Excelで電子印鑑を作成する3つの方法とは 具体的な設定方法を解説!
Excelで電子印鑑を作成する3つの方法とは 具体的な設定方法を解説!

電子印鑑はExcelで作成可能?具体的な設定手順を解説!

「電子印鑑をExcelで作成する方法とは?」

と疑問に感じていませんか。

Excelを利用することで電子印鑑を簡単に作成ができます。ただし、法的には電子文書への電子印鑑は必須ではないため、商習慣上の理由で電子印鑑が付与されることが多い点に留意ください。

当記事では、電子文書に電子印鑑が必須ではない理由、電子印鑑をExcelで作成する3つの方法、Excelで作成した電子印鑑を利用するメリット・デメリットまでを解説します。

目次

法律上、契約の成立に押印は不要

法律上、契約の成立に押印は不要

契約が成立するために電子印鑑の付与は法律的に求められていません。電子印鑑は商習慣上の理由から電子契約に付与されているのです。以下ではその理由を解説します。

契約はいかなる形式でも成立する

そもそも、契約は民法522条2項にあるように、どのような形式であっても成立します。

第522条 2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

したがって、印鑑の付与あるなしに関わらず、契約は成立するのです。極端な話をすると口頭などの目に見えない形式でも成立するので、契約の成立のハードルは低いとも考えられます。

押印は契約書を証拠として利用するために付与する

契約はどのような形式であっても成立するとはいえ、契約を裁判時の証拠として利用する際に、口頭による契約では証拠としての信頼性に疑問符が出てきます。

そこで民事訴訟法228条では裁判時の証拠として利用するためには真正性の証明が必要であるとしているのです。

第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

書面契約においては、二段の推定により本人の印鑑によって押印がされていれば、真正性を証明できます。したがって、多くの重要書類には印鑑証明付の印鑑によって押印されているのです。

電子契約では電子署名によって真正性を確保する

では、電子契約においてどのように真正性を証明するかというと、電子署名を付与することで真正性を証明できます。電子署名法3条にあるように電子署名が真正性証明のキーなのです。

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

つまり、電子印鑑は契約の成立にも、契約の真正性証明に対しても法的な効力は持っていないといえるでしょう。

電子印鑑は商習慣上の理由で付与する場合が多い

では、なぜ電子印鑑を電子契約などの電子文書に付与することがあるかというと、例えば以下のような商習慣上の理由である場合が多いです。

  • 電子印鑑が押してあった方が契約書らしい。信頼できそう。
  • 電子印鑑が押してあるとぱっと見で契約が締結していることがわかる。

現状、電子契約は書面契約からの過渡期にありますので、電子契約自体の法的な成立などに懸念を持つ法務担当者も少なくありません。このような懸念を持つ方々に対して、電子印鑑は安心を与える1つの材料となっているのです。

電子印鑑はExcelで作成可能

電子印鑑はExcelで作成可能

電子印鑑はExcelを利用することで簡単に作成が可能です。

電子印鑑には2種類ある

電子印鑑にはそもそも、識別子情報を持つか否かにより以下の2タイプがあります。

  • 印影の画像データを添付するもの
  • 印影の画像データに識別情報を持たせたもの

印影の画像データを添付するもの

印影をスキャンしてデータ化したものを電子印鑑として利用するパターンです。作り方が簡単である一方で、簡単に複製ができる点にデメリットがあります。社内文書や請求書、領収書など重要性の低い文書に利用されることが多い電子印鑑です。

印影の画像データに識別情報を持たせたもの

印影をスキャニングしてデータ化したものに、電子印鑑の所有者情報とタイムスタンプ情報を持たせたものを電子印鑑として利用するパターンです。識別情報を含むため、複製が難しく、真正性を証明できる点にメリットがあります。

Excelで作成する3つの方法

既に導入されている企業も多いMicrosoftOffice365のExcelを利用して電子印鑑を作成できます。Excelを利用して電子印鑑を作成する方法は以下の通りです。

  • 方法①:Excel上の図形を利用して作成する
  • 方法②:Excelアドインを利用して作成する
  • 方法③:印影をスキャニング後、Excel上で編集する

方法①:Excel上の図形を利用して作成する

以下使い方によりExcel上で作成します。

  1. 挿入>図形 で電子印鑑の枠組みを選択。塗りつぶしなし、枠組みは赤色に設定。
  2. 挿入>テキストボックスで電子印鑑に付与したいテキストを入力。塗りつぶしなし、文字色を赤色に設定。
  3. 全体のバランスを調整後、図形とテキストボックスを選択して、グループ化設定。
  4. グループ化したオブジェクトを右クリックして、図として保存設定。

上記の作業をExcel上でするときに、1で枠線に対して以下の作業をすると、本物の印影に近づけることが可能です。

  • 枠線を赤色のグラデーション表示にする。
  • 枠線を「太線+細線」の二重線にする。
  • フォントを明朝体にする。

方法②:Excelアドインを利用して作成する

Excelには多数の電子印鑑作成用のアドインが提供されています。Excel上で多数あるアドインの中でも「エクセル電子印鑑」をダウンロード利用すると添付のような印鑑を作成できますので、Excel上にダウンロードして利用してみてはいかがでしょうか。

