電子契約システムを会社に導入すると、業務効率が改善したり、コスト削減につながったりなどさまざまなメリットがあるとされています。しかし、電子契約システムを使ったことがない人の中には、デメリットの方が気になる人もいるでしょう。
そこで本記事では、電子契約を新たに導入した場合に注意したいデメリットについて解説します。メリットと比較しながら、内容を確認していきましょう。
電子契約を導入するデメリットとは
それでは早速、電子契約を導入した場合のデメリットを解説します。すべてのデメリットを必ず感じるわけではありませんが、リスクヘッジのためにも確認しておくことをおすすめします。
デメリット1:導入費用がかかる
電子契約システムを導入するためには、少なからず費用がかかることがデメリットとして挙げられます。最近では、導入費用が無料のサービスも出てきていますが、そういった電子契約システムはセキュリティ対策が弱かったり、機能性が悪かったりするので注意しなければいけません。
したがって、会社として取引先との契約を電子化するのであれば、ある程度の費用がかかることを理解しておく必要があります。
デメリット2:電子化できず、書面でしか交付できない契約書がある
電子契約システムは非常に便利ですが、すべての契約書の電子化は認められていないので注意が必要です。例えば、以下の書類は法律上、書面による交付が義務付けられています。
- 定期建物賃貸借契約
- 定期借地契約
- 宅建業者の媒介契約書(ただし、電子契約化の社会実験が進められており、近い将来に電子契約でも締結できる可能性があります。)
- 特定商取引法上の訪問販売等で交付する書面
- マンション管理等の委託契約書 など
自社で上記の書類を多く取扱っている場合は、電子契約システムを導入してもメリットを感じられないかもしれません。すべての書類の電子化が認められていないことは、電子契約システムにおけるデメリットとして指摘できます。
デメリット3:社内・取引先からの理解を得る必要がある
電子契約システムを会社に導入する前は、社員だけでなく、取引先にもきちんと説明する必要があります。会社の上層部だけで電子契約システムの導入をどんどん進めていっても、実際に使用する社員や影響を受ける取引先がついていけない可能性があるでしょう。
また、電子契約システムの使い方やメリットを説明しても、相手に理解してもらえないケースもあります。新しいことを始めるときは、どうしてもデメリットやリスクに目が行きがちです。電子契約システムの導入を説得することに時間がかかってしまう可能性があることは大きなデメリットに挙げられるでしょう。
デメリット4:サイバー攻撃を受けるリスクもある
電子契約は紙の契約と違って、インターネット上で重要な書類をやり取りします。そのため、セキュリティ対策を徹底していても、サイバー攻撃を受けるリスクは否定できません。
こうしたリスクを避けるためには、セキュリティ対策がしっかりしていて、常に新たなサイバー攻撃の対策方法に対応する電子契約システムを導入する必要があります。しかし、本業をこなしながら、そういった電子契約システムを探すことに時間がかかる可能性もあるでしょう。
一般的には、導入後は事務負担や締結・管理コストの削減など、基本的には大きなメリットがあります。
デメリットだけじゃない!電子契約システムのメリットも確認
電子契約システムはデメリットだけでなく、多数のメリットがあります。この章では、電子契約システムを利用した場合に感じられる6つのメリットについて、順番に内容を解説します。
メリット1:業務効率が改善・向上する
電子契約システムを導入すると、アナログな作業がすべてデジタル化します。例えば、パソコンで作成した文書を紙に印刷して、製本し、押印して郵送する作業が必要なくなります。
デバイスで書類を作成し、電子契約システム上で内容を確認して電子署名を付与し、取引先へ送付できるので業務効率の改善・向上につながる可能性が高いです。
メリット2:印紙などのコスト削減につながる
契約書の内容が同じでも、電子化することによって収入印紙代がかかりません。そのため、年間の契約数が多い会社や印紙税の額が負担になっている場合は、電子契約システムの導入によってコスト削減につながります。
また、電子契約システムを導入すれば、印刷代(用紙の費用、インクの費用、複合機の電気代など)もかかりませんし、郵送にかかるコストも抑えられるのがポイントです。
契約業務の作業効率が大幅に改善されれば、人的コストも抑えられるでしょう。
メリット3:契約締結までの流れがスムーズになる
電子契約システムを通して契約を締結すれば、製本や押印、返送にかかる時間を大幅に短縮できます。担当者に直接電子契約書を送付できるので、スピーディに契約を結びやすくなります。
電子契約システムの中には、リアルタイムでワークフロー確認できるものもあるので必要に応じて選択肢に入れてみるのも良いでしょう。
