

目次

電子契約を保存条件に関係する法律

電子契約を保存条件に関係する法律

電子契約を保存する際に確認すべき法律例は以下の通りです。

  • 条件①:電子署名法
  • 条件②:電子帳簿保存法
  • 条件③:法人税法

条件①:電子署名法

電子契約に対して、民事訴訟法228条に記載されているような真正性を証明するためには電子署名の付与が必要です。

電子署名法2条を満たした電子署名を利用する必要がある

電子契約を利用する際に付与する電子署名は電子署名法2条に記載された以下の条件を満たす必要があります。

第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

つまり、上述の電子署名法2条をまとめると、以下の2つの条件を満たした電子署名を付与する必要があるのです。

  • 本人性(たしかに本人の意思によって電子署名を付与したことを証明できること)
  • 非改ざん性(電子署名後、改ざんされていなことが証明できること)

とはいえ、一般的な電子契約サービスであれば、上述の条件を満たした電子署名が提供されている場合が多いですので、そこまで確認するポイントではないかもしれません。

立会人型電子契約サービスを利用して電子署名を付与すると真正性を証明できない?

世界No1シェアのDocuSignが立会人型サービスであることからも、一般的に利用されることが多いのは立会人型の電子契約サービスであるようです。

立会人型電子契約サービスとは、利用者自身は電子証明書を発行する必要はなく、事業者が利用者に代わって電子署名を付与するタイプの電子契約サービスです。

手間とコストをかけることなく電子契約サービスの利用を開始できる点にメリットがあります。

しかし、事業者が代理で電子署名を付与するので、上述で解説した電子署名の1つの条件である”本人性”を満たしていないのではないかと懸念される方も多いです。

立会人型電子契約サービスを利用する場合は固有性の要件を満たす

結論、立会人型を利用しても電子署名を付与しても電子契約の真正性を証明することができます。この旨が2020/7に法務省など3省連名で声明が公表されているのです。

ただし、立会人型を利用する場合には固有性の要件を満たす必要があると同時に公表されています。

固有性の要件とは、一言でいってしまうと「本人性を厳密に証明してね」という要件です。この固有性の要件を満たす一つの方法として、二要素認証の利用が推奨されていますので、システム導入時には利用が可能か確認するとよいでしょう。

電子署名には5年間の有効期限があるため注意

電子署名法施行規則6条で、電子署名の有効期限は5年間に規定されています。

電子証明書の有効期間は、五年を超えないものであること。

したがって、電子文書を5年以上保存する場合には、有効期限の延長が必要です。そこで一般的に長期署名が有効期限延長に利用されています。長期署名とは電子署名にタイムスタンプを付与することで有効期限を延長する技術です。

長期署名を付与することで、理論上は無制限に有効期限を延長することができますので、システム導入時には長期署名をすることができるかどうかも確認ポイントなるでしょう。

条件②:電子帳簿保存法

電子契約は契約データを相手方とやり取りをしていますので、電子帳簿保存法の電子取引の保存条件を満たして保存が必要です。

もし条件を満たさず保存している旨を国税調査時などで指摘された場合、青色申告の承認取り消しのリスクがありますので確実な対応が求められます。

電子取引で求められる保存条件とは

電子取引で求められる保存条件は以下の4つです。

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
  • 見読可能装置の備付け等
  • 検索機能の確保
  • 真実性の確保

2022/1に電子帳簿保存法は改正され、電子取引で求められる条件も全体的に大きく緩和されています。とはいえ、満たすべき保存条件は引き続きありますので、満たすようにしましょう。

検索性の条件とは

検索性の条件では前提条件付きではありますが、最低、主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)で検索することができる必要があります。ただし、国税調査時に税務官によるダウンロードの求めに応じられることが必要です。

とはいえ、税務官が何をダウンロードしろと求めるか不透明であるので、多くの企業では主要三項目に加えて、範囲検索、複数条件検索もすることができるようにして検索性を満たしています。

真実性の要件とは

真実性の条件では以下のいずれかの内で、自社の都合の良い1つの条件を選択して条件を満たします。

  • タイムスタンプが付された後の授受、または、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
  • データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
  • 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

資金力やシステム対応可能な人材に余裕があるのであれば、タイムスタンプの付与による真実性の確保が最も容易で、確実です。一方で、余裕がなければ、事務処理規定による真実性の確保が行われる場合が多いようです。

