「電子契約サービス利用時、電子証明書の発行は必要?」
「電子証明書の発行機関一覧を知りたい」
と疑問に感じていませんか。
当事者型の電子契約サービスを利用する場合には利用者双方で電子証明書の発行が必要です。一方で立会人型の電子契約サービスを利用する場合には利用者自身で電子証明書の発行は不要ですので、利便性が高いといえます。
当記事では電子契約サービス利用時の電子証明書の発行有無、電子認証局の概要や認証局一覧についてを併せてお話していきます。
立会人型電子契約サービスであれば電子証明書の発行は不要
そもそも、立会人型の電子契約サービスを利用すれば電子証明書の発行は不要です。以下では立会人型電子契約サービスでは、電子証明書の発行が不要である理由を解説します。
電子契約サービスには2タイプある
電子契約サービスにはサービス利用者自身が電子証明書を発行するか否かによって、以下の2タイプに分かれます。
- 立会人型
- 当事者型
当事者型電子契約サービスは電子契約サービスの利用者自身が電子証明書を発行し、電子署名を付与するタイプの電子契約サービスです。利用者自身が電子署名を付与するため、万が一係争になった時の証拠力が比較的高いとも考えられています。
一方で立会人型電子契約サービスの場合、利用者自身は電子証明書を発行せず、サービス事業者が代わりに電子署名を付与するためタイプの電子契約サービスです。
電子契約サービスで世界No1シェアのDocuSignが立会人型であることからも世間一般的に利用頻度が高いのは立会人型電子契約サービスのようです。
当事者型電子契約サービスを利用する場合に電子証明書の発行が必要
電子証明書を発行する場合、利用する認証局にもよりますが、1年間で4,300円~15,000円のコストがかかります。以下は法務省による電子認証登記所の費用例一覧です。
認証局 | 費用(税別) |
---|---|
3ヵ月: | 1,300円 |
6ヵ月: | 2,300円 |
9ヵ月: | 3,300円 |
12ヵ月: | 4,300円 |
15ヵ月: | 5,300円 |
18ヵ月: | 6,300円 |
21ヵ月: | 7,300円 |
24ヵ月: | 8,300円 |
27ヵ月: | 9,300円 |
したがって、当事者型電子契約サービスを利用する場合には、自社、相手方双方に電子証明書の発行の手間とコスト負担が必要になりますので確認ください。
立会人型電子契約サービスであれば、電子証明書の発行は不要ですから簡単に電子署名を付与できる点にメリットを感じる企業が多いようです。
電子認証局とは何か
ここからは電子証明書を発行する電子認証局についてもう少し詳細に解説をします。
電子証明書とは電子上の本人確認書類
そもそも、電子証明書とは書面契約でいうところの印鑑証明書に該当します。印鑑証明書と同様に電子証明書は契約手続きが本人によって実施されたことを証明する用途で利用されます。
電子契約では書面契約のように押印が難しいですから、押印の代わりに契約の真正性を満たすための手段が必要です。そこで電子契約では電子署名法3条に記載の通り、電子署名を電子契約に付与することで真正性を確保できるとしています。
電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
電子証明書の有効期限は最大で5年と法律上で定められていますので、電子証明書を利用する場合には5年以内に再発行をする必要がある点に留意ください。
電子認証局が電子証明書を発行する
この電子署名法3条に記載があるような電子署名を付与するために必要な電子証明書を発行するのが電子認証局です。電子認証局は電子証明書の発行に加えて、電子証明書の失効や管理も役割となっています。
電子証明書を入手する場合には法務省のHPから専用ソフトをダウンロードして電子証明書の発行に必要なファイルを作成してください。その後、会社の所在地を管轄する電子認証局で発行申請を行えば電子証明書を発行できます。
一口に電子認証局といっても2種類ある
電子認証局と一口にいっても以下の2タイプが存在します。タイプの違いにより電子証明書の発行にかかる費用などの点で異なりますので特徴を確認しましょう。
- パブリック認証局
- プライベート認証局
パブリック認証局
パブリック認証局は公の機関によって運営されている電子認証局です。国内においては法務省が運営するものと、民間企業が運営する2タイプが存在します。
