申込書の電子契約化は可能か 書面を電子保存する際のポイントを解説
申込書の電子契約化は可能か 書面を電子保存する際のポイントを解説

申込書の電子契約化は可能か 書面を電子保存する際のポイントを解説

「発注書(申込書)の電子契約化は可能?」

と疑問に感じていませんか。

発注書(申込書)に限らず、一部の契約書を除けば多数の契約書の電子契約化は可能です。したがって、逆に言えば、一部の電子契約化できない契約書を把握することで、安心して電子契約を活用できるでしょう。

当記事では、電子契約化できない一部の契約書や電子契約化するメリット、発注書(申込書)を電子契約化する際の注意点までご紹介します。

目次

発注書(申込書)の電子契約化は可能

発注書(申込書)の電子契約化は可能

発注書(申込書)の電子契約化は可能です。発注書(申込書)に限らず、一部の契約書を除いて、業務上あらゆる文書の電子契約利用ができますので、一部の契約書を把握してしまいましょう。

一部の書類を除いて契約書の電子契約化は業務上可能

2021/9に施行されたデジタル改革関連法案により、これまで電子契約が利用することができなかった契約書の電子契約化が推進されました。

結果、2022/5には書面契約を義務付けられていた不動産業界の契約書を中心に電子契約の利用が業務上で解禁されています。

しかし、一部の契約書ではいまだに書面契約を業務上で義務付けていますので注意が必要です。2022/9段階で業務上、電子契約の利用することができない契約書は以下の通りです。

文書名 根拠法令 改正法施行予定
事業用定期借地契約 借地借家法23条
企業担保権の設定又は変更を目的とする契約 企業担保法3条
任意後見契約書 任意後見契約に関する法律3条
特定商取引(訪問販売等)の契約等書面 特定商取引法4条、5条、9条、18条、19条、37条、42条、55条 2023年6月

発注書(申込書)を電子契約化するメリット

発注書(申込書)を電子契約化するメリット

上述の電子契約を業務上利用することができない契約書に発注書(申込書)は含まれていません。したがって、電子契約の利用ができます。以下では発注書(申込書)を電子契約化するメリットを解説します。

申込書回収のリードタイムを短縮

書面の申込書の場合、相手方に申込書を記載してもらってから回収するまでの時間が長い点に特徴があります。

自社で申込書を作成し、電子化後メールに添付して相手方に申込書を送付後、相手方が印刷をして押印後、再度PDF化して自社に返送する業務プロセスを踏むなどの対応をする必要があるため、申込書返送まで5~7営業日かかることが業務上で多かったのです。

この点、立会人型の電子契約サービスを導入すれば、契約締結用のURLが記載されたメールを相手方に送付するのみで、電子署名の付与を完了できますので、取引のリードタイム短縮を期待することができます。

申込書の不備を予防

相手方は送付された書面の発注書(申込書)に押印をする必要がありました。しかし、この場合、相手方が押印した印影が薄いケースが少なからず存在していたのです。

印影が薄いなど契約書の不備が発生すると社内で受理ができず、再度発注書(申込書)を作成し、押印しなおす必要が出てきます。相手方の負担も増え、さらにリードタイムも伸びていく点が課題となっていました。

この点、電子契約を利用すると、押印の代わりに電子署名を利用できますので、印影が薄いなどの申込書の不備を予防することができます。

申込書の管理コストの削減

申込書は国税関係書類に該当するため法人税法上、最低7年の保存義務があります。しかし、toCを相手方にもつ企業の場合、申込書の量が膨大であるため、申込書を保管するだけでも大きなコストがかかる点に課題がありました。

電子契約であればサーバ上に文書を長期保存できますので、保管スペースやメンテナンスにかかるコストを大幅に削減することができます。

このコスト削減効果を裏付ける一例として、電子契約サービスで世界No1シェアのDocuSignを導入したソフトバンク株式会社のケースがあります。このケースでは契約書1通あたり2,500円のコスト削減効果があったと公表しています。

