インターネットの普及に伴い、企業間のみならず、個人間における電子取引も活発に行われるようになりました。
一方で、個人間の取引範囲が拡大するにつれ、商品の金額や支払いに関するトラブルが増えているのも現状です。
そこでこの記事では、個人間取引における問題点と、サービスの活用事例をご紹介。
個人間取引で電子契約を活用するメリットも解説しているので、より安全に個人間取引を行いたいとお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
インターネットの普及で拡大する個人間取引
まずは、インターネットの普及によって広がりを見せる個人間取引の範囲と、個人間取引の規模が拡大していくに伴って生じている様々な問題について詳しく見ていきましょう。
個人間取引の範囲
インターネット上での取引は、これまで事業者対消費者(BtoC)の電子商取引の場としてその規模を拡大してきました。
個人間(CtoC)の取引については、電子掲示板などでのやり取りが主でしたが、インターネットの普及に伴い、事業者が提供するオークションシステム上でも取引されるようになりました。
現在はスマートフォンが普及したことで、フリマアプリを介した個人間取引や、シェアリングエコノミーを活用した個人間での役務提供なども活発に行われています。
個人間取引の問題点
個人間取引の活発化は、インターネット上の様々なトラブルを生む要因にもなっています。
個人間での取引における主なトラブルは以下の通りです。
- 商品の品質・数量・金額に関するトラブル
- 支払いの手続きに関するトラブル
- 評価・口コミに関するトラブル
- 配送に関するトラブル など
個人間取引の場合は事業者を介していないため、当事者同士の信用性の判断が難しく、特に匿名の場合などはトラブルが起きたときに当事者間のみで解決を図ることが難しくなります。
また事業者が定めたルールを逸脱するような行為によって取引が行われることもあるなど、利用者が想定外の不利益を被る可能性もゼロではありません。
こうしたトラブルを解消するには、個人間取引を媒介するシステムやプラットフォームの存在が不可欠です。
次章では、主に電子契約の仕組みを活用した個人間取引向けのシステム事例をいくつかご紹介していきます。
電子契約を活用した個人間取引のサービス事例
続いて、個人間取引に利用できる電子契約サービスの事例をいくつか見ていきましょう。
【クラウドサイン】個人間の普通賃貸借契約を電子化
1つ目は、“個人間で締結される賃貸借契約”を電子契約で行えるようにした事例です。
こちらは三井不動産リアルティ株式会社の事例で、個人の貸主・借主間で締結する普通賃貸借契約において、電子契約サービス「クラウドサイン」を利用できるようにしたものです。
クラウドサインを使った電子契約の流れは以下の通り。
- 貸主・借主がそれぞれ三井不動産リアルティのWebサイトにアカウント登録を行う
- 本人認証の完了後、貸主宛てに届くメールを開き、賃貸借契約書類を確認する
- 必要事項を入力して手続きを完了すると、次いで借主宛てに確認メールが届くので、同様の操作を行う
- 双方が賃貸借契約に同意した時点で契約締結となり、クラウドサインの運営会社(弁護士ドットコム)が電子署名を付与することで証跡を記録
- 貸主・借主に電子署名が付与された契約書類が配信される
このシステムの導入により、個人間取引にかかる負担の軽減や利便性の向上、またペーパーレス化の推進といった効果が得られています。
【common】金銭消費貸借契約のための新システム
2つ目は、個人間におけるお金の貸し借りをクラウド上で管理できるようにした事例です。
こちらはcommon株式会社が提供する「common」というサービスを利用したもので、お金の貸し借りに関する契約書の作成・返済期日管理・電子サイン・返済催促の書状送付などに対応しています。
電子契約を用いた金銭消費貸借契約の締結が可能で、書面の郵送や備品購入の手間・コスト削減を実現します。
月額400円で利用できるため、「無料のサービスには不安があるが、大手の電子契約サービスは予算オーバー」という中小企業・個人事業主の方におすすめのサービスです。
電子契約のメリットとは
個人間取引にも活用され始めている電子契約ですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、電子契約の活用で期待できる2つの大きなメリットについて解説していきます。
コスト削減
電子契約を利用することで、契約締結に関わるコストの削減を見込めます。
書面で契約を結ぶ場合は、契約書類の印刷(プリンター・インク・用紙)や郵送(封筒・切手)などにコストがかかりますが、電子契約の場合はこれらのコストを大幅に削減できます。
また電子契約の場合は収入印紙が不要となることから、個人間取引を行う頻度が高い方、金額が大きい方などにとっては大きなメリットと言えるでしょう。
手続きの簡略化・効率化
電子契約を用いると、様々な手続きの簡略化・効率化というメリットも期待できます。
例えば書面で個人間取引を行う場合、書類の作成や印刷・製本・捺印・郵送といった作業を経る必要があるため、契約締結が完了するまでに1週間以上かかるケースも少なくありません。
一方電子契約であれば、電子契約サービスを介してオンライン上で書類の送受信が可能となることから、早ければ数分程度で契約を完了できます。
契約書の準備にかかっていた時間を大幅にカットできれば、その分別の作業に時間をかけられるため、効率的に取引を行えるでしょう。
まとめ
- インターネットやスマートフォンの普及とともに、個人間取引の範囲は広がりを見せている
- 個人間取引の場合は金銭トラブルや品質トラブルが起こりやすいため、プラットフォームの存在が不可欠
- 電子契約サービスを活用することで、コスト削減や作業の効率化といったメリットが期待できる
電子契約は大企業向けのサービスというイメージが強いかもしれませんが、中小企業や個人事業主にとっても重要な仕組みであると言えるでしょう。
個人間取引でのトラブルを防止するためにも、積極的に電子契約サービスを活用してみてください。