電子契約化が不可の契約書とは?電子化できる文書例一覧や関連法を解説!

電子契約化が不可な契約書の条件を解説 文書例や関連する法律も紹介!

「電子契約の利用が不可の契約書とは?」

「電子契約化が不可である法律的な根拠とは?」

と疑問に感じていませんか。

電子契約サービスを利用することで大多数の契約書の電子化が可能です。ただし、不動産業界など一部の契約書で原本の電子化が不可のため注意が必要です。

当記事では、電子契約が法的に有効である根拠、契約書の中で電子契約化が不可な書類の一覧、一部条件付きで電子契約化が不可でない契約書の一覧、対象の契約書が電子契約化が不可かの見分け方までご紹介します。

当記事を参照して電子契約化不可な文書を把握しましょう!

目次

そもそも電子契約は法的に有効?

電子契約は書面契約と同等に法的に有効であると考えられます。民法522条2項を参照すると以下の記載を確認できます。つまり、契約の締結に際して、契約方法は問われないということです。

契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

したがって、契約方式は自由であると考えられるため、極端な話をすれば口頭でも契約は締結可能です。とはいえ、口頭のみでは、後日係争になった場合に信頼性に劣るため、契約書を作成するのが一般的です。

契約書の中には一部電子契約化が不可の書類がある

電子契約サービスを利用することで書面契約と同等の法的有効性を保持しつつ、印紙税の削減や取引のリードタイム短縮などメリットを受けられます。一方で、すべての契約書の一部では電子契約化が不可な点にデメリットがありますので注意が必要です。

電子契約化が不可な文書例一覧

現時点(2022/1)で電子契約化が不可な書類例は以下の通りです。

文書名 根拠法令
不動産売買・交換の媒介契約書 宅建業法34条2
不動産売買・賃貸借契約の重要事項説明書 宅建業法35条5項・7項 
不動産売買・交換・賃貸借契約成立後の契約等書面 宅建業法37条
定期借地契約書 借地借家法22条
事業用定期借地契約 借地借家法23条
定期建物賃貸借契約書 借地借家法38条1項
定期建物賃貸借の説明書面 借地借家法38条2項
取壊予定建物の賃貸借契約における取壊事由書面 借地借家法39条2項
特定商取引(訪問販売等)の契約等書面 特定商取引法4条、5条、9条、18条、19条、37条、42条、55条

ただし、上記の契約書例はあくまで現時点(2022/1)でのものです。

2022/9にデジタル改革関連法案が成立し、その法案内の「押印・書面の交付等を求める手続きの見直し」の中で、以下法改正により、主に不動産業において電子契約が不可でない契約書の範囲が増えていることがわかります。

  • 借地借家法
  • 宅地建物取引業法
  • マンションの管理の適正化の推進に関する法律 など

したがって、2022/5を目安に今後電子契約化可能な契約書が増えていくと想定されます。

相手方の承諾があれば電子契約化が可能文書例一覧

また、一部の契約書では書面契約が原則であるが、相手方の承諾や希望、請求があれば電子契約化が不可でない契約書があります。契約書例は以下の通りです。

文書名 根拠法令 求められるアクション
建築請負契約の契約書 建設業法19条3項、施行規則13条の2 承諾
設計受託契約・工事監理受託契約の重要事項説明書 建築士法24条の7第3項 承諾
設計受託契約・工事監理受託契約成立後の契約等書面 建築士法24条の8第2項 承諾
旅行契約の説明書面 旅行業法12条の4、12条の5、施行令1条等 承諾
マンション管理業務委託契約書 マンション管理適正化法72条、73条 承諾
下請会社に対する受発注書面 下請法3条2項 承諾
不動産特定共同事業契約書面 不動産特定共同事業法24条、25条 承諾
投資信託契約約款 投資信託及び投資法人に関する法律5条 承諾
金融商品取引契約等における説明文書 金融商品取引法等 承諾
貸金業法の契約締結前交付書面 貸金業法16条の2第4項 承諾
貸金業法の生命保険契約等に係る同意前の交付書面 貸金業法16条の3第2項 承諾
貸金業法の契約締結時交付書面 貸金業法17条7項 承諾
貸金業法の受取証書 貸金業法18条4項 承諾
割賦販売法の契約等書面 割賦販売法4条の2、割賦販売法35条の3の8・同条の3の9第1項、同3項 承諾
労働条件通知書面 労働基準法15条1項、施行規則5条4項 希望
派遣労働者への就業条件明示書面 派遣法34条、施行規則26条1項2号 希望
金銭支払の受取証書 民法486条2項 請求