書面契約の保管コスト削減効果に加えて、印紙税の削減など他効果も含めて算出金額ですが、大きなコスト削減効果を期待できることがわかるでしょう。

発注書(申込書)を電子契約化する時の注意点

発注書(申込書)を電子契約化する時の注意点

発注書(申込書)を電子契約化するメリットは業務上で大きいですが、一部注意点があります。以下では注意点を解説します。

各種税法対応が必要

発注書(申込書)は税法上の国税関係書類に該当しますので、各種税法の要件を満たした文書保存が必要です。

電子帳簿保存法 電子取引要件

電子契約は電子上で相手方とデータのやり取りをしますので、電子取引に該当します。したがって、電子帳簿保存法電子取引要件を満たした文書保存が必要です。

電子取引要件では以下の要件を満たした保存を求めています。

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
  • 見読可能装置の備付け等
  • 検索機能の確保
  • 真実性の確保

この中でシステム的に対応を求められる要件は以下の通りです。

  • 検索機能の確保
  • 真実性の確保

検索機能の確保ではシステム上で最低、主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)で検索できる必要があります。したがって、導入予定の電子契約サービス上で文書に主要三項目の属性情報を付与し、検索ができることを確認する必要があるでしょう。

真実性の確保では、いくつか要件を満たす必要がありますが、最も簡単に要件を満たす方法はタイムスタンプを付与する方法です。電子契約サービスの中にはタイムスタンプを付与できないタイプのサービスもありますので、確認ポイントとなるでしょう。

法人税法

法人税法上で最低7年(繰越欠損金がある場合は10年)の保存義務があります。

必ずしも導入予定の電子契約サービス上で保存する必要はありませんが、電子契約サービス上で長期保存する場合にはシステム上で長期保存することができるか確認する必要があります。

電子契約サービスの中にはシステム上に保存する文書量に応じて課金する金額が増える料金プランを持つ場合もありますので、確認ポイントとなるでしょう。

立会人型電子契約サービスを利用する場合は固有性の要件を満たす必要あり

世間一般的に導入されることの多い、立会人型の電子契約サービスですが、導入時には真正性の要件をみたすために固有性の要件を満たす必要があります。

立会人型であっても問題なく真正性を確保できる

立会人型電子契約サービスは当事者型と違い、利用者自身は電子証明書を発行・保持する必要はありません。事業者が代理となり、クラウド上で電子署名を付与するタイプの電子契約サービスです。

よくある誤解として、事業者が利用者の代わりに電子署名を付与するので、電子署名法2条で求めるような本人性の要件を満たしていないのでは、というものがあります。

この点について、総務省、法務省、経済産業省の3省連名にて、「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」で回答が公表されていました。

結論、立会人型電子契約サービスによる事業者の電子署名であっても、固有性の要件さえ満たせば問題なく真正性を満たせます。

固有性の要件を満たす方法として二要素認証がある

固有性の要件とは、抽象化して表現すると「厳密に本人性を確保しましょう。」という要件です。立会人型電子契約サービスの場合、なりすましリスクが特に懸念されますので、固有性の要件を満たす必要があるのです。

この固有性の要件を満たす一例として、政府から二要素認証機能の利用があげられています。したがって、立会人型の電子契約サービスを利用する際には二要素認証機能が利用できるかが確認ポイントとなるでしょう。

まとめ システムを契約業務で活用しよう!

まとめ システムを契約業務で活用しよう!

発注書(申込書)は業務上、電子契約化できます。発注書(申込書)を電子契約化することで、リードタイムの短縮やコスト削減などのメリットを見込めますので、ぜひ電子契約化をご検討ください。

発注書(申込書)に限らず、一部の契約書を除いて業務上であらゆる文書に対して電子契約を利用することができます。

あらゆる契約文書を電子化することで、全社の効率化を見込めますので、申込書に限らず全社の文書の電子契約サービスの導入を検討するとよいでしょう

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次