「注文書・注文請書を電子契約サービスを利用して電子契約化できる?」
と疑問に感じていませんか。
注文書と注文請書は発行の主体によって明確に異なります。ただし、いずれも電子契約サービスを利用することで電子化が可能です。ただし、電子帳簿保存法など各種税法を満たした保存が必要ですので注意しましょう。
当記事では注文書・注文請書を電子化する手法、電子保存する際に満たす必要がある要件、注文書・注文請書を電子化する場合には電子契約サービスがおすすめの理由までご紹介します。
注文書・注文請書は電子保存できる
注文書・注文請書はいずれも電子保存ができます。以下では注文書・注文請書の電子保存手法を解説します。
注文書と注文請書は異なる
一見すると注文書と注文請書は同じような書類に見えますが、注文書と注文請書は発行の主体によって明確に異なる書類です。
注文書は発注者が受注者に対して納品してほしい成果を要求する書類です。一方で注文請書は受注者が発注者から承った内容を契約として残す書類となっています。つまり、注文請書は契約書の側面があるのです。
発行の主体 | 記載内容 | |
---|---|---|
注文請書 | 受注者が作成・発行 | 注文請書と注文書の記載内容はほぼ同一 |
注文書 | 発注者が作成・発行 | 注文請書と注文書の記載内容はほぼ同一 |
したがって、注文請書を書面契約で締結する場合は、締結する契約の内容により印紙税の納付が必要になります。例えば、仕事の完成に重きを置く契約(請負契約)であれば課税されますが、物の所有権移転に重きを置く場合(売買契約)は非課税です。
ただし、この時、電子契約を利用して契約を締結すれば、印紙税法上、印紙税は非課税になりますので、節税をする意味でも電子契約の利用がおすすめといえるでしょう。
注文書・注文請書の電子保存は電子帳簿保存法の要件を満たす必要あり
注文書・注文請書を電子保存する際には各種税法に基づいた方法での保管が必要です。例えば、注文書などは電子帳簿保存法や法人税法などを満たす必要があります。
詳細は後述しますが、もし注文書などに対して要件を満たして保存していない旨を国税から指摘された場合、青色申告の承認取り消しのリスクがありますので注意が必要です。
ただし、2021/12に公表された税制大綱上で、電子帳簿保存法電子取引要件では要件を満たした保存をしていなくても書面で保存しておけばよい旨が公表(宥恕期間の公表)されていますので、最遅で2023/12までに対応をすればよい点に留意ください。
注文書・注文請書が満たすべき電子帳簿保存法とは
注文書・注文請書を電子契約サービスを利用して相手方とやり取りする場合には電子帳簿保存法電子取引要件を満たした保存が必要です。以下では注文書などが満たすべき要件を解説します。
電子帳簿保存法とは
そもそも、電子帳簿保存法とは読んで字のごとく、電子的に帳簿や書類を保存することを認めた法律です。1998年に施行されて以降、世の中のペーパレス需要に応える形式で改正が繰り返されてきた歴史があります。
2022/1にも改正が実施され、全体的に要件緩和が目立ちました。特に電子契約サービスを利用する時に満たすべき電子取引要件では、大緩和ともいえる状況ですが、一部で担保措置も設けられているため注意が必要です。
注文書・注文請書が満たすべき要件とは
注文書・注文請書を電子契約を利用して電子化する場合、電子帳簿保存法の電子取引要件を満たした保存をする必要があります。電子取引要件は以下の通りです。
- 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
- 見読可能装置の備付け等
- 検索機能の確保
- 真実性の確保
この中で特に要件を満たすことの難しい箇所について詳細に説明します。
検索機能の確保
主要三項目(取引年月日、取引先名、取引金額)で検索できる必要があります。ただし、国税調査時に国税官からのデータのダウンロードを求められる場合があり、その要請に応えられる前提付きです。
もし国税官からの求めに応じるのが厳しい場合には、範囲検索、複数条件検索まですることができる必要があります。
真実性の確保
以下いずれかの手法をとって真実性を確保する必要があります。
- タイムスタンプが付された後の授受、または、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
- データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
タイムスタンプの付与は最大で2か月+7営業日以内までの付与にすることができますが、最大期間タイムスタンプの付与を伸ばすためには規定類の作成が必要になる点に留意が必要です。
法定上7年の期間、保存義務があるので注意
法人税法上で注文書などの国税関係書類は7年間(繰越欠損金がある場合には10年)の保存が必要です。電子契約サービス上で契約書を長期保存できるか確認しましょう。
また、電子契約サービスの中にはクラウド上で契約書を長期保存することができるものの、保存する書類量に応じて従量課金されるタイプのサービスがあります。
システム上で企業の多数の契約書を長期間保存すると想定以上のコスト負荷になる場合がありますので注意が必要です。
電子帳簿保存法なら電子契約サービスの導入が容易
ここまで紹介してきたような法対応をExcelなどで作成した電子契約で対応するのは大変です。一方で電子契約サービスを活用すれば容易に対応をすることができますので、電子契約サービスの導入をおすすめします。
各種法要件に対応できる機能が搭載されている
電子契約サービスであれば、基本的に電子帳簿保存法や法人税法など各種税法に対応した機能が搭載されています。例えば以下のような機能があります。
- 真実性を担保するためのタイムスタンプ
- 可視性を担保するための主要三項目での検索機能
- システム上での長期保存
- バージョン管理機能 など
したがって、法対応の工数を可能な限り減らしたいのであれば、電子契約サービスの導入がおすすめです。
1通あたり2,500円のコスト削減効果を見込める
法対応が容易になるメリットもさることながら、電子契約サービスを導入すると以下のコスト削減を見込むことができる点もメリットです。
- 印紙税の削減
- 書面契約の作成・郵送・管理コストの削減
- 監査コストの削減 など
電子契約サービスで世界No1シェアのDocuSignを導入したソフトバンク株式会社では契約書1通あたり2,500円のコスト削減効果があったと公表しています。この事例からもわかる通り、電子契約サービス導入による効果は非常に大きいといえるでしょう。
まとめ 電子契約サービスを活用して契約関連業務を効率化しよう!
注文書・注文請書を電子契約サービスを利用して電子化することが可能です。特に注文請書は契約書としての側面がありますので、書面契約した場合、印紙税がかかります。
一方で、印紙税法上、電子契約ファイルであれば印紙税は非課税ですので、電子契約の活用がおすすめです。また、注文書などに対して電子契約活用の場合、電子帳簿保存法対応などが必要になりますが、電子契約サービスを活用すれば容易に対応ができます。
印紙税削減や取引のリードタイム短縮などのメリットもありますので電子契約サービスをぜひ活用下さい。