電子帳簿保存法の対象企業とは?2022年改正要件、2024年要件を元に解説!
電子帳簿保存法の対象企業とは?2022年改正要件、2024年要件を元に解説!

【2022年改正電子帳簿保存法】対象企業とは?対象の文書・取引も解説!

電子帳簿保存法の対象企業は?

「対象企業とならない方法はある?」

と疑問に感じていませんか。

電子帳簿保存法の対象企業は全ての法人と個人事業主です。したがって、該当する場合には、電子的に帳簿や書類を保存する際に要件を満たしてデータ保存をする必要があります。

対象企業がもし要件を満たしてデータ保存をしなかった場合、ペナルティが課される場合がありますので注意ください。

当記事では電子帳簿保存法の対象企業、電子帳簿保存法の中でも特に電子取引要件の対象書類・取引、2024年以降の要件を解説します。

目次

電子帳簿保存法の対象企業は全法人と個人事業主

電子帳簿保存法の対象企業は全法人と個人事業主

電子帳簿保存法の対象企業は全法人と個人事業主です。以下では電子帳簿保存法の対象企業について、そもそもの電子帳簿保存法の概要レベルから解説します。

電子的に帳簿や書類を保存してもよいと認めた法律

そもそも、電子帳簿保存法とは電子的に帳簿や書類を保存してもよいと認めた法律です。1998年に施行されてから、ペーパーレス化の推進するために世間の動向を鑑みて改正を繰り返してきています。

保存対象の文書により4つの要件区分がある

保存対象となる帳簿や書類の種類に応じて以下の4つの要件区分があります。

  • 国税関係帳簿(帳簿保存の要件区分)
  • 決算関係書類など国税関係書類(書類保存の要件区分)
  • 紙の電子化(スキャナ保存の要件区分)
  • 電子的に相手方とやりとりした文書(電子取引保存の要件区分)

2022年1月にも改正され、電子取引要件に注目が集まっている

2022年1月にも電子帳簿保存法は改正されており、上記4つの要件すべてで改正が実施されています。全要件を通じて要件緩和されている点が特徴的です。

特に電子帳簿保存法 電子取引要件では、緩和措置だけでなく、担保措置ともとれるような要件改正がされているため大きな話題となりました。

電子帳簿保存法 電子取引要件では、そもそも電子取引した文書を真実性や可視性(検索性)を確保した形式でシステム保存することを原則的に求めています。

しかし、2021年12月以前までは電子取引した文書を印刷して書面保存しても要件を満たすことができるとされていたのです。

しかし、2022年1月の改正以降、電子取引した文書のデータ保存が義務化されました。書面による保存をしている場合、要件を満たさないと整理されたのです。(紙保存措置廃止)

宥恕措置が公表され電子取引要件対応は2024年1月からでよくなった

しかし、2021年12月の改正直前の時点で電子取引要件対応をすることができている対象企業は、中小企業や個人事業主を中心に少なかったことから、紙保存措置廃止の2年間の延期が公表されました。(宥恕措置)

この宥恕措置によって、対象企業による電子帳簿保存法 電子取引要件への対応は2023年12月までに実施すればよいとされたのです。したがって、遅くても2023年12月までには各対象企業で対応を進めておきましょう。

法律の対象企業は全法人と個人事業主

電子帳簿保存法の対象企業は全法人、個人事業主です。2022年1月以前までは、紙保存措置が廃止されていなかったので、ペーパーレス対応をしたい企業のみが対象企業とも考えられました。

しかし、2022年1月以降は紙保存措置が廃止されたので、電子取引を行う全法人、個人事業主は対象企業として、電子帳簿保存法 電子取引要件を満たして電子取引文書をデータ保存する必要があります。

売上を閾値に一部中小企業や個人事業主が対象外企業となることはありませんので、注意ください。

対応漏れやデータの申告漏れ、不正を行えばペナルティがある

もし、対象企業が電子取引した文書を電子帳簿保存法 電子取引要件に基づいてデータ保存していない旨が監査時に指摘された場合、青色申告の承認取り消しや当該帳票を仕入れ税額控除の対象にしないなどのペナルティがある可能性があります。

ただし、電子取引要件対応をしてデータ保存をしていない対象企業がただちに青色申告の承認取り消しになるわけではないと、国税庁より公表されている点には留意ください。とはいえ、早々に電子帳簿保存法 電子取引要件対応をしましょう。

また、対象企業が仮装隠蔽の意思をもって対応した場合、重加算税が10%課されると公表されている点にも留意が必要です。

電子取引要件の対象書類

電子取引要件の対象書類

電子帳簿保存法の中でも特に注目度の高い電子取引要件の対象書類について解説をします。

国税関係書類以外の書類が対象

電子帳簿保存法 電子取引要件の対象文書は「国税関係書類以外の書類」とされています。「え、国税関係書類と何が違うの?」と疑問に思われる方が多いと思いますが、結論、ほぼ同じものであると考えてください。

