「2023年度以降の電子契約サービス国内市場の動向予測は?」
と疑問に感じていませんか。
ITRが公表している「IT投資動向調査2023」によれば、2023年以降も電子契約サービスの市場規模は拡大動向です。
矢野経済研究所によるデータによれば、電子契約サービス市場は2025年に395億円程度の市場になると見込まれていますので、長期的に見ても拡大動向の市場といえます。
当記事では、2023年度以降も電子契約サービスの市場規模が拡大するデータや市場が拡大動向を示す背景をご紹介します。
2023年度以降も電子契約サービスの導入は進む
2023年度以降も電子契約サービス市場は拡大動向とみられています。以下ではその理由を解説していきます。
ITRの「IT投資動向調査2023」を元に解説
2022/8-9月にITRによって「IT投資動向調査2023」が実施され、2022/11に公表されています。
この調査レポートを参照することで、今後の電子契約サービスの市場動向を把握できるため、当レポートを元に電子契約サービス市場動向を解説します。
2022年度はIT投資額が過去最高額になった
2022年度は2021年度と比較してシステム投資を増額した企業が6%増加し、リモートワークが普及したことなどを背景に着実にシステム投資が増加動向であることがわかります。
2023年度にも同様に41%の企業がシステム投資を増額することが予想されているため、電子契約サービスに回される投資額も一定程度あることが予想されているのです。
2023年度も電子契約サービスへの投資は進む
実際に2023年度にシステム投資の増額・新規導入が期待される製品・サービスの1位に電子契約サービスがあることから、2023年度以降も電子契約サービス市場が拡大動向にあるといえます。
電子契約市場規模は2025年に395億円程度になる見込み
矢野経済研究所が公表している今後の電子契約サービスの市場規模の動向予想によれば、2025年には395億程度の市場規模になることが予想されています。
世の中的にもDXが推進されていることから、契約業務DXの一環として2025年まで電子契約サービスの導入が続き、市場規模拡大動向が続くのは肌感的にも納得ができそうです。
市場が拡大動向である背景
2025年まで電子契約サービス市場規模は拡大動向であると考えられていますが、なぜ拡大動向と考えられるのでしょうか。主に以下の背景から拡大動向であると考えられているのです。
- 動向背景①:電子契約化可能な契約書が増えた
- 動向背景②:電子帳簿保存法が改正された
- 動向背景③:インボイス制度の影響で経理業務負荷があがる
- 動向背景④:リモートワークが進んでいる
- 動向背景⑤:電子契約サービスの導入メリットが大きい
動向背景①:電子契約化可能な契約書が増えた
2021/9に施行されたデジタル改革関連法によって、電子契約化可能な契約書の種類が増えました。
デジタル改革関連法が施行された
法律上で書面契約による契約締結が義務付けられた契約書が、不動産業界などを中心に一定数存在したため、電子契約の導入が進んでいなかったための処置です。
同法律上で、「押印義務廃止・書面化義務緩和」が48の法律を対象に盛り込まれたため、各法律が順次改正され、電子契約の利用が解禁されます。
宅建業法改正
実際に2022/5には宅建業法が改正され、重要事項説明書や不動産売買契約などの電子契約化が解禁されています。
不動産業界で、すでに解禁されているIT重説と合わせて実施されたことで、今後不動産業界における契約業務DXが推進されると予想されているのです。
上記は不動産業界での例ですが、他業界でも同様に電子契約化可能な契約の種類が増えているため、今後電子契約サービスの市場規模は拡大動向にあるといえるでしょう。
動向背景②:電子帳簿保存法が改正された
2022/1に電子帳簿保存法が改正されたことで、電子契約は電子データでの保存が義務付けられています。
2022/1の改正により電子取引データの電子保存が義務化されている
2022/1に電子帳簿保存法が改正され、各電子帳簿、電子文書の保存要件が変更されています。その中で、電子契約のような電子文書を相手方とやり取りする電子取引について、取引した文書の電子保存が義務付けられました。
もし、システム上で電子取引した文書に対して要件を満たして電子保存しなかった場合、青色申告の承認取り消しなどのリスクがありますので、確実な対応が必要です。
電子保存は受け取った電子契約も対象
上述の電子取引要件を満たした保存義務は、自社から相手方に送付した電子文書だけでなく、受け取った電子文書も同様に要件を満たして電子保存が必要です。
したがって、自社が電子契約サービスを利用していなくても、電子契約サービス上で電子契約を受け取ってしまえば法対応をする必要が出てくるのです。
