「相手方と利用している電子契約サービスが異なる場合はどちらを利用すべきか」
「電子契約サービスに互換性はないのか」
と疑問に感じていませんか。
電子契約サービスには一般的に他サービスとの互換性はありません。したがって、もし相手方と利用する電子契約サービスが異なる場合には、いずれかのサービスを利用するのか調整する必要があります。
当記事では、相手方と利用する電子契約サービスが異なる場合のシステム比較のポイント、電子契約サービスの互換性についてご紹介します。
相手方と利用する電子契約サービスが異なる場合は調整が必要
電子契約サービスを導入する場合、それまでの書面契約による契約締結を電子に置き換える旨で調整をする必要があります。
電子契約サービス導入時には相手方と認識合わせが必要
実際に相手方と電子契約の導入可否について調整をしてみると、実は相手方でも既に電子契約サービス・電子署名サービスを利用しており、自社で利用したい電子契約サービスと相手方で利用したいサービスでバッティングする場合があります。
この場合には、自社と相手方のいずれの電子契約サービスを利用するのか、契約の締結方式をどのようにするのか調整が必要です。
利用する電子契約サービスが異なる場合、お互いに書面契約を利用することがある
相手方との調整が難航した結果、いずれの電子契約サービスも利用せず、引き続き書面契約での締結が選択される場合があります。
せっかく電子契約サービスを利用して契約業務を効率化できるのに、書面契約を選択するのは非効率です。したがって、相手方と調整する際には、調整時のポイントを押さえることが重要になります。
電子契約サービスには基本的に互換性はない
相手方と利用している電子契約サービスが異なっていたとしても、電子契約サービス同士をつなげること(互換性)はできないのかと疑問が生じます。
結論、一部の電子契約サービスは互換性がありますが、多くの電子契約サービスは互換性がありません。
基本的に互換性はない
エンドユーザーからみれば、同じような電子契約サービスでも、各サービス同士には互換性がない場合が一般的です。
したがって、異なる互換性のない電子契約サービスに電子契約を送付する場合は、一度自社企業で利用している電子契約サービスで電子契約を作成後、出力をして相手方が利用している電子契約サービス上に添付する必要が出てくるのです。
とはいえ、多くの電子契約サービスではPDF形式には対応していますので、ダウンロードさえすれば、互換性がなくとも問題なく利用することはできます。
一部、電子契約サービスでは互換性がある場合がある
クラウドサインや電子印鑑GMOサインなどシェアの大きなサービスに対して、導入支援サービスなどの付加価値を付与して、別サービスとして提供している電子契約サービスがあります。
このようなサービス同士であれば、元となるサービスは同一であるので、互換性を備えています。
したがって、互換性を強く求めるのであれば、シェアの大きなサービス、または、シェアの大きなサービスを基盤に作成したシステムを選定するとよいでしょう。
利用するシステムの比較・検討ポイント
相手方と利用している電子契約サービスが異なり、互換性がない場合、相手方と調整をする必要があります。互換性がない場合の調整する際のポイント例は以下の通りです。
- 検討ポイント①:相手方と自社のいずれのシステムを利用するか
- 検討ポイント②:電子契約の締結方法
検討ポイント①:相手方と自社のいずれのシステムを利用するか
まず、相手方と自社のいずれの電子契約サービスを利用するのか、調整する必要があります。いずれの電子契約サービスを利用するか検討する際の比較ポイントは以下の通りです。
- 比較ポイント①:登記可能な電子証明書を保持するサービスか
- 比較ポイント②:システム上で税法対応ができるか
- 比較ポイント③:グレーゾーン解消制度により認められたサービスか
比較ポイント①:登記可能な電子証明書を保持するサービスか
電子文書を登記に利用する場合、法務省が指定する電子契約サービスリストに列挙されたシステムを利用する必要があります。したがって、まずは利用する予定のシステムを法務省が認可しているかが比較ポイントです。
以下の法務省WEBサイト上から認可リストをご確認ください
比較ポイント②:システム上で税法対応ができるか
契約書は国税関係書類に該当しますので、各種税法に基づいた保存が必要です。したがって、利用するシステム上で例えば以下の税法対応が可能な機能が搭載されているかが比較ポイントとなります。
- 電子帳簿保存法
- 法人税法 など
電子帳簿保存法対応であれば、主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)による検索やタイムスタンプの付与などが可能か機能確認が必要です。
