BtoC取引に電子契約サービスは利用できる?関連法も含めて解説!

電子契約サービスはBtoC取引にも活用可能?活用するメリットを解説!

「BtoC取引に電子契約サービスって使える?」

「BtoC取引に電子契約サービスを使うときに知るべき法律とは?」

と疑問に感じていませんか。

BtoC取引に対しても電子契約サービスは利用可能です。一方で、BtoB取引とは異なる法律、例えば電子契約法や特定商取引法などの確認も必要となりますので注意しましょう。

当記事では、BtoC取引で電子契約を利用する場合に知っておきたい法律、BtoC取引に使える電子契約サービスの選び方、BtoC取引でおすすめの電子契約サービスまでご紹介します。

目次

BtoC取引にも電子契約サービスは利用できる

電子契約サービスの利用はBtoB取引での活用が主であるとイメージを持たれている方が多いですが、電子契約サービスはBtoC取引でも活用ができます。例えば、BtoC取引において以下のようなシーンで利用が可能です。

  • ジムの入会手続き
  • 不動産の賃貸契約書の締結 など

BtoC取引で、消費者の中にはPC環境がないユーザーや、Gmailなどのフリーメールアドレスしか持たない消費者が一定数いますが、電子契約サービスの中にはSMSによる本人確認により電子契約の締結が可能な機能が搭載されているサービスもあるため、幅広い消費者にご利用いただけます。

また、BtoC取引の要件として消費者の身分証明書を収集し確認する業務がありますが、電子契約サービスの中には、システム上に文書を添付できる機能を持つサービスも多いですので、BtoC取引に必要な要件は満たせられるでしょう。

BtoC取引で電子契約を利用する場合に知っておきたい法律

BtoC取引にも活用可能な電子契約サービスですが、BtoB取引とは異なる法律への理解が必要になる点に注意が必要です。以下ではBtoC取引において理解が必要な法律を紹介します。

電子契約法

最初にご紹介するのは「電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律」、通称電子契約法です。電子契約法は以下の2つを定めた法律です。

  • 電子消費者契約における錯誤無効制度の特例
  • 電子商取引における契約の成立時期の明確化(発信主義から到達主義に変換)

電子消費者契約における錯誤無効制度の特例

小難しい小見出しをつけてはいますが、つまりは消費者の操作ミスを防ぐための項目です。

第三条 民法第九十五条第三項の規定は、消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について、その意思表示が同条第一項第一号に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであり、かつ、次のいずれかに該当するときは、適用しない。ただし、当該電子消費者契約の相手方である事業者(その委託を受けた者を含む。以下同じ。)が、当該申込み又はその承諾の意思表示に際して、電磁的方法によりその映像面を介して、その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合又はその消費者から当該事業者に対して当該措置を講ずる必要がない旨の意思の表明があった場合は、この限りでない。
一 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該事業者との間で電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を行う意思がなかったとき。
二 消費者がその使用する電子計算機を用いて送信した時に当該電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示と異なる内容の意思表示を行う意思があったとき。

そもそも、操作ミスなどによる消費者の意思に基づかない申し込みは民法95条に規定される「要素の錯誤」に該当します。この要素の錯誤に該当する場合には、消費者の意思表示は原則無効にできるとされています。

しかし、この錯誤が消費者側の過失によるものである場合、事業者方はこの意思表示を有効であると主張ができます。

この点、電子契約法では、BtoCの電子上の取引において、事業者側が画面上で申し込み手続きをする場合に、契約内容の意思確認をするための適切な措置を設けるように求めています。

もし、適切な措置を設けておらず、操作ミスによる契約がなされた場合には、消費者側の過失ではないと判断することとして規程しています。

つまり例えば、BtoC取引において以下のケースの場合は消費者が救済されると考えられます。

  • 申込み内容を入力せずに、申込みをするか否かだけを判断するような申込み画面で、申込ボ タンをクリックするつもりがなかったのに、操作ミスによって誤って申込ボタンをクリックしてしまう 場合

電子商取引における契約の成立時期の明確化(発信主義から到達主義に変換)

一般的な契約(民法)では、契約成立のタイミングは購入者が購入申し込みをした段階です。BtoC取引のネットショッピングを例に挙げると、注文ボタンを押して注文内容が発信された段階で契約は成立します。これを発信主義と呼んでいます。