電子契約サービスの市場規模は今後も拡大する動向ですので、電子契約サービスの利用を拒否するのは現実的ではないでしょう。
逆に、どうせ受け取って法対応をしなければならないのであれば、電子契約サービスの利用を開始して、契約業務を効率化したほうが合理的との判断が出てきているため、電子契約サービスの利用率は拡大する動向であると考えられています。
動向背景③:インボイス制度の影響で経理業務負荷があがる
2023/10に施行されるインボイス制度によって、バックオフィス業務全般の業務負荷が増えると予想されています。
したがって、これまで通りの業務をしていては業務が回らないことも想定されているので、バックオフィス業務の効率化が模索されています。
2023/10にインボイス制度が施行される
2023/10に施行されるインボイス制度とは、仕入税額控除を受けるためには適格請求書発行事業者が発行した適格請求書(通称、インボイス)を受け取らなければならないという制度です。
インボイス制度が施行されることで、適格請求書発行事業者である売り手側は記載要件を満たした適格請求書の発行が必要になります。また、買い手側は受領した請求書が要件を満たす請求書であるのかチェックが必要になります。
インボイス制度が施行されることでバックオフィスの業務負荷が激増する
上述したように、インボイス制度が施行されることで、買い手側は受領した請求書がインボイス制度の記載要件を満たした請求書であるかなどをチェックする業務が増えます。
インボイス制度では、記載要件さえ満たせば複数帳票でも適格請求書として認められる他、仕入税額控除の経過措置対象なのか等、買い手側は複数の確認項目があるため、バックオフィスの業務負荷が激増すると予想されているのです。
したがって、バックオフィス業務の効率化を進める動きがあります。この効率化の動きの中で契約業務DXが注目されており、電子契約サービスの導入が進むと考えられているため、電子契約サービス市場規模は拡大動向であると予想されています。
動向背景④:リモートワークが進んでいる
2020年初頭からの新型コロナウイルスの流行によって、リモートワークによる働き方が定着しました。
実際にJIPDECによる調査によるとコロナ化を契機に49.4%の企業がテレワークを導入したそうです。コロナ以前にすでにテレワークを導入していた企業23.3%と合わせると2022/1時点で72.7%の企業がテレワークを導入しています。
一度定着したリモートワークによる働き方は、仮に新型コロナウイルスの流行が去ったとしても、残ると考えられています。
したがって、契約業務の電子化が必然的に求められているため、電子契約サービスの市場規模は拡大動向をたどると予想されているのです。
動向背景⑤:電子契約サービスの導入メリットが大きい
電子契約サービスの市場規模が拡大動向にある背景にはもちろん、電子契約サービスを導入する以下のようなメリットの大きさもあります。
- サービス導入のメリット①:コスト削減効果
- サービス導入のメリット②:法対応を容易にできる
サービス導入のメリット①:コスト削減効果
電子契約サービスを導入することで以下のコスト削減効果を見込めます。
- 印紙税の削減
- 書面契約の作成・郵送・返送コストの削減
- 書面契約の保管・管理・検索コストの削減 など
特に印紙税の削減効果は大きく、契約書1通あたりで数千円のコストが発生することもあることから、電子契約サービスのコスト削減効果はこれだけでも大きいといえるでしょう。
サービス導入のメリット②:法対応を容易にできる
上述で紹介した通り、電子契約は電子帳簿保存法や法人税法など、各種税法で求められる要件を満たした状態で保存が必要です。
Excelなどで作成した電子契約の場合、各種税法の要件を満たしてシステム保存するのは難しい場合が多いです。
この点、電子契約サービスを導入すると例えば以下の機能を利用することで簡単にシステム上にて法対応ができるので、導入が進んでいます。
- 主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)による検索
- システム上でのタイムスタンプの一括検証
- バージョン管理
- ユーザ別の操作ログ管理
- システム上での長期保存
- 長期署名 など
まとめ 電子契約の普及率は今後も成長する見込み
電子契約サービスの市場規模は今後も拡大すると予想されています。背景には電子帳簿保存法改正、インボイス制度施行予定、テレワークの普及と市場規模拡大を後押しする事象が多数あるのです。
実際に電子契約サービスを導入するメリットは大きいので、もしまだ導入をしていないのであれば早期の導入をおすすめしています。電子契約サービスを導入して契約業務を効率化していきましょう!