「初めて電子契約サービスを導入予定だけれど、導入時の問題点は何があるの?」
「問題点以外に導入時に注意すべきポイントは?」
と疑問に感じていませんか。
電子契約サービスを導入することで契約業務に関連するタスクの業務負荷や工数を削減できるなどメリットがあります。一方で、導入したことで発生する問題点も一部あるため、導入前に確認が必要です。
問題点を解消する機能を搭載した電子契約サービスを選定し、導入後の問題点に対応できる状況を作っていきましょう!
当記事では電子契約サービスの導入メリット、導入時の問題点、導入時に気を付けるべきポイントまでご紹介します。
導入メリット
電子契約サービスを導入することで以下のメリットが得られます。
契約業務に関連する負荷・工数を削減できる
既存の書面による契約業務をクラウドなどオンライン上で実施することで、書面業務固有の以下の業務に係るコストを削減できます。
- 印紙税
- 書面の保管・管理コスト
- 契約業務における特定帳票の検索コスト
- 監査時の対応コスト
特に印紙税は1つの契約書あたり2,000円~程度かかる場合も多いため、電子契約サービスを導入したことによるコストメリットが非常に大きいといえます。
取引のリードタイムを短縮できる
郵便法が2021/10に改正され、普通郵便の最短郵送日が翌々日になりました。したがって、取引のリードタイムの長期化が懸念されます。一方で電子契約サービスであれば、相手方にメールでURLを送付するのみで契約を締結できることが多いため、取引のリードタイム短縮を期待できます。
また、電子契約サービスでは契約書のテンプレート登録や取引先別のステータス管理など契約業務を効率化する機能が豊富に搭載されていることにより、契約業務そのものに係るコスト・時間を削減できる点も魅力的です。
導入時の問題点
電子契約サービス導入時のメリットが豊富にあるものの、一方で導入時の問題点もあります。問題点に対応した電子契約サービスを選ぶ必要があるでしょう。
署名方法をどうするか
電子契約サービスにおいて使用する署名方法を何にするかが問題点にあがります。電子契約サービスで利用するデジタル署名により、署名を付与された電子文書の係争時における信頼性が異なるからです。
デジタル署名において電子証明書を利用者が発行するかどうかにより、以下の署名方法があります。
- 立会人型
- 当事者型
立会人型は導入時のコストや手間が少なくて済むものの、当事者型と比較して係争時の信頼性は低く点が問題点です。
一方で、当事者型電子署名は立会人型と比較して係争時の信頼性は高いものの、導入時にコストおよび手間が発生する点に問題点があり、各署名方法に一長一短があります。ただし、立会人型および当事者型はいずれも法的効力を保持する点には留意が必要です。
また、電子契約サービスの中には立会人型と当事者型を併用可能な電子契約サービス(ハイブリッド型)も存在します。
ハイブリッド型を利用した場合、自社企業は当事者型、相手方は立会人型のデジタル署名を付すような運用が可能です。署名方法の点が問題点に感じる場合はハイブリッド型のサービスを検討しましょう。
取引先からの合意をどのように得るか
取引先から電子契約サービス導入の合意をいかに得るかが問題点です。電子契約サービスを導入することで少なからず取引先に負荷を与えるため、導入することで取引先にもメリットがある点を伝える必要があるでしょう。
煩雑な契約業務を電子化することで業務の効率化を見込める点に取引先にメリットがある上、印紙税の削減などコストメリットを享受できるなどのメリットは契約の当事者共通のメリットですので、訴求することが重要です。
また、取引先によっては電子契約サービスの知名度が低いとセキュリティや機能性に疑問を感じ導入を断られる場合があります。
昨今では電子契約サービスが普及したこともあり、取引先の利用する電子契約サービスに合わせて1社で複数の電子契約サービスを利用することも多いです。したがって、可能な限り利用する電子契約サービスを少数に抑えたいという需要が取引先にはあります。
