【2022年最新改正】電子帳簿保存法と電子契約保管の注意点

電子契約の保管方法はどのように保管するのがベスト?

電子契約サービスを利用することで、離れた場所にいる相手とも簡単に契約を締結できる時代になりました。すでに電子契約サービスを導入しており、日常的に利用しているという企業も多いでしょう。

効率よく契約作業を進められ便利な電子契約ですが、保管する際には電子帳簿保存法に則り、保管・保存をする必要があります。

電子帳簿保存法を守って作成された電子契約書は法的効力を保持しているため、保管しているデータのままでも税務調査等にも使用可能です。

しかし、法律を遵守し保管・保存していないと締結した電子契約が認められなかったり、取引先とトラブルになったりするケースもあるため、注意が必要です。

本記事では、電子契約を利用・保存する際に理解しておくべき「電子帳簿保存法」について詳しく解説します。

電子帳簿保存法の概要だけでなく、具体的な保管・保存方法、保管・保存する際の注意点まで説明いたしますので、ぜひご活用ください。

目次

「電子帳簿保存法」とは?

「電子帳簿保存法」とは?

電子契約データを保管・保存する場合、必ず守らなければいけない法律が電子帳簿保存法です。

電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)とは、電子契約などの電子取引を行ったときのデータ保管・保存の義務を定めた法律のことです。

電子帳簿保存法には税法で保存が義務づけられている書類や、帳簿の電子記録における保存を認めるために策定されています。

電子帳簿保存法で重要なポイントは、

  1. 電子帳簿保存法第4条1・2項
  2. 電子帳簿保存法第4条3項
  3. 電子帳簿保存法第10条

の3点です。

まず、電子帳簿保存法4条1・2項には、国税関係帳簿や損益計算書などの書類を電子化して保存できる旨が記載されています。

保存義務者は、国税関係帳簿の全部又は一部について、自己が最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、納税地等の所轄税務署長(財務省令で定める場合にあっては、納税地等の所轄税関長。以下「所轄税務署長等」という。)の承認を受けたときは、財務省令で定めるところにより、当該承認を受けた国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって当該承認を受けた国税関係帳簿の備付け及び保存に代えることができる。
保存義務者は、国税関係書類の全部又は一部について、自己が一貫して電子計算機を使用して作成する場合であって、所轄税務署長等の承認を受けたときは、財務省令で定めるところにより、当該承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該承認を受けた国税関係書類の保存に代えることができる。

電子帳簿保存法第4条3項では、書面の領収書や契約書などをスキャナで保管しても問題ないことを定めています。

3 前項に規定するもののほか、保存義務者は、国税関係書類(財務省令で定めるものを除く。)の全部又は一部について、当該国税関係書類に記載されている事項を財務省令で定める装置により電磁的記録に記録する場合であって、所轄税務署長等の承認を受けたときは、財務省令で定めるところにより、当該承認を受けた国税関係書類に係る電磁的記録の保存をもって当該承認を受けた国税関係書類の保存に代えることができる。

電子帳簿保存法第10条では、電子契約におけるデータの保存義務が定められています。電子契約を締結した後は、この法律で指定された要件を満たす必要があるため注意しましょう。

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより、当該電磁的記録を出力することにより作成した書面又は電子計算機出力マイクロフィルムを保存する場合は、この限りでない。

電子契約を締結した後は、これらの法律で指定された要件を満たす必要があることに注意しましょう。

電子帳簿保存法における電子契約データの保管方法

電子帳簿保存法における電子契約データの保管方法

では、電子帳簿保存法に即した電子契約データの保管・保存方法とは具体的にどのようなものでしょうか。

電子帳簿保存法では電子契約データの適切な保管・保存方法として、いくつかの要件を設定しています。要件は以下の通りです。

  • 見読性の確保
  • タイムスタンプの付与
  • 規定期間内での保管
  • 電子化におけるマニュアルの用意
  • 調査時におけるデータの速やかな提示

それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

見読性の確保

見読性とは、電子契約で使用したデータの内容を目で見て分かる状態にしていることを指します。

例えば、紙媒体契約書の書面をスキャンして電子契約に使用、保管・保存する方法がありますが、画質が荒く、内容を読み取れない場合は見読性が確保できていないと言えます。

電子契約のデータを保管する前に、誰が見ても正しく契約内容を把握可能な状態であるかを必ず確認しましょう。

タイムスタンプの付与

タイムスタンプとは、①ある時刻にその電子データが存在していたこと②それ以降改ざんされていないことを証明する技術を言います。

タイムスタンプに記載されている情報とオリジナルの電子データから得られる情報を比較することで、タイムスタンプの付された時刻から文言などが改ざんされていないことを確実かつ簡単に確認することができます。

タイムスタンプを付与する際は、第三者機関に依頼して正確な時間のデータを取得しなければいけません。真実性の確保は紙媒体の契約書から電子契約に移行する際に心配される方も多い部分ですが、タイムスタンプの付与をすることで不安解消が可能となります。

