「ペーパーレスFAXの必要性とは?」
「導入メリットやデメリットを知りたい」
と疑問に感じていませんか。
ペーパーレスFAXを導入することで、書面でやり取りすることの多い紙FAXを電子的に送受信することができます。
しかし、取引先と取引情報をペーパーレスFAXで送受信した場合、当該帳票を電子帳簿保存法 電子取引要件に基づいて保存する必要がある点に注意が必要です。当記事では、ペーパーレスFAXを導入するメリット・デメリットを中心に解説します。
ペーパーレスFAXとは何か
ペーパーレスFAXサービスを利用することで、従来紙でやり取りすることの多かったFAX業務を電子化することができます。
FAXをデータで授受できる
ペーパーレスFAXサービスとは、FAXを通じた書面のやり取りを電子化可能な製品やサービスの総称です。ペーパーレスFAXサービスを利用することで、授受する書面の印刷処理や保管を効率化できます。
2020年冒頭に流行した新型コロナウイルスにより、各企業でテレワーク対応を迫られました。テレワークをする際、企業のオフィスでのみ授受可能な書面でのFAXがテレワーク推進を妨げる一因となってしまっていたのです。
この点、ペーパーレスFAXサービスを利用することで、紙ではなくデータでFAX情報を送信・受信できますので、出社することなくFAXを利用した業務を実現できる点が評価されています。/span>
FAX業務は今後も残るためペーパーレスFAXサービス需要がある
ペーパーレス化が世間的に叫ばれていますが、紙によるFAX業務は今後も残ると考えられています。なぜなら、現状FAXにより受発注業務などが成立している場合、既存業務の変更が必要になり、コストと時間がかかるからです。
現状の慣れ親しんだ業務を変更することに抵抗を覚える担当者も多いため、今後も一定数は紙によるFAX業務は残ると考えられています。/span>
導入メリット
取引先によってはデータによるFAX情報の授受に抵抗されるリスクもあるペーパーレスFAXサービスですが、どのようなメリットがあるのか確認しましょう。以下4点の課題を解消できると見込まれています。
- 課題①:紙FAXの送受信量が多い
- 課題②:FAXデータを効率的に管理してきたい
- 課題③:コンプライアンスを強化したい
- 課題④:テレワークを推進したい
課題①:紙FAXの送受信量が多い
紙FAXで授受した請求書や発注書などの国税関係書類は税法上で7年以上の保存が必要であるため、多くの企業では取引先や年月日別にファイリングして保存をしています。
しかし、紙FAXで送信・受信する文書数が多くなるとそれだけでも大きな作業負荷になっているのが現実のようです。
この点、ペーパーレスFAXであれば、文書の自動仕分けが機能上可能ですので、文書の仕分け業務にかかるコストの削減を期待できます。FAX送信番号や取引先名から自動で振り分け先のフォルダを指定し、仕訳が可能です。/span>
課題②:FAXデータを効率的に管理してきたい
ペーパーレスFAXで取引情報をデータで送信・受信した場合、FAXデータの効率管理が可能になります。
例えば、データで送信・受信した文書に対してOCRを実施することで、取引年月日や取引先名、取引金額を自動でデータ化し、ファイルに属性情報として付与することが可能になるのです。
ファイルの属性情報に取引情報を付与することさえできれば、属性情報を元に検索が可能ですので、文書管理上の検索性向上を期待できます。
また、請求書などの取引年月日や金額などをデータ化した場合、データ化した情報をCSV出力して基幹システムにRPA連携するなどすることで、伝票入力の手間を最小限にすることも可能でしょう。
課題③:コンプライアンスを強化したい
紙FAXを利用する場合、請求書や発注書、見積書などが他の雑多な文書に混ざって送信・受信されるため、紛失してしまうリスクがあります。
ペーパーレスFAXを利用する場合、送信受信したデータをシステム上に保存ができますので、文書の紛失リスクを最低限に抑えられる点がメリットです。
また、文書を関係者がコピーして持ち出したとしても、操作ログを機能上で取得できますので、対処方法も迅速に検討できる点もメリットでしょう。
課題④:テレワークを推進したい
テレワークを実施する際、受発注業務は紙FAXで実施しているので出社が必要などの理由でテレワーク推進が妨げられている場合があります。