なぜなら、「国税関係書類」が”紙”を指し示すのに対して、電子取引で扱う文書は”電子データ”ですので、法律上の整理として「国税関係書類以外の書類(電子データ)」と記載されているからです。

つまり、法律上の記載の違いであってほぼ同じ内容を示しています。では、国税関係書類とは何かというと、”モノや金の流れに関係する書類”とされています。したがって、例えば以下の文書が該当するでしょう。

  • 請求書
  • 契約書
  • 見積書
  • 注文書
  • 受注書
  • 発注書 など

上記以外の国税関係書類例については、電子帳簿保存法 一問一答【スキャナ保存関係】問2を参照ください。例を含めて考え方が記載されています。

電子取引した文書が対象

電子帳簿保存法 電子取引要件では、電子取引経由で受信・送信した文書データが保存対象になります。例えば以下の取引が対象です。

  • EDI取引にて請求データのやり取り
  • 電子契約サービスを利用して契約データのやりとり
  • インターネット上から領収書データをダウンロード
  • インターネットFAXを利用して受注データ・発注データのやり取り など

よくある誤解として、受信データだけでなく、送信データも保存対象となる点に注意ください。

2022年12月の税制改正大綱で2024年以降の電子帳簿保存法 対応方針が公表された

2022年12月の税制改正大綱で2024年以降の電子帳簿保存法 対応方針が公表された

2022年12月に国税庁より税制改正大綱が公表されました。この税制改正大綱の中で2024年1月以降の電子帳簿保存法の要件が公表されています。

ただし、税制改正大綱はあくまで素案であるので確定した情報は2023年3月まで待つ必要がある点に留意が必要です。

対象企業と認められれば書面保存が認められる

公表された税制改正大綱によれば、2023年12月をもって電子帳簿保存法 電子取引要件における2年間の宥恕措置は廃止される予定です。代わって猶予措置が2024年1月から施行されます。

猶予措置とは以下の要件を満たした対象企業は引き続き、電子取引した文書データの書面保存が認められるとされる措置です。

  • 保存要件に従って保存ができなかった相当の理由があること
  • 電磁的記録のダウンロードの求めに応じること
  • 電磁的記録の出力書面の提示または提出ができること

ただし、ここで条件の一つである「相当の理由があること」の定義が現状、不明確である点に注意が必要です。つまり、自社が猶予措置の対象企業となるか現状ではわかりません。

したがって、現状の不明確な状況下では2023年12月までの電子帳簿保存法 電子取引要件対応完了を目指す対象企業が大半のようです。

スキャナ保存要件が大きく緩和される

2022年12月に公表された税制改正大綱では、電子帳簿保存法 電子取引要件だけでなく、スキャナ保存要件についても改正方針が公表されています。

結論、以下の要件が廃止されることで2024年1月以降は電子帳簿保存法 スキャナ保存要件に対応がしやすくなる見込みです。

  • 入力者等情報の確認をすること
  • 解像度、諧調情報の保存をすること
  • 大きさ情報の保存をすること
  • 一般書類におけるスキャナ文書と帳簿データとの相互関連性の確認をすること

猶予措置を踏まえた進め方

猶予措置を踏まえた進め方

2022年12月に公表された税制改正大綱の電子帳簿保存法における改正方針を受け、電子帳簿保存法の対象企業はどのように対応を進めるべきなのでしょうか。

当記事では業務効率化、ペーパーレス化促進の観点から以下の進め方を対象企業に推奨しています。

  1. 2023年6月まで 電子帳簿保存法 電子取引要件対応
  2. 2023年10月まで インボイス制度対応
  3. 2024年1月以降 電子帳簿保存法 スキャナ保存要件対応

2023年10月にはインボイス制度が施行される予定です。インボイス制度対応をするにあたり、適格請求書の電子取引は切っても切れない関係にあります。

したがって、対象企業は可能であればインボイス制度が施行される以前までに電子帳簿保存法対応を完了させて下さい。

また、2024年1月以降はスキャナ保存要件が大きく緩和されることで、2023年6月までにフェーズ1として電子帳簿保存法 電子取引要件対応、2024年1月以降はフェーズ2として電子帳簿保存法 スキャナ保存対応を計画しやすくなっています。

対象企業はぜひ一度上述のような進め方をご検討ください。

まとめ 対象企業である自覚を持とう

まとめ 対象企業である自覚を持とう

電子帳簿保存法の対象企業は全法人、個人事業主です。したがって、電子取引をする対象企業であれば、原則的にはデータ保存が必要です。

とはいえ、宥恕措置により2024年1月まで対応期間がありますので、対応期間中に電子帳簿保存法 電子取引要件対応を完了させてしまいましょう。

対象企業が最も簡単に電子帳簿保存法 電子取引要件対応を完了させるポイントは法対応をした電子契約サービスや請求書のWeb配信などを利用することです。ぜひこの機会に導入をご検討ください。

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