つまり、発信主義の場合、購入申し込みの段階で契約が成立するため、メールなどが不着の際に購入者がリスク負います。

一方で、電子契約法では、購入者が注文の意思を発信した後にその通知が相手方に到達したタイミングで契約が成立します。これを到達主義と呼んでいます。

つまり、到達主義の場合、発信主義の逆に相手方に購入の申し込みが届かない限り、契約は成立しませんので、相手方がリスクを負います。

電子契約法でBtoC取引の電子商取引においては到達主義が採用されることになり、ワンクリック詐欺など購入者が意図していない一方的な契約から購入者を守れるようになっています。

特定商取引法

次に紹介するのは特定商取引法、通称特商法です。特商法では、BtoC取引で消費者とのトラブルを避けるために以下の事項を明示することを義務付けています。

  • 商品の販売価格および送料
  • 商品の支払の時期および方法(クレジットカード決済など)
  • 商品の引渡時期(発送予定日など)
  • 商品の売買契約の申し込み撤回や解除の方法(クーリングオフの方法など)
  • 商品の返品に関する特約(瑕疵担保責任など)
  • 事業者の氏名、住所、電話番号

また、特商法では消費者保護の観点からBtoC取引の特定の取引に対してクーリングオフ期間を設けています。事業者はクーリングオフ期間中に購入者から返品の要請があった場合には応じなければなりません。

対象取引 説明 クーリングオフ期間
訪問販売 キャッチセールス、アポイントメントセールスなど 8日間
電話勧誘販売 電話経由での販売 8日間
連鎖販売取引 いわゆるマルチ手法。 20日間
特定継続的役務提供 エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス など 8日間
業者提供誘引販売取引 内職商法、モニター商法等 20日間
訪問購入 業者が消費者の自宅等を訪ねて、商品の買い取りを行うもの 8日間

2021/6に特商法が改正され、BtoC取引においてクーリングオフの条件を記載した書面の電子交付が可能になりました。BtoC取引上で電子交付が可能な取引と根拠条文は以下の通りです。

業務形態 根拠条文
訪問販売 改正4条2項・3項
通信販売 交付書面の規定自体なし
電話勧誘販売 改正18条2項・3項
連鎖販売契約 改正37条3項・4項
特定継続的役務提供 改正42条4項・5項
業務提供誘引販売取引 改正55条3項・4項
訪問購入 改正58条の7第2項・3項

システム選定基準

BtoC取引で電子契約サービスを利用する場合の検討ポイントは以下の通りです。

取引のリードタイムを最短化できるサービスを選ぶ

電子契約にはそもそも、立会人型と当事者型の2タイプがあります。この中で、取引のリードタイムを最短化するために、立会人型の電子契約サービスを選ぶことをおすすめしています。

立会人型の電子契約サービスであれば契約締結用のURLが記載されたメールなどを相手方に送付するのみで、クラウド上で契約締結ができる機能を搭載している場合が多いですので、取引のリードタイム短縮を期待できます。

また、BtoC取引において、PC環境がないユーザーや、Gmailなどのフリーメールアドレスしか持たないユーザーが一定数いますので、SMSによる契約締結機能があるサービスを選ぶと尚よいです。

コストが最小化できるサービスを選ぶ

BtoC取引の場合、購入者毎の身分証の管理が重要かつ、工数が掛かるポイントです。

この点、電子契約サービスの中には、契約締結時に保険証などの身分証を添付できる機能を持つサービスがあります。BtoC取引において、このような機能を持つサービスを選ぶと身分証の収集が容易になるでしょう。

加えて、電子契約サービス上で収集した身分証などの重要書類を他システム、例えば文書管理ツールなどに連携したい場合も多いかと思います。その場合には、電子契約サービスが他システムとAPI経由などで連携する機能を持つか確認が必要です。

法対応が容易なサービスを選ぶ

BtoC取引で扱う契約書は税法上の要件に基づいた保存が必要です。例えば、法人税法に基づいた7年保管、電子帳簿保存法に基づいた保存等です。

これらの法対応を電子契約サービス上で実施することを想定している場合には、電子契約サービス上で容易に法対応ができる機能を持つか確認する必要があるでしょう。

例えば、電子帳簿保存法対応であれば、電子契約サービス上でのタイムスタンプ付与機能、主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)の検索機能などが確認ポイントになります。

まとめ システムを活用して業務を効率化しよう!

BtoC取引において取引のリードタイム短縮や重要書類の保存・管理が課題になるかと思います。この課題に対して、電子契約サービスであれば問題なく対応できる場合が多いですので、自社の要件に適合した電子契約サービスをご検討ください。

BtoC取引で電子契約サービスを活用して、BtoC取引における契約業務を効率化しましょう!

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