タイムスタンプなしで電子契約を進める場合もありますが、この場合は電子書類の訂正や削除に関する社内規定を設ける必要があることにご留意ください。

なお、紙の契約書などをスキャンして締結した電子契約の場合は、必ずタイムスタンプを付与して保管しなければいけないため、注意が必要です。

規定期間内での保管

電子契約にも、規定期間が存在し、紙の契約書と同様に、保管・保存義務の期間が設けられているものも存在します。

例えば法人税法では、電子契約データを7年間保管することが義務づけられています。

法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類(注1)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注2)保存しなければなりません。

電子化におけるマニュアルの用意

電子契約に関するデータを保管する際は、必ず電子化におけるマニュアルを用意しなければいけません。

社内でルールが整備されていない状態では電子契約を適切に結べなかったり、データを正しく保管できないなどの問題が発生する恐れがあります。

電子契約サービスの取り扱いや操作方法についても、わかりやすいマニュアルを準備できると安心です。

あわせて読みたい

調査時におけるデータの速やかな提示

事業を営んでいると、税務署などによる調査が入ることがあります。特に、契約書などは国税関連書類に該当するため、調査の際、提示を求められることが多いです。

提示を求められた際にスピーディーに対応できるよう、基本的な検索機能が搭載された電子契約サービスの導入がおすすめです。

検索の方法や条件は電子契約サービスごとに異なりますが、以下の要件を満たしていることが大切。

  • 複数項目の組み合わせ検索が可能
  • 日付、金額の範囲指定が可能
  • 取引の主な内容を条件指定できる ※

※例:勘定科目、取引金額、取引年月日など

電子取引データの税務署への事前届出は不要

電子取引データの税務署への事前届出は不要

以前は書面データを電子化して電子契約を行う場合は、電子取引データを税務署にあらかじめ届け出る必要がありました。事前に承認申請を出し、それが受理されることで始めて契約書の電子化が認められる、という仕組みです。

しかし2021年に電子帳簿保存法の改正が決まり、2022年1月には税務署長への事前承認制度が廃止されています。

現在は電子契約における電子取引データの税務署への事前届出は不要となっている点にご注意ください。

2020年、2022年の電子帳簿保存法改正のポイント

2020年、2022年の電子帳簿保存法改正のポイント

電子帳簿保存法は2020年および2022年に改正されています。

2020年の改正では、電子契約の保管の際に満たさなければいけない要件が緩和されました。例えば、デジタルデータの利用明細を領収書として認めたり、キャッシュレス決済の領収書を不要としたことなどが挙げられ、電子契約の保管が容易になっています。

また、2022年に改正された際の電子帳簿保存法のポイントは

  • 事前承認制度の廃止
  • 訂正削除履歴の廃止(帳簿
  • 相互関連性の廃止(帳簿
  • タイムスタンプ付与期間の延長
  • 検索機能要件の緩和
  • 適正事務処理要件の廃止

の6点です。

時代に即して電子帳簿保存法が改正されているため、電子契約を導入する際は、保管の方法なども含め常に最新の情報に目を向ける必要があるでしょう。

電子帳簿保存法の保管要件を満たす電子契約サービスを紹介

電子帳簿保存法の保管要件を満たす電子契約サービスを紹介

電子契約を扱う場合は、電子帳簿保存法の保管要件を満たす電子契約サービスを利用すると便利です。

今回は、本サイトおすすめの2つの電子契約サービスをご紹介します。

Docusign(ドキュサイン)

海外を中心に人気を集めているのがDocusignです。電子帳簿保存法に対応するためには、合意PDF文書をコピーして印刷する必要があります。

https://www.docusign.com/sites/default/files/docusign_-_japan_legality_wp.pdf

契約書の作成機能が充実していますが、月額10ドルから利用可能。またパソコンだけでなく、スマホやタブレットにも対応しています。マルチデバイスである会社にもおすすめです。

その他、外部システムとの連携機能や契約書の保管など社内管理しやすいシステムも整っており、今なら30日間限定で、無料のトライアル期間が用意されているのでぜひこの機会に利用をご検討ください。

クラウドサイン

取引先が日本に限定されている場合、クラウドサインの利用もおすすめです。クラウドサインは電子契約を締結する際に管理画面の書類情報を入力することで、電子帳簿保存法の要件を満たした保管が可能となります。

日本の法律に特化した電子契約サービスであるのが特徴で、外部サービスとの連携にも対応しています。弁護士監修ということもあり、多くの自治体で導入されている点も安心して利用できるポイントでしょう。

税込11,000円~利用可能と、比較的リーズナブルである点も特徴です。

詳細はクラウドサインのページをご確認ください。

https://www.cloudsign.jp

まとめ

まとめ

電子契約を導入する際は、電子帳簿保存法の内容を踏まえて正しく保管しなければいけません。電子契約のデータを適切に保管できていないと、法律上問題になる恐れがあるため、ご注意ください。

電子帳簿保存法は2020年、2022年に改正されています。今後も改正される可能性があるため、保管の要件など随時最新情報をチェックし電子帳簿保存法の保管要件を満たす電子契約サービスを利用すると良いでしょう。

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