書面契約を電子化して保存する場合はスキャナ保存条件を満たした保存が必要

書面契約を電子契約化して、電子契約サービス上で保存する場合には電子帳簿保存法スキャナ保存条件を満たして保存をする必要があります。

電子取引条件よりもスキャナ保存条件の方が保存条件において厳しいため、書面契約を電子契約化する際には、保存条件が電子取引条件と違い、異なる点に留意の上、保存条件を確認して保存ください。

条件③:法人税法

法人税法で電子契約は最低7年、繰越欠損金や特例を踏まえると最大11年4か月の保存が必要です。また、上述で解説した電子帳簿保存法電子取引条件も踏まえると、システム上での長期保存が求められます。

したがって、電子契約サービスを導入する際にはシステム上で電子契約の長期保存が可能であるかも確認ポイントとなるでしょう。

電子契約を保存する際の業務上の注意点

電子契約を保存する際の業務上の注意点

電子契約の各種法律に基づいて保存する際に注意点があります。以下では注意点を解説します。

  • 契約によっては電子契約化できない
  • 必ずしも電子契約サービス上で条件を満たす必要はない

契約によっては電子契約化できない

現状、法的にすべての種類の書面契約を電子契約化してよいわけではない点に注意が必要です。

2021/9にデジタル改革関連法が施行されほぼ全ての契約を電子化できるようになった

2021/9に施行されたデジタル改革関連法により、それまで書面契約での締結を義務付けられていた多くの書面契約の電子契約化をすることができるようになりました。

このデジタル改革関連法の中で、48の法律に対して「押印・書面の交付等を求める手続の見直し」が内容に盛り込まれたことで、順次、電子契約化が解禁されたのです。

実際に2022/5には改正宅建業法が施行され、重要事項説明書や不動産売買契約書など多数の契約書の電子契約利用が解禁されています。

一部、書面契約が義務付けられているため注意

しかし、特商法にまつわる一部の契約書や公正証書を求められる契約などは引き続き書面契約での契約締結を求めています。したがって、すべての契約書を電子契約化することができない点に留意が必要なのです。

とはいえ、上述で解説した特商法に関係する契約書などは、電子化に向けて検討を進めています。今後、電子契約化できる可能性は十分にありますので引き続きの確認が必要です。

必ずしも電子契約サービス上で条件を満たす必要はない

電子帳簿保存法や法人税法などで求められる保存条件に対して、電子契約を作成した電子契約サービス上で満たす必要はありません。以下では保存条件をみたす場所について解説をします。

他システムに電子契約を移動させて条件を満たしてもよい

電子帳簿保存法や法人税法で求められる保存条件は電子契約サービスから電子契約をダウンロードして、他システム上で求めても問題はありません。

電子契約サービス上で保存をすると導入するサービスによっては、保存量に応じた従量課金になる場合もあり、長期保存をしようとすると想定以上にコストがかさむ場合もあります。

したがって、電子契約サービスから電子契約をダウンロードして、文書管理ツール上などで、請求書など他帳票と合わせて一元管理するケースも多くあるのです。

電子契約サービスからダウンロードことで利用できなくなる条件もあるので注意

電子帳簿保存法電子取引条件では、システム上で生成した帳票をダウンロードして、他システムに移動させて保存条件を満たす場合に、真実性の要件で訂正削除履歴の担保による対応を認めていません。

このように電子契約サービスから電子契約をダウンロードして他システム上で保存条件を満たそうとすると、一部の法律では制約が出る場合があります。したがって、他システムに移動させて対応する場合には一度所轄の税務署に相談すると良いです。

まとめ システムを導入して条件を満たして保存をしよう

まとめ システムを導入して条件を満たして保存をしよう

電子署名法、法人税法、電子帳簿保存法など電子契約を保存する際に確認が必要な法律がありますので、確実に保存条件を確認しておきましょう。

電子契約サービスの中には、各種法律の保存条件を満たすように機能整備をしているサービスもあります。したがって、対応工数少なく各法律への対応をするのであれば、法律対応をしたサービスを比較・選択して導入するのも1つの手段です。

法律に対応した電子契約サービスを導入して、法律対応、および、契約業務を効率化していきましょう!

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