「エクセル電子印鑑」のアドインをダウンロードし有効にすると、セルを選択した状態で右クリックを押した際に「エクセル電子印鑑」のボタンが出力されるようになります。

Excel上のこのボタンを押すことで簡単に電子印鑑を作成できるようになりますので、電子印鑑をよく利用される方におすすめのアドインです。

ただし、アドインの中には安全性が怪しいものもありますので、安全性の高いアドインを選択して、ご利用下さい。

方法③:印影をスキャニングし、Excel上で編集する

押印をスキャニングして画像としてExcelに取り込みます。真っ白な紙に押印をして綺麗な状態の押印画像を取得するようにしてください。押印画像の取得後、画像上の不要部分をExcel上のトリミング機能で削除していきます。

また、エクセル上の図の形式>色>透明色を指定選択することで、押印画像に対して透過設定もできますので、透過処理が必要な場合には利用ください。

Excel以外のツールでも電子印鑑は作成できる

Excelを利用する方法で電子印鑑の作成方法を紹介しましたが、そのほかにも以下のような作成方法があります。Excelが手元にない場合は以下の方法をご検討ください。

  • ブラウザ上の無料ツールを利用する
  • 電子印鑑サービスを利用する

ブラウザ上の無料ツールを利用する

ブラウザ上で無料利用できるツールを使用することでも、電子印鑑を作成できます。例えば、「電子印鑑素材」というサイトでは、ブラウザ上で無料、かつ、素早く印影画像をダウンロードできます。

書体についても、以下3つから選択してダウンロード可能です。

  • 楷書体
  • 隷書体
  • 古印体

また、サイズについても訂正印からLサイズまで幅広くそろえている上に、レアな苗字以外は揃えているため、「電子印鑑素材」であれば、労することなく必要な印影画像をダウンロードできるでしょう。

電子契約サービスを利用する

Excelやブラウザ上で印影画像を作成するにしても、多かれ少なかれ労力がかかります。この点、電子印鑑GMOサインでは電子印鑑を労することなく設定できる上に、識別情報も付与できるので、セキュリティ性能の高い電子印鑑の利用が可能です。

また、電子契約サービス上には契約業務を効率化する例えば以下のような機能を多数搭載しているため、契約業務にかかるコストの削減などを見込める点にメリットがあります。

  • 契約書テンプレート登録機能
  • 契約書の一括送信機能
  • ワークフロー機能
  • 顧客別のステータス管理機能
  • 電子署名機能 など

実際に電子印鑑GMOサインによるデータによると、電子契約サービスを導入したことで契約業務にかかるコストの75%を削減できたそうです。この事例からもわかる通り、電子契約サービス導入によるコスト削減効果は大きいといえるでしょう。

利用するメリット・デメリット

利用するメリット・デメリット

電子印鑑は手元のExcelなどを利用することで容易に利用ができます。ただし、利用にあたりメリットとデメリットを把握しておく必要がありますので、解説します。

メリット:簡単に作成・利用できる

既にExcelなどを導入していれば、追加コストをかけずに利用ができる点が最大のメリットです。電子契約サービスなどを利用する場合、電子印鑑作成用に追加でコストが発生する場合が多いようです。

一方で、Excel上で電子印鑑を作成する場合には、労力をかけるのであれば、図形の組み合わせで、省力化するのであればアドインで対応ができますので、コストをかけずに対応をするのであれば、Excelの利用がよいでしょう。

Excelであれば既に利用済みの企業も多いので、電子印鑑作成に手が出しやすい点もメリットです。

デメリット:偽造のリスクが高い

簡単に作成・利用ができるということは、簡単に偽造ができるということですので、注意が必要です。昨今の3Dプリンターは優秀なので、印影画像から印鑑自体を復元することもできます。

したがって、間違っても実印の印影を電子印鑑として利用しないようにしましょう。認印やシヤチハタなど、重要度が低い印鑑の印影を電子印鑑としてりようするようにしてください。

また、Excelで作成した電子印鑑には識別情報を付与できません。識別情報を付与できないため、電子署名法で求められるような真正性を証明することはできませんので、電子印鑑を電子文書に署名したとしても法的な効力を持たない点に注意が必要です。

まとめ 電子印鑑をExcelで作成してみよう

まとめ 電子印鑑をExcelで作成してみよう

電子印鑑はExcel上で簡単に作成ができます。Excelであれば既に導入済みの企業も多いので、無料で電子印鑑を作成できる点がメリットです。

しかし、簡単に複製ができてしまうため、電子印鑑を作成する際には実印は利用せず、認印やシャチハタのような重要度の低い印影を利用する必要がある点に留意してください。また、電子印鑑自体には法的な効力がない点にも注意が必要です。

とはいえ、商習慣上の理由で電子印鑑はビジネスシーンで求められる場合も多いです。自社用に電子印鑑を準備しておくのもよいでしょう。

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