電子契約サービスにおける事業者署名型(立会人型)と当事者型の違いとは?
電子契約サービスにおける事業者署名型(立会人型)と当事者型の違いとは?

事業者署名型とは?電子契約サービスにおけるタイプの違いを解説!

「事業者署名型電子契約サービスとは?」

「当事者型電子契約サービスとの違いとは?」

と疑問に感じていませんか。

事業者署名型電子契約サービスは利用者自身で電子証明書を発行する必要がないため、簡単に利用を開始できる点が特徴的な電子契約サービスです。

事業者署名型電子契約サービスは事業者が代理で電子署名を付与しますが、法的に問題なく真正性を証明できるため一般的に利用者数が多い点も特徴的でしょう。

当記事では、事業者署名型電子契約サービスの概要、事業者署名型電子契約サービスが法的に問題がない理由までご紹介します。

目次

事業者署名型電子契約サービスとは何か

事業者署名型電子契約サービスとは何か

事業者署名型サービスと呼んでいるように電子契約サービスにはいくつか種類があります。種類ごとの特長を理解した上で製品選定を進めましょう。

電子契約サービスには2種類ある

利用者自身で電子証明書を発行する必要があるか否かによって、電子契約サービスは以下の2種類が存在します。

  • 当事者型電子契約サービス
  • 事業者署名型電子契約サービス

当事者型電子契約サービスとは

当事者型電子契約サービスは利用者自身で電子証明書を発行し、電子署名を付与するタイプの電子契約サービスです。利用者自身で電子署名を付与するため、万が一裁判があった時に電子契約の証拠力が高いと考える方もいます。

一方で、電子証明書を自身で発行しなければならないため、電子契約を始めるにあたって、手間とコストがかかる点が懸念点です。

事業者署名型電子契約サービスとは

一方で、事業者署名型電子契約サービスは利用者自身で電子証明書を発行せず、事業者が代理で電子署名を付与するため、電子契約を容易に使い始められる点にメリットがあります。

また、詳細は後述しますが、事業者署名型は長年、電子署名の真正性に疑問符がついていましたが、2020/7の政府からの公表によって、問題なく真正性を証明できることがわかっています。

一般的に利用されることが多いのは事業者署名型

上記の特長を持つ、当事者型、事業者型電子契約サービスの中で、特に事業者署名型電子契約サービスが利用されているようです。

世界No1シェアのDocuSign、国内導入数No1の電子印鑑GMOサインがいずれも事業者署名型を主としたサービスを提供していることからも、事業者署名型が主流であることがわかるでしょう。

事業者署名型と立会人型を併用できるサービスもある

電子契約サービスの中には電子印鑑GMOサインのように事業者署名型と立会人型を併用可能なハイブリッド型も存在します。

例えば、自社は当事者型で締結し、相手方は事業者署名型で締結するような使い方が可能なのです。もし、このように相手方と自社で電子署名の使い方を変えたい場合にはハイブリッド型の利用も検討するとよいでしょう。

電子署名とは何か

電子署名とは何か

事業者署名型電子契約サービスでは事業者が代理で電子署名を付与します。では、そもそも電子署名とは何でしょうか。以下では電子署名の概要を解説します。

電子署名法2条に定義された要件を満たす署名が電子署名

電子署名法2条では電子署名に求められる要件が記載されています。

(定義)
第二条 この法律において「電子署名」とは、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に記録することができる情報について行われる措置であって、次の要件のいずれにも該当するものをいう。
一 当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。
二 当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること。

つまり、以下の2つの要件を満たす署名を電子署名と呼んでいます。

  • 本人性(本人の意思によって電子署名を付与したと証明できること)
  • 非改ざん性(電子署名を付与後に改ざんされていないことを証明できること)

電子署名が付与された電子契約は真正性を証明できる

上述の要件を満たした電子署名を付与することで、電子契約の真正性を証明できることが電子署名法3条に記載されています。

第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

この真正性の確保がなぜ必要かというと、民事訴訟法228条1項で裁判時に証拠として提出される資料は真正性の証明が必要であると記載がされているからです。

つまり、電子契約は電子署名を付与することで、裁判時の証拠として利用することができるようになるのです。

事業者署名型は真正性を証明可能か

事業者署名型は真正性を証明可能か

事業者署名型は自身で電子証明書を発行する必要がないため、使いやすい点が魅力です。しかし、ここで電子署名法2条にて定められた要件が気になります。

つまり、電子署名は本人性が担保されていなければならないが、事業者が代理で電子署名を付与している、事業者署名型電子契約サービスを利用しても、問題なく真正性を証明できるのかという懸念です。

固有性の要件を満たせば真正性を証明可能

この懸念に対して、2020/7に法務省など3省連名で「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」が公表されています。

