「電子契約サービスを導入予定だけれど、注意点は?」と疑問に感じていませんか。
電子契約サービスは導入により印紙税削減などメリットが大きいですが、導入時に気を付けなければいけない注意点があります。
例えば、国内企業と取引をしている場合は電子帳簿保存法電子取引要件を遵守しなければいけません。もし、電子帳簿保存法を順守していないことが税務監査時に指摘された場合は青色申告の承認取り消しリスクがありますので注意が必要です。注意点を確認して導入によるデメリットを回避しましょう。
当記事では、電子契約の導入時、契約締結時、保管時の注意点をご紹介します。
電子契約はメリットがある一方で注意点がある
電子契約サービスを導入することで以下のメリットがあります。
印紙税など書面業務固有のコストを削減可能
印紙税は書面文書のみに課税されるため、電子契約を導入した場合印紙税を削減できます。また、書面の契約書の長期保管に伴う、経理の管理コストや保管場所を節約できる点もメリットです。
電子契約サービス上に保管していれば、データの検索性があがるため、監査コストなど、経理の担当者の工数を削減できる点もメリットでしょう。
取引のリードタイムを短縮可能
2021/10に郵便法が改正され、普通郵便は最短で翌々日の郵送になりました。したがって、取引のリードタイム長期化が課題です。
一方で電子契約サービスであれば、印鑑の付与が不要であり、URLを送付するだけで契約を締結できる場合も多いため、取引のリードタイム短縮化ができます。
電子契約サービスを導入するメリットがある一方で、電子契約サービス導入時に気を付けなければいけない注意点も存在します。注意点に気を付けさえすれば、問題なくメリットを享受できますので必ず対応しましょう。
電子契約導入時の注意点
電子契約サービス導入時の注意点を紹介します。注意点は以下の通りです。
- 社内の業務フローを整備する必要がある
- 取引先から合意を得る必要がある
社内の業務フローを整備する必要がある
電子契約サービスを導入した場合、企業内の稟議をワークフロー上で実施できます。したがって、ワークフロー上の承認ルートを整備が必要です。ユーザー向けのワークフロー利用手順書の作成、ユーザー向け説明会の実施などが求められます。
電子契約サービス事業者の中には導入支援プログラムを提供する事業者も存在するため、導入後、運用にのるか不安を感じる場合は事業者への相談をおすすめします。
取引先から合意を得る必要がある
電子契約を導入するためには、取引先から合意を得る必要があります。立会人型であれば、取引先の負担を少なく導入できますので、合意を得ることも容易です。
一方で、当事者型の場合、取引先が電子証明書を発行する必要があるため、導入に懸念を示される可能性がある点に注意が必要でしょう。
電子契約サービスの中には立会人型と当事者型を併用したハイブリッド型電子署名が可能なサービスもありますので、要件にあえばご利用ください。
また、利用する電子契約サービスの知名度によって、取引先に導入を断られる場合もあります。なぜなら、取引先としても利用する電子契約サービスは少なくしたいですし、無名の電子契約サービスのセキュリティに懸念を感じる場合が多いからです。
したがって、スムーズな導入を目指す場合は世界シェアや国内シェアの大きいサービスの利用をおすすめします。
締結時の注意点
契約締結時の注意点を紹介します。注意点は以下の通りです。
- すべての契約書を電子化できるわけではない
- 署名の方法により係争時の信頼性に差がある
すべての契約書の原本を電子文書にできるわけではない
書面の契約書のすべてを電子化し、電子文書を原本とすることはできません。例えば、不動産業の一部の契約書では、一回の契約金額が大きいため書面での契約を法的に求めている場合があります。
例えば、以下の契約書は電子文書を原本とできません。
【公正証書の作成が必要とされる類型】
- 事業性貸金契約の保証契約(民法465条の6)
- 定期借地契約(借地借家法22条) など
【書面交付が必要とされる類型】
- 宅地建物売買等の媒介契約書(宅建業34条の2)