したがって、より確実な導入をしたい場合はDocuSign(ドキュサイン)など、世界シェアが高いサービスを導入することをおすすめします。
DocuSign(ドキュサイン)などの世界シェアの高い電子契約サービスであれば、取引先が既に利用されている場合も多く、かつ、知名度が高いためスムーズな合意が得られるでしょう。
社内の運用フローをどのように整備するか
電子契約サービスを導入することで、既存の社内業務フローが変更されるため、新しい業務フローをどのように設計するかが問題点です。
電子契約サービスによっては、社内稟議に利用可能なワークフロー機能を搭載しているサービスがあるため、社内の業務フローを効率化できます。
ワークフローを利用した場合に例えば以下が問題点として挙げられるでしょう。
- 承認者は誰にするのか
- 承認ルートはどの程度作成するのか
- 申請時にワークフローに添付する資料は何にするのかなど
セキュリティリスクをどのように抑えるか
セキュリティリスクをいかに抑えるため、セキュリティをいかに強化・対策するかが問題点です。書面で契約業務を実施する場合、例えば以下が問題点(セキュリティリスク)としてありますが、電子契約の場合以下の問題点をある程度解消できます。
- 書面契約書の持ち出し
- 不正な閲覧 など
一方で、契約業務を電子化することで新たに以下の問題点(セキュリティリスク)が出現するため、電子契約サービス上で問題点を回避できる機能を搭載しているか確認する必要があるでしょう。
- なりすましによるデジタル署名
- 電子文書の不正コピー・改ざん
- サイバー攻撃
- システムへの不正侵入 など
電子契約サービス導入時に注意すべきポイント
電子契約サービスの導入時、問題点とは別に注意すべきポイントがあります。
すべての契約書の原本を電子化できるわけではない
一部の契約書では原本の電子化が認められていない点に注意が必要です。例えば、不動産業務における一部の契約書では契約金額が大きいため、原本の電子化は認められていません。
他原本の電子化が認められていない契約書例は以下の通りです。
【公正証書の作成が必要とされる類型】
- 事業性貸金契約の保証契約(民法465条の6)
- 定期借地契約(借地借家法22条) など
【書面交付が必要とされる類型】
- 宅地建物売買等の媒介契約書(宅建業34条の2)
- 宅地建物売買等契約における重要事項説明時に交付する書面(宅建業法35条) など
ただし、契約書の原本を電子化してはいけないだけであって、契約書の電子化自体は認められている点に留意が必要です。
法律に対応しなければいけない場合がある
書面と同様に電子契約も税法会計上、決算申告に関係する書類に分類されますので、法律に従い、確定申告書の提出期限の翌日から7年間(繰越欠損金がある場合は10年)保管する義務があります。
したがって、システム上で長期保管できるか確認した上で電子契約サービスを導入しなければいけない点に注意しましょう。
また、国内における取引情報にあたる電子契約書を保持している場合は電子帳簿保存法電子取引要件を満たして保存する必要があります。
したがって、電子契約サービス上で電子取引要件を満たす想定である場合は、導入予定の電子契約サービスが電子取引要件を満たしているかもサービス選びの軸になるでしょう。
ただし、必ずしも電子契約サービス上で電子帳簿保存法電子取引要件を満たす必要があるわけではない点に注意が必要です。すでにお持ちのシステム上に電子契約を移し変えることで対応もできますので運用をご検討ください。
まとめ 電子契約サービスの導入時の問題点を把握しよう!
電子契約サービスは印紙税のコストカットなどメリットが豊富にありますが、同時に導入時の問題点もあります。
問題点としてセキュリティリスクをいかに抑えるか、取引先からの導入合意をいかに得るかなどがありますが、導入前に問題点自体を把握していれば、対応が可能な問題点ばかりですので、問題点を把握したうえで導入を進めましょう。
問題点に対応した機能を確認して電子契約サービスを導入しましょう!