メリット4:契約書を保存・管理しやすくなり、コンプライアンスの強化が可能
電子契約システムを導入すれば、契約書をデバイスもしくはクラウドで管理できます。そのため、オフィスに書類を置くスペースを用意する必要がありません。
また、電子契約システムの中には、締結した契約書のサーチが簡単にできるものも多いです。紙で管理するよりも、電子化して管理した方がデータ検索でいつでもすぐに内容を確認できるでしょう。
また、電子署名やタイムスタンプを付与することで、データの非改ざん性や存在性などを証明できます。もし、悪意のある第三者に電子契約の内容を書き換えられても、ログが残るので犯人(原因)を追跡しやすいため、コンプライアンスの強化が実現します。
メリット5:リモートワーク中も契約作業を進められる
政府による働き方改革の推奨などを背景に、リモートワークを導入する企業が増えています。自宅やカフェなど、会社以外の場所で働く方法はさまざまなメリット・デメリットが指摘されている状況です。
電子契約システムを導入すれば、リモートワーク中であっても契約書類を作成・確認・送付できます。時間や場所を気にせずに契約要務を進められるのは、電子契約システムの大きなメリットと言えるでしょう。
メリット6:更新漏れを防止できる
電子契約システムを通して契約を締結すると、当該契約の終期を簡単に管理できます。そのため、紙ベースの契約と違って、更新漏れを防げる可能性が高いです。
契約業務が多く、管理に追われている場合に電子契約システムを導入すれば、デメリットよりもメリットの方を強く感じられることでしょう。
デメリットを少しでも感じないために|スムーズな導入フロー
電子契約システムにはいくつかのデメリットがありますが、できるだけそのデメリットを感じないためには適切な導入フローに従うことが大切です。この章では、スムーズに電子契約システムを導入するためのコツを確認しましょう。
関係者へ説明・相談する
まずは、社内の法務部などの関係者で電子契約システムの導入について説明・相談をしましょう。このとき、電子契約システムのメリットだけでなく、デメリットや自社で想定されるリスクについても説明することが大切です。
契約業務の流れを確認する
次に、社内の契約業務の流れを再確認します。紙ベースでやり取りしていたことを電子化した場合に、大きな問題が発生しないか慎重にチェックしてください。
確認の結果に応じて、契約業務の流れを変更したり、電子契約システムを活用する範囲を調整したりなどの判断を行いましょう。
社内外へ周知する
続いて、社内外の関係者へ電子契約システムの導入について周知します。特に、電子契約システムを利用することになる社員や導入を進めてもらう社員には、デメリットも含めて細かく説明することが大切です。
また、取引先に対しては、具体的にどのような作業が必要になるのかを伝える必要があります。電子契約システムのデメリット・メリットはもちろん、法的リスクについても話をして理解を得ましょう。
自社にあう電子契約サービスに申込む
電子契約システムの導入に関する準備が整ったら、自社に合うサービスを探します。電子契約システムはサービスによって、メリット・デメリットが異なるのでよく比較・検討することが大切です。
人気がある電子契約システムを紹介
一口に電子契約システムと言っても、非常に多くの企業からサービスが提供されています。
例えば、対海外契約に強いDocusign(ドキュサイン)や国内利用者が多いクラウドサイン、3社間のやり取りに対応可能なBtoBプラットフォーム 契約書などのサービスがあります。
電子契約システムによって使える機能やサービス、料金プランが大きく異なるので、導入前によく比較検討することが重要です。
自社に合う電子契約システムの選び方
自社に合う電子契約システムを選ぶときのポイントとしては、以下が挙げられます。
- 機能性で選ぶ(例:押印・電子署名・タイムスタンプの付与が可能)
- 取引先への共有のしやすさで選ぶ(例:URLで共有、メールで共有)
- ワークフローの確認システムで選ぶ
- コンプライアンス対策の充実度で選ぶ
- テンプレートの種類で選ぶ
- 他システムの連携の良さで選ぶ
- 対応可能な言語の種類で選ぶ
- 料金プランで選ぶ
まとめ
電子契約システムを新しく会社に取り入れる場合は、導入費用がかかったり、社内・取引先からの理解を得る必要があったりなどのデメリットがあります。一方で、電子署名で契約を締結することで得られるメリットも大きいです。
たしかに、電子契約に馴染みがない人にシステムを受け入れてもらうのは難しいかもしれません。しかし、導入する側はもちろん、利用者や取引先もメリットを感じられます。なかなか理解を得られない場合は、電子契約システムにはデメリットだけでなく、さまざまなメリットがあることをきちんと説明する必要があるでしょう。
今回紹介した内容を参考に、自社にあう電子契約システムを探してみてください。