対象の契約書が電子契約化可能かの確認の仕方

上述した記事上に契約書例に記載がないが、電子契約化が不可かどうか調べたい場合もあるのではないでしょうか。以下の3つのフロー(分岐)を踏んでいただくことで対象の契約書が電子契約化が不可か確認できます。

  1. 法令上に「書面」で保存or交付と記載があるか
  2. e-文書法上に電子化を認める法律の対象か
  3. 電磁的措置などの電子契約化要件が規定されているか

確認①:法令上に「書面」で保存or交付と記載があるか

電子契約化したい文書の関連法令に「書面で保存する」「書面で交付する」など、具体的な手法を書面と規定した文言がないか確認してください。法律のみだけではなく、省令、施行規則、ガイドライン、留意事項などにも目を通す必要がある点に注意が必要です。

「書面」以外に「文書」、「書類」が紙を示している場合があります。文書や書類の定義に紙が含まれるか確認して下さい。もし、関連法令に「書面」などと記載がない場合は、民法522条第2項に定める契約方式自由の原則により、電子契約化可能です。

「書面」など記載がある場合は「確認②:e-文書法上に電子化を認める法律の対象か」に基づいて確認を進めてください。

確認②:e-文書法上に電子化を認める法律の対象か

e-文書法や条例に電子化可能な文書として記載があるか確認してください。e-文書法とは、2004年に施行された法律で従来法令により書面保管が義務付けられていた国税関係書類などの法定保存文書の電子化を認めた法律です。

このe-文書法の中に電子化可能な文書として記載があれば、電子契約化可能です。また、横浜市など一部の自治体では条例上で電子化可能な文書を記載している場合があるため、併せて確認が必要でしょう。

e-文書法や条例に電子化可能な旨が記載ない場合は「確認③:電磁的措置などの電子契約化要件が規定されているか」に基づいて確認を進めてください。

確認③:電磁的措置などの電子契約化要件が規定されているか

電磁的措置や電子情報処理組織を利用することにより電子契約化可能な要件があるか確認してください。ただし、このような要件は施行規則、ガイドライン、留意事項など様々な種類の文書に点在して記載してある場合がありますので、記載を確認するのに骨が折れる点に留意が必要でしょう。

ある程度記載を探して見つからなければ、監督官庁に問い合わせをすることをおすすめします。

電磁的措置などの電子契約化要件が規定されていない場合、当該の文書の電子契約化は不可であると考えられます。電子契約化が不可である場合、書面保管が必要な点に留意ください。

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まとめ 電子化不可な契約書を把握したうえでシステムを導入しよう!

まとめ 電子化不可な契約書を把握したうえでシステムを導入しよう!

契約書の一部で電子契約化不可であるとはいえ、あくまで電子契約化不可であるのは非常に限られた一部の契約書です。したがって、電子契約サービスを導入した場合にまったくメリットがないということではありません。

基本的に電子契約サービスを導入することで印紙税の削減や取引のリードタイムの短縮、契約業務の効率化などのメリットが大きいですので導入がおすすめです。

電子契約化不可な書類を確認した上で、電子契約サービスを導入して契約業務を効率化していきましょう!

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