第三者機関として電子証明書を発行しますので、セキュリティが高く、非改ざん性が低い点にメリットがあります。一方で、電子証明書を発行する際には電子認証局ごとに定められた費用がかかりますので注意が必要です。
社外の相手方関連とやり取りする場合に電子証明書が必要な際にはパブリック認証局を利用して電子証明書を発行するとよいです。
プライベート認証局
プライベート認証局は個人や企業によって運営される電子認証局です。パブリック認証局と異なり、電子証明書の発行を自由にできる点にメリットがあります。自社で電子証明書を発行しますので、低費用で発行できる点もメリットでしょう。
社内ネットワーク上のみでデータのやり取りをする場合には相手方の素性が明らかですので、プライベート認証局によって発行された電子証明書が利用されることが多いようです。
認証局の構成は3つの役割・組織に分かれる
認証局は役割毎に以下3つの組織に分かれています。
- 登録局
- 発行局
- 検証局
登録局
登録局(RA:Registration Authority)は電子証明書の発行・案内をする機関です。町役場の印鑑受付登録のようなイメージを持つと良いでしょう。
発行局
発行局(IA:Issuing Authority)は登録局で依頼を受けた電子証明書を実際に発行する機関です。
検証局
検証局(VA:Validation Authority)は電子証明書の正確性を確認する機関です。登録局や発行局は同一の機関である場合もありますが、検証局は独立した機関として存在します。
検証局は電子証明書の失効リスト(CRL)を管理することで、電子証明書の有効性の担保を実施するのです。
認証局一覧
電子認証局の一覧は以下の通りです。当事者型の電子契約サービスを利用する場合には、自身の会社の所在地を管轄する電子認証局を把握したうえで電子証明書の発行をするようにしてください。
特定認証業務の名称一覧 | 業務を行う者の名称一覧 | 業務を行う者の住所 | 認定日 |
---|---|---|---|
株式会社日本電子公証機構認証サービスiPROVE | 株式会社日本電子公証機構 | 東京都墨田区錦糸二丁目14番6号 | 平成13年12月14日 |
セコムパスポート for G-ID | セコムトラストシステムズ株式会社 | 東京都渋谷区神宮前一丁目5番1号 | 平成14年 7月 4日 |
TOiNX電子入札対応認証サービス | 東北インフォメーション・システムズ株式会社 | 仙台市青葉区中央二丁目9番10号 | 平成14年12月10日 |
TDB電子認証サービスTypeA | 株式会社帝国データバンク | 東京都港区南青山二丁目5番20号 | 平成15年 2月 5日 |
e-Probatio PS2 サービス | NTTビジネスソリューションズ株式会社 | 大阪市北区大深町3番1 | 平成17年11月 9日 |
DIACERTサービス | 三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 | 東京都芝浦四丁目6番8号 | 平成26年2月6日 |
AOSignサービスG2 | 日本電子認証株式会社 | 東京都中央区築地五丁目5番12号 | 平成26年7月31日 |
DIACERT-PLUSサービス | 三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社 | 東京都芝浦四丁目6番8号 | 平成27年1月21日 |
e-Probatio PSA サービス | NTTビジネスソリューションズ株式会社 | 大阪市北区大深町3番1 | 平成28年11月1日 |
まとめ 認証局の一覧を確認してみよう
立会人型の電子契約サービスを利用するのであれば、利用者自身で電子証明書の発行は不要です。
一方で当事者型の電子契約サービスを利用する場合には電子証明書の発行が必要になりますので、電子認証局の一覧を確認して、所轄の電子認証局に電子証明書の依頼を実施してください。
とはいえ、電子証明書の発行には手間とコストがかかります。電子契約サービスの主流は立会人型ですし、手間とコストをかけずに電子契約サービスを利用できますから、特別な理由がなければ立会人型の電子契約サービスを利用するとよいでしょう。