ペーパーレスファックスを利用する場合、FAXの送信・受信は自宅PCから操作ができるため、出社する必要がありません。
また、利用するFAXサービスにもよりますが、FAXの処理状況も管理できるため、FAXの利用状況をマネジメントできる点もメリットです。テレワーク推進をするのであればペーパーレスFAXサービスの導入はほぼ必須でしょう。/span>
導入デメリット
テレワーク推進をするにあたり便利なペーパーレスFAXサービスですが、利用にあたり以下のデメリットがあります。
- 専用ソフトやサービスの利用が必要になる場合がある
- 電子帳簿保存法対応が必要になる
専用ソフトやサービスの利用が必要になる場合がある
従前、利用していた紙FAXサービスでそのままペーパーレスFAXサービスを必ずしも利用できるわけではない点に注意が必要です。利用するFAX機にもよりますが、多くの場合で専用のペーパーレスFAXソフトやサービスの導入が必要になります。
ペーパーレスFAXサービスを導入する際には、準備やコストが必要になる点に留意が必要です。
電子帳簿保存法対応が必要になる
ペーパーレスFAXサービス経由で請求書や発注書などの取引情報を送受信した場合、電子帳簿保存法上で電子取引に該当します。したがって、電子帳簿保存法 電子取引要件に基づいた保存が必要である点に注意が必要です。
もし、電子帳簿保存法 電子取引要件を満たさない状態で保存をした場合、青色申告の承認取り消しなどのリスクがありますので、確実な対応が求められます。/span>
ペーパーレスFAXに求められる電子帳簿保存法対応
ペーパーレスFAXに求められる電子帳簿保存法電子取引要件対応は以下の通りです。
- 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
- 見読可能装置の備付け等
- 検索機能の確保
- 真実性の確保
電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
ペーパーレスFAX上に文書を保存する場合、利用するサービスの説明書を準備しておきましょう。また、ペーパーレスFAXからFAXデータをダウンロードして文書管理ツール上などに保存する場合には、文書管理ツールの説明書保存が必要です。
見読可能装置の備付け等
ペーパーレスFAXデータを閲覧することのできるパソコンやディスプレイを準備しましょう。機能上で「明瞭整然かつ速やかに」閲覧できる必要がありますので、普段の業務に利用しているディスプレイなどを機能転用する場合には、注意が必要です。
検索機能の確保
機能上で以下項目を検索可能、かつ、FAXデータのダウンロードの求めがあった際には応じる必要があります。
- 取引年月日
- 取引先名
- 取引金額
税務監査の際にどのようなデータダウンロードを要求されるか不安に感じる場合には以下の項目でも検索ができるようにしておきましょう。
- 範囲検索
- A&Bのような複数条件検索
真実性の確保
以下いずれかの手段の中から、都合のよい手段を一つ選択して真実性を満たす必要があります。
- タイムスタンプの付与
- 訂正削除履歴が考慮されたシステムの利用
- 訂正削除にかかる事務処理規定の作成
ただし、一度ペーパーレスFAX上からダウンロードしたFAXデータを他システムに移動させて真実性を満たす場合には、「訂正削除履歴が考慮されたシステムの利用」により真実性を法的に証明できない点に注意が必要です。/span>
なぜなら、一度ダウンロードしたFAXデータは人手による改ざんの余地があると国税庁により判断されているからです。したがって、実質的にペーパーレスFAXの真実性の確保手段は訂正削除履歴が考慮されたシステム以外になります。
まとめ ペーパーレスFAXを導入して業務効率化をしよう
テレワーク推進やFAX業務の効率化のためにはペーパーレスFAXサービスの導入がおすすめです。
ただし、ペーパーレスFAXサービスを利用して相手方と取引情報を送受信する場合、電子帳簿保存法電子取引要件を満たした保存が求められる点に留意ください。
送信・受信したFAXデータのいずれも電子帳簿保存法電子取引要件を満たした保存が必要です。
ペーパーレスFAXサービスの中にはOCR機能を有するサービスも存在するため、電子帳簿保存法対応のしやすいサービス選びが重要になります。