- 宅地建物売買等契約における重要事項説明時に交付する書面(宅建業法35条) など
ただし、契約書の電子化自体が禁止されているわけではない点に注意が必要です。書面の原本を保管し、社内での検索性や管理をしやすくするために、電子文書も二重で保存する手法も考えられます。
署名の方法により係争時の信頼性に差がある
契約書への署名方法により係争時の信頼性に違いがある点に注意が必要です。署名方法により、署名タイプは立会人型と当事者型に分けられます。
立会人型は導入時にコストと手間が少なく済むメリットがありますが、係争時の信頼性に劣る点が特徴的です。一方で当事者型は電子証明書の発行が必要なため、コストと手間がかかりますが、係争時の信頼性に優れています。
電子契約サービスの中には立会人型と当事者型を併用できるサービスもありますので、サービス選びのポイントになるでしょう。
保管時のポイント
保管時の注意点を紹介します。注意点は以下の通りです。
- 電子帳簿保存法を順守する必要がある
- システム上のセキュリティを強化する必要がある
電子帳簿保存法を順守しなければいけない場合がある
国内企業と取引をし、税務会計監査を受ける場合は、電子契約は税務会計上、決算・申告に関連する書類に分類されますので、法律(電子帳簿保存法)を順守した保存が必要です。
契約業務をすべて電子上で実施する場合は電子帳簿保存法の電子取引要件を満たす必要があります。電子取引要件は大きく以下4つの要件があります。
- 書類の備付
- 見読可能装置の備付
- 可視性の確保
- 真実性の確保
2022/1/1に電子帳簿保存法が改正され、上記要件を満たさず電子保存していた場合は対象文書の経費控除を認められない、青色申告の承認取り消しなどのリスクがありますので気を付けましょう。
また、紙文書を電子化する場合は電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たす必要があります。ただし、紙の契約書を紙のまま保存したとしても2022/1/1以降、何かリスクがあるわけではない点に留意ください。
電子契約を導入する場合は、導入予定の電子契約サービスが単体で電子取引要件を満たしているかがサービス選び成功のポイントの1つになります。
ただし、電子契約サービスから電子文書をダウンロードし、他システムで対応する手法も認められていますので、留意ください。
セキュリティを強化する必要がある
書面の契約書を電子契約に置き換えた場合も、変わらずセキュリティリスクがあります。したがって、電子契約サービス上でセキュリティを強化しなければいけません。
電子契約の場合も、税法の規定に則り保存する義務がありますので、最低7年間の保存義務があります。(繰越欠損金がある場合は10年保存)
したがって、電子契約を長期間サービス上で保存するのであれば、電子契約サービス上に長期間保存ができるのか、技術的にセキュリティ要件を満たすシステムになっているのかがサービス選びで重要になるでしょう。
例えば以下の機能があるかが確認ポイントになります。
- タイムスタンプやデジタル署名が付与できるか
- IPアドレスでアクセス制御ができるか
- 二要素認証ができるか
- ISO 27001などセキュリティ認証を取得しているか
- SLA上の安定稼働水準はどの程度に設定されているか
- 電子契約書ごとのアクセス制御ができるか
- 長期保管した場合のストレージコストはどの程度か など
まとめ 書面を削減して印紙税などのコストを削減しよう!
電子契約サービスを導入することでコスト削減ができます。印紙税は1通あたり2,000円~程度かかる場合も少なくないため、印紙税を削減するだけでも大きなコストメリットがあるでしょう。
印紙税の削減に加えて管理コストや監査コストなどを削減できる点もメリットです。このように、メリットの多い電子契約ですが、導入時にいくつか注意点がありますので、確認の上導入してください。注意点さえ気を付ければ、メリットを享受できます。
注意点を確認したうえで電子契約サービスを導入し、経理業務を効率化していきましょう!