また、法人税法対応であれば、システム上で7年間、繰越欠損金や特例、などを踏まえると最長で11年4か月間、システム上で保管できるのか機能確認が求められます。
いずれの税法対応も、必ず電子契約サービス上で要件を満たす必要はないため、サービス上で満たせられないのであれば、他システムへ電子契約を移しての対応が必要です。
比較ポイント③:グレーゾーン解消制度により認められたサービスか
各種省庁と民間とのやり取りで電子契約サービスを利用する場合、グレーゾーン解消制度において電子署名法2条で定義された電子署名として、該当性がみなされる必要があります。
したがって、グレーゾーン解消制度に対応した電子署名が利用可能な電子契約サービスであるかどうかが1つの確認ポイントとなるでしょう。
検討ポイント②:電子契約の締結方法
利用する電子契約サービスについて議論後、以下のいずれかで電子契約を締結するのか検討する必要があります。
- 選択候補①:いずれか一方の電子契約サービスを利用する
- 選択候補②:お互いのサービス上で電子署名を付与してPDFを交換する
- 選択候補③:電子署名の重ね打ちをする
選択候補①:いずれか一方の電子契約サービスを利用する
相手方または自社の電子契約サービスのいずれかで電子契約を締結するパターンです。最も調整が順調にいった例といえるでしょう。
ただし、このパターンの場合は以下に注意が必要です。
- 利用するサービスになれていない自社/相手方の担当者が利用方法に混乱する。
- 電子契約の保存先が新たに発生する。
採用されなかった電子契約サービスの利用者は、不慣れな電子契約サービスを利用して契約締結をするため、締結方法など、機能面で混乱することが想定されます。したがって、初回の契約締結時には丁寧な利用方法・機能の説明が必要です。
また、採用されなかった電子契約サービスの利用者が電子契約を自身で管理するサービス上で保管していた場合、あらたな電子契約の保存先が増えることになります。
したがって、電子契約をそのままサービス上に保存するのか、ダウンロードして他システム上で保存するのか検討が必要です。
選択候補②:お互いのサービス上で電子署名を付与してPDFを交換する
いずれか一方の電子契約サービスのみを利用すると調整できず、お互いが利用する電子契約サービスを利用するパターンです。
この場合、各利用者が利用している電子契約サービス上で電子署名付の電子契約を作成し、交換することで契約を締結します。この場合、原本が2通発生しますので、各契約の保存が必要です。
書面契約の保管と比べれば効率的になっているものの、原本を2通保管しなければいけない点は管理業務を煩雑にするため、可能であれば避けたい調整パターンといえます。
選択候補③:電子署名の重ね打ちをする
電子契約を作成後、自社の電子契約サービス上で電子署名をし、さらに相手方が利用する電子契約サービス上で電子署名を重ね打ちする方法です。
この方法の場合、利用する電子契約サービスによっては、機能上の制約で電子契約に電子署名情報が残らず、のちに電子署名情報が消失してトラブルになりかねない点に注意が必要です。
したがって、電子署名の重ね打ちで対応する場合には、機能上、電子契約に電子署名を適切に付与可能か、また、付与したことを機能内で確認できるかの事前検証が必要になるでしょう。
業界シェアが高いサービスを選ぶのが予防策
電子契約サービスの利用開始時に相手方との調整が必ず発生し、調整次第では電子契約の利便性が十分に発揮できないケースが想定されます。
互換性がある電子契約サービスを自社/相手方で利用できていれば、理想的ですが、一般的には互換性のあるサービスは少ないので、他手法による検討が必要です。
この時、こうした事態を最も簡単に、かつ、高確率で対応する手段は、業界シェアが高い電子契約サービスを導入することです。
純粋に業界シェアの高い電子契約サービスを利用すれば、それだけ相手方が同じサービスを利用している、または、互換性のある電子契約サービスを利用しているケースも多いため、調整量が減る上に互換性が高まると考えられています。
要件次第ではありますが、世界No1シェアのDocuSign、国内導入数No1の電子印鑑GMOサインのいずれかを導入しておけば、調整量の減少、互換性の上昇は見込めるでしょう。
まとめ 電子契約サービスには互換性は基本的にないので調整が必要
電子契約サービスには基本的に互換性はありませんので、相手方との調整が懸念される場合には、シェアの大きな電子契約・電子署名サービスを導入するようにしてください。
相手方との調整量を減らし、かつ、互換性のあるサービスである可能性をあげるためには業界シェアが高いサービスを選ぶのが一番です。
DocuSignなど業界シェアの高い電子契約サービスを導入して、契約業務を効率化していきましょう!