電子契約サービス導入のメリットとは?導入事例や注意点も併せて解説!
電子契約サービス導入のメリットとは?導入事例や注意点も併せて解説!

【導入事例を解説】電子契約サービスの導入事例や導入メリットを解説!

「電子契約サービス導入のメリットとは?」
「電子契約サービス導入の具体的な事例が知りたい」

と疑問に感じていませんか。

電子契約サービスを導入することにより、印紙税の削減や取引のリードタイム短縮などの業務上のメリットがあります。

一方で、法人税法や電子帳簿保存法への対応が必要など業務上の注意点もあるため注意が必要です。自社の業務イメージに即した事例を参考に電子契約サービスを選定ください。

当記事では、電子契約サービス導入の業務上のメリットや導入事例、導入時の業務上の注意点までご紹介します。

目次

電子契約サービス導入のメリット

電子契約サービス導入のメリット

電子契約サービスを導入した場合の業務上のメリットは以下の通りです。

印紙税削減などのコストメリット

電子契約サービスを導入することによる以下のコストメリットを得られた事例があります。

  • 印紙税の削減した事例
  • 書面契約の保管コストの削減した事例
  • 検索性向上による監査コストの削減した事例 など

特に印紙税の削減によるコストメリットが大きいです。印紙税は1文書あたり2,000円~かかる場合も多いため、印紙税が削減できるだけでも電子契約サービスを導入した元を取ることが出来た事例も多いようです。

また、書面契約の保管コストの削減効果も大きいです。

法人税法上などで書面契約は最低7年の保管が必要なため、契約書の保管・管理に多額のコストがかかる場合があります。電子契約であれば書面契約と違い、システム上にファイルを保存できますので、保管・管理コストは大きく削減できます。

取引のリードタイム短縮

郵便法が2021/10に改正され、普通郵便の最短配送日が翌々日になりました。

したがって、取引のリードタイムの長期化が懸念されています。加えて、海外企業との契約締結やNDAなど頻繁に内容修正するような契約書の場合、さらに長期化することが見込まれています。

電子契約サービスの場合、契約締結用のURLをメールに記載し、相手方に送付するのみで契約を完了できるサービスも多いため、取引のリードタイムの短縮を期待できます。

また、多くのサービスでは基本的に契約書テンプレートの登録機能や複数の他社への一括送信機能が備わっている場合も多いため、契約業務の効率化を実現しつつ、取引のリードタイム短縮ができる点がメリットです。

セキュリティリスク対策の強化

契約書を管理する場合、誰が、どの契約書を閲覧したか、または修正を実施したかなどを管理する必要があります。

書面契約の場合、手動で閲覧履歴や修正履歴を管理していましたが、電子契約サービスであれば、ログとして管理できるためセキュリティリスク対策の強化を実施できます。

また、契約書別のログイン制御やIPアドレス制御なども可能であるので不正な持ち出しなどを制御できる点もメリットでしょう。

電子契約サービスの導入事例

電子契約サービスの導入事例

ここからは具体的な電子契約サービスの導入事例をご紹介します。今回事例の参考にする事例は世界No1シェアを誇るDocuSignです。

DocuSignとは、世界180か国以上で利用され7割弱の世界シェアを誇る電子署名サービスです。

米国では不動産売買契約の約90%が利用し、世界で66万社以上が利用しています。世界No1シェアを裏付けるように豊富な機能性と使いやすいUIを搭載している点が特徴的です。

ソフトバンク株式会社の事例 デジタルワーカー4000の取り組み

ソフトバンク株式会社では電子契約の導入プロジェクトを推進しており、2021/4にはDocuSignを全社展開している事例を保持しています。

DocuSignによる契約業務の電子化により、同社の業務改善プロジェクト「デジタルワーカー4000」をさらに加速させています。

ソフトバンク株式会社の総務担当はDocuSignの導入経緯について以下のようにコメントを残しています。

当社では、意思決定や事業展開のスピード向上のために、全社で約600本の印鑑を利用していました。事業の特長として、官公庁への申請や取引先との契約が多く、書類の数が膨大になるため、適材適所で必要な印鑑を活用してきたからです。しかし、業務の効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)のためには、『押印の電子化に取り組むべき』との判断で、2020年に総務部門が中心になり、法務部門、IT部門と協力して、電子署名を導入するプロジェクトをスタートしました。電子署名の導入プロジェクトをリードする総務では、各社の製品を比較検討し、その中からドキュサインを選定しました。その理由について由利氏は「海外との取引もあったので、世界で一番使われている電子署名として、ドキュサインに注目していました。選定においては、当社の求める使い勝手やセキュリティ対策に対応できるかどうかが重要な判断ポイントになりました

つまり、ソフトバンク株式会社では以下をポイントとしてDocuSignの導入を決定したようです。

  • 海外取引に対応可能な世界シェアNo1の電子契約サービス
  • 使いやすいUI設計
  • ドメイン制御やSSOに対応可能など強固なセキュリティ 
  • 社内システムとのシームレスな連携

