「電子契約サービス導入のメリットは十分理解できる。ただ、課題もあるのでは?」
と疑問に感じていませんか。
電子契約サービスを導入することで印紙税など紙固有のコストの削減や取引のリードタイムの短縮などメリットがあります。一方で、すべての契約書を電子化できない、電子帳簿保存法への対応が必要などの課題もあります。
したがって、電子契約サービスの導入メリットと課題を両方理解したうえで導入を検討したほうがよいでしょう。
当記事では、電子契約サービスの導入メリットや導入時の課題、課題を解消できるおすすめの電子契約サービスまでご紹介します。
電子契約サービス導入によるメリット
電子契約サービス導入時の課題および対応を紹介する前に、導入メリットをおさらいします。
印紙税など書面業務固有のコストを削減できる
電子契約サービスを導入することで以下のコストを削減できます。
印紙税
印紙税法上、印紙税が課されるのは書面文書に限定されるため、電子契約において印紙税は非課税です。
書面の保管コスト
法人税法上、契約書は最低7年間の保管が必要であり、書面保管のための場所にコストがかかる点が課題です。一方で電子契約であれば、システムのストレージ料金のみで保管できますので、コスト削減が見込めます。
書面の維持管理コスト
内部統制上の書面の契約書の定期チェックや相互牽制体制の構築、監査対応時の特定文書の検索などに対してコストがかかる点が課題です。
一方で、電子契約であれば、この課題に対してフォルダ別のアクセス制御、文書の自動削除、一元検索機能などが搭載されている場合が多いのでコスト削減やコンプライアンス強化を期待できます。
取引のリードタイムを削減できる
郵便法が2021/10に改正され、普通郵便が最速で翌々日の郵送となりました。したがって、取引リードタイムの長期化が課題です。
一方で、電子契約はシステム上で契約書テンプレートを活用し短時間で契約書の作成が可能です。また、URLを取引先に送付するだけで契約の締結ができるため、リードタイムの短縮化が期待できます。
電子契約サービス導入における課題と対応案
導入時メリットの多い電子契約サービスですが、一方で課題もあります。以下では電子契約サービス導入時の課題と対応案をご紹介します。
すべての契約書類を電子化できない
契約書のすべてを電子化できない点が課題です。契約の類型により有効に成立しない契約が存在します。例えば、不動産や建設業では一回の契約金額が大きくなるため、対象文書によって書面での契約を法律上で定めている場合があります。
以下具体例です。
【公正証書の作成が必要とされる類型】
- 事業性貸金契約の保証契約(民法465条の6)
- 定期借地契約(借地借家法22条) など
【書面交付が必要とされる類型】
- 宅地建物売買等の媒介契約書(宅建業34条の2)
- 宅地建物売買等契約における重要事項説明時に交付する書面(宅建業法35条) など
したがって、電子契約サービスを導入する場合は電子化予定の文書が法的に電子化可能か必ず確認しましょう。
システム上で電子帳簿保存法への対応が必要
契約書を電子化する場合、電子帳簿保存法へ対応しなければいけない点が課題です。もし、電子帳簿保存法に対応していないことが監査時に判明した場合、対象文書の経費控除が認められない、青色申告承認の取り消しリスクがありますので必ず対応しましょう。
紙を電子化して保管する、電子データをシステム上で保管する、いずれの場合も電子帳簿保存法に対応が必要です。特に電子帳簿保存法 電子取引要件(電子データをシステム上で保管するパターン)は2022/1/1から義務要件になります。
したがって、電子データで受領した文書は必ずシステム上で保管しなければいけない点に注意が必要です。
社内・取引先との調整が必要
電子契約サービスを導入するためには社内・取引先のいずれも関係者と調整が必要な点が課題です。
社内においては、電子帳簿保存法に準拠した文書の運用方法の整備および運用が求められる他、ワークフローの運用整備などの点が課題になります。
ただし、電子契約サービス事業者の中には、社内調整をサポートするサービスを提供する事業者がいますので、電子契約サービスの選定軸になります。
取引先とでは、電子契約サービスの導入を許可してもらう段階に課題があります。
電子署名の係争時の信頼性による違いにより、立会人型電子署名と当事者型電子署名があります。係争時の信頼性がより強い当事者型電子署名を利用する場合、取引先に署名の登録および当事者型電子署名を利用するためのコスト負担を強いる点に注意が必要です。
また、電子契約をする場合、取引先も電子帳簿保存法電子取引要件に対する義務が発生するため、導入に課題感を示す場合があります。したがって、導入予定の電子契約サービスが取引先の電子取引要件をカバーしているかも製品選びの軸になるでしょう。
係争時の信頼性を底上げする必要がある
契約書の係争時の信頼性は保存方法により変化する点に課題があります。契約自由の原則により、口頭であっても契約は成立しますが、契約の係争時の信頼性が異なる点に注意が必要です。
訴訟リスクに備える場合は可能な限り、係争時の信頼性(文書の証拠力)を上げるような保存方法をとりましょう。
まず、契約書の真正性(本人性&非改ざん性)を担保する点が課題です。電子サインと電子署名では、電子署名の方が係争時の信頼性が強いですが、電子署名の中にも立会人型電子署名と当事者型電子署名がありますので、より強い係争時の信頼性が必要な場合は当事者型電子署名を選択する必要があります。
また、契約書の非改ざん性をより強固に証明するために、タイムスタンプを付与したほうがよいです。タイムスタンプと電子署名を組み合わせることで、「いつ」、「だれが」、「何の」文書に署名をしたのか、証明できます。
電子契約サービスの中にはタイムスタンプを付与し、かつ、立会人型電子署名と当事者型電子署名を組み合わせた署名方法をとれるサービスもありますので、サービス選びの軸になるでしょう。
運用管理を整備する必要がある
契約業務を電子化することで、文書の保存・管理の運用方法を検討する必要がある点に課題があります。
ワークフローの承認順や文書の保管年数、文書別のアクセス権の付与、文書ファイルの命名規則、文書別の監督者などの定義が必要です。したがって、運用開始後のシステム上での運用のしやすさや機能の充実度がサービスの選定軸になるでしょう。
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まとめ システムを導入して契約締結を効率化しよう!
電子契約サービスは導入することでコストの削減やリードタイムの短縮などメリットがあります。一方で、電子帳簿保存法への対応コストや取引先への説明対応などに課題がある点に注意が必要です。
ただし、電子契約サービスによっては課題への対応負荷を減らすサポートや機能が備わっている場合がありますので、課題への対応有無が製品の選定軸になる点に留意ください。
基本的にメリットがデメリットを上回りますので、電子契約サービスを企業に導入して契約業務の効率化をしていきましょう!