この公表により、事業者署名型電子契約サービスを利用して電子署名を付与したとしても、事業者は利用者の意思によって代理で電子署名を付与しているだけなので、真正性を証明可能との回答が示されたのです。

したがって、事業者署名型電子契約サービスを利用して電子契約を締結しても法的に問題はないといえます。

固有性の要件とは

しかし、同公表では事業者署名型電子契約サービスを利用する場合には固有性の要件を満たす必要があると同時に公表されています。

固有性の要件とは、簡単に言ってしまうと「本人の意思によって署名されたことを厳密に検証して証明してね」という要件です。この要件に対して、利用者および事業者おのおのに対応を求めています。

利用者が本人性を証明する方法の一つとして、二要素認証機能の利用が公表上で触れられていますので、二要素認証機能を利用可能な事業者署名型電子契約サービスを利用するようにしましょう。

電子契約サービスを導入する時のおすすめポイント

電子契約サービスを導入する時のおすすめポイント

事業者署名型電子契約サービスを利用しても法的に問題ないことがわかりました。では、事業者署名型電子契約サービスを導入する際に見るべきポイントはどこでしょうかい。以下ではポイントを解説します。

  • 機能①:コストメリットを最大化できる機能がある
  • 機能②:システム上に文書管理機能がある
  • 機能③:法対応可能な機能がある

機能①:コストメリットを最大化できる機能がある

電子契約サービスを導入することで以下のコスト削減を実現できるといわれています。

  • 印紙税の削減
  • 書面契約の作成・郵送・返送コストの削減
  • 書面契約の検索・監査コストの削減 など

国内導入数No1の電子印鑑GMOサインによるデータによれば、電子契約サービスを導入することで契約業務にかかるコストの75%程度を削減できるようです。

この削減効果を得るためには、契約業務を効率化する機能を搭載したサービス選びが重要です。例えば、以下のような機能が搭載されているかを確認しましょう。

  • ワークフロー機能
  • 契約書テンプレート登録機能
  • 一括送信機能
  • 顧客ステータス管理機能 など

機能②:システム上に文書管理機能がある

電子契約は国税関係書類に該当します。したがって、各種税法に基づいた保存が必要になるのです。

国税関係書類は法人税法で7年以上の保存が必要

電子契約は法人税法上で7年以上の保存が求められています。繰越欠損金や特例まで検討に含めると、最長で11年4か月の保存が必要になりますので、対応をしましょう。

後述する電子帳簿保存法電子取引要件では、電子取引に該当する電子契約はデータとして保存を求めています。つまり、法人税法もあり、システム上で電子契約を長期保存する必要があるのです。

したがって、企業は導入予定の電子契約サービス上で電子契約の長期保存が可能か確認する必要がでてきます。

導入するクラウドシステムによっては、保存する文書量に応じて従量課金されるタイプのシステムもありますので、保存量に応じて対応を検討ください。

電子署名の有効期限を7年以上保持させるなら長期署名が必要

電子署名法施行規則6条では電子署名に5年間の有効期限を規定しています。一方、上述で紹介した通り、法人税法上では7年以上の保存が求められていますので、電子署名の有効期限延長が必要になるのです。

この時、電子署名にタイムスタンプを重ね打ち(長期署名)することで電子署名の有効期限を理論上、無期限に延長ができます。したがって、長期署名が可能なシステム化が確認ポイントとなるでしょう。

機能③:法対応可能な機能がある

上述した通り、電子契約は国税関係書類に該当するので、各種税法に基づいた保存をする必要があります。この満たすべき法律の1つとして電子帳簿保存法があります。

電子契約は電子帳簿保存法電子取引要件を満たした保存をする必要があります。もし、要件を満たさず保存している旨を国税調査時に指摘された場合、青色申告の承認取り消しのリスクがありますので確実な対応が必要です。

いくつか満たさなければならない要件がありますが、特にシステム的に満たさなければならない要件は以下の通りです。

  • 検索性
  • 真実性

検索性の要件では、電子契約は最低限、主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)で検索ができる必要があります。

また、真実性の要件では、いくつか要件を満たす方法がありますが、最も簡単に要件を満たす方法はタイムスタンプを付与することです。したがって、導入予定のシステムでタイムスタンプの付与が可能か確認するようにしてください。

まとめ 事業者署名型を利用しよう!

まとめ 事業者署名型を利用しよう!

事業者署名型電子契約サービスは利用者自身で電子証明書の発行が不要であるので、使い勝手が多く、実際に多数のユーザが導入をしています。導入するのであれば事業者署名型がおすすめです。

また、システムを導入する際には、電子帳簿保存法などの法対応が可能か、コストメリットを十分に発揮できるシステムであるかなどの観点から自社の要件に適合したシステムを選んで導入するようにしてください。

まずは無料の料金プランのサービスを利用してみて、使い勝手を確かめるのも1つの手です。電子契約サービスを導入して契約業務を効率化していきましょう!

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