この事例では、約3か月で約200社との契約に利用し、契約書1通あたり2,500円のコスト削減効果を実現しています。

全社展開を実施してから数か月の時点で社内普及率は10%程度であるため、コスト削減のポテンシャルは非常に大きいことがこの事例からわかっています。

ソフトバンク株式会社総務担当によると今後以下をロードマップとして電子化を進めていく想定のようです。

現在はまだ三合目あたりです。2022年までに民間企業宛の電子化100%を目指しています。以前はコロナ下でも、押印のために試算上約100名の社員が出社していたので、まずはそうした出社をゼロにしていきます。また、システムとして全社員が利用できる環境は整備していますが、それだけでは不十分なので、社員への周知と啓蒙活動も推進していきます
(ドキュサインの電子署名の)利用者からは、使ってみて簡単かつクイックに締結できた、という評価を得ています。まずは契約関係の業務が多い管理部門から積極的に利用している状況ですが、その他部門へもさらに推進したいと考えています
今回のソフトバンク株式会社の全社展開をモデルケースとして、グループ各社にも電子署名の利用促進を案内しました。また、2022年までの民間企業宛押印電子化100%を目指して、これからも社内外への普及に取り組んでいきます

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社の事例 WAAの取り組み

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社では2020/9に「2021/3までの完全電子契約化」を目標にDocuSignを導入した事例を保持しています。

ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社の代表は電子契約サービスを導入する理由について以下のコメントを残しています。

弊社で 100% 電子契約を推進する理由は、数ある契約をスピーディーに締結するためです。契約書を印刷して製本し、それを送付して押印してもらう、というこれまでの手順では、非常に時間と手間がかかっていました。電子契約はこうした課題を解決します。また、契約だけでなく社内の申請手続も電子化を進めています。ある部署では、これまで 2 週間以上かかっていた紙ベースの申請処理が、電子的に進めることにより1週間程度に短縮された例があります。さらに、締結済みの契約書類やその他の紙類の保管場所も不要になり、印刷、郵送にかかるコストや印紙代もかからないので、コスト削減にもつながります。
契約の履歴や関連する契約、あるいはそれらの変更や終了などの紐づけも、これまでは不十分でした。CLM(契約ライフサイクルマネジメント)を導入すれば、締結済みの契約書を探す手間が省けるだけではなく、ビジネスにおいてどのような契約が締結されているのかについて全体の状況もクリアに把握できるようになり、将来のビジネスチャンスを考えるきっかけになると期待しています

つまり、印紙税削減などのコストメリットや取引のリードタイム短縮に大きなメリットを感じていることがこの事例からわかります。

導入時の注意点

導入時の注意点

電子契約サービスの導入による業務上のメリットが大きいです。一方で導入時に注意しなければならないポイントが業務上あります。

相手方との調整が必要

電子契約サービスの中には相手方に業務の変更やコスト負担をお願いしなければならない事例もありますので注意が必要です。

電子契約サービスの当事者型とよばれるタイプでは相手方に電子契約の本人性を担保するための電子証明書を発行してもらう必要があります。

したがって、相手方にコストと手間がかかってしまう点に注意しましょう。

さまざまな法に対応が必要な場合がある

電子契約は国税関係書類に該当する書類です。したがって、法人税法上などで定められている最低7年の保管(繰越欠損金がある場合は10年)が必要です。

また、電子契約は税法の電子帳簿保存法電子取引要件を満たした保存が必要です。

電子帳簿保存法は2022/1に改正され、電子取引した書類は必ず電子データとして保存しなくてはいけなくなりました。

仮に電子保存していないことが税務調査時に発覚した場合は、青色申告の承認取り消しなどのリスクがありますので注意しましょう。

すべての契約書原本を電子化できるわけではない

書面契約の原本のすべてを電子化できるわけではない点に注意が必要です。

例えば、不動産業界の一部の契約書では、扱う金額の大きさから法的に原本の電子化が禁じられています。

例えば以下の契約書原本の電子化ができません。

【公正証書の作成が必要とされる類型】

  • 事業性貸金契約の保証契約(民法465条の6)
  • 定期借地契約(借地借家法22条) など

【書面交付が必要とされる類型】

  • 宅地建物売買等の媒介契約書(宅建業34条の2)
  • 宅地建物売買等契約における重要事項説明時に交付する書面(宅建業法35条) など

ただし、原本の電子化ができないだけであって、複製の電子化は可能ですので、複製の電子化による検索性の向上などは期待できます。

また、2021/9に施行されたデジタル改革関連法により、上述で電子化できないと紹介した契約書であっても、2022/5までに電子化できる可能性があります。

電子化したい契約書がある場合はデジタル改革関連法も併せてご確認ください。

まとめ 事例を参考にして契約業務を効率化しよう!

まとめ 事例を参考にして契約業務を効率化しよう!

電子契約サービス導入の業務上のメリットは大きいですが、同時に導入時の業務上の注意点もあるため留意の上、製品選定を進めてください。

自社の業種・業務に近い電子契約サービスの活用事例を参考にすることで、具体的に何を製品選定の軸にすべきか考えやすくなります。

具体的な事例は上記で紹介した事例以外にもサービス事業者上の事例紹介に記載がありますので、希望する事例を探してもらうとよいです。

自社の要望に近い事例を参考にしつつ、電子契約サービスを導入して印鑑業務の廃止など契約業務を効率化していきましょう!

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