「銀行が導入すべき電子契約サービスとは?」
「電子契約サービス選定のポイントって何?」
と疑問に感じていませんか。
電子契約サービスを利用することで、印紙税の削減などのコストメリットや取引のリードタイム短縮といった電子契約サービス導入時の一般的なメリットの他、銀行の固有業務である個人融資取引の効率化が見込めます。
当記事では電子契約サービスを利用する一般的なメリットや銀行の個人融資取引が受ける利用メリット、銀行が電子契約サービスを選定する際のポイントまでご紹介します。
一般的な電子契約サービスを導入するメリット
銀行の個人融資取引が受ける利用メリットを紹介する前に、電子契約サービスを利用することによる一般的なメリットをご紹介します。
印紙税削減などのコストメリット
電子契約サービスを利用することで銀行に限らず以下のコストメリットを受けられます。
- 印紙税の削減
- 契約書の保管・管理コストの削減
- 監査コストの削減 など
特に印紙税の削減効果が大きいです。
銀行の場合、取り扱う金額が大きいことも多いことから契約書1通あたり2,000円~かかる場合も多いため、印紙税の削減効果だけでも電子契約サービス導入による費用を回収できる場合もあります。
また、銀行をはじめとする金融業では監査コストの高さが課題です。
監査コスト高騰の一因として対象文書の検索コストがありますが、電子契約サービスであれば対象の文書を素早く見つけることができるため監査コストの圧縮に貢献できる点も特徴的です。
取引のリードタイムの短縮
郵便法が2021/10に改正され普通郵便の最短配送日は翌々日となりました。
したがって、取引のリードタイムの長期化が懸念されます。特に海外法人との契約書のやり取りや、NDAなど契約書の内容の修正が頻繁におきる業務では法人間での手続きにかかるリードタイムの長期化が課題です。
この点、電子契約サービスを利用すると契約締結用のURLを記載したメールを相手方に送付するのみでインターネット上で契約締結が完了するサービスも多く存在するため、取引のリードタイム短縮を期待できます。
また、多くのサービスでは契約書のテンプレートの登録機能や複数の取引先への契約書の一括署名・送信機能などが利用できるため、リードタイムの短縮のみならず業務の効率化を期待できます。
セキュリティを強化できる
契約書を保管する場合、契約書の閲覧制御や閲覧・編集履歴を管理する必要があります。
書面契約の場合、手動または半自動でこのような管理を実施する必要があるため、セキュリティリスクの向上やコストの増加が課題です。
一方で、電子契約サービスであれば、自動で契約書別のアクセス制御やユーザ別のIPアドレス制御などを利用できるため、セキュリティリスクの低減および管理コストの削減を見込めます。
銀行の個人融資取引が受ける利用メリット
電子契約サービスを利用した場合、銀行の固有業務である個人融資取引にどのようなメリットがあるか解説します。
非対面での契約が可能になる
従来の契約業務では、銀行員が顧客とアポイントを取り顧客の元へ訪問し契約を実施するのが一般的でした。
一方で、昨今の新型コロナウイルス流行による影響で、非対面での契約が強く求められています。
契約に至るまでの説明をWeb会議システムを利用して実施することで、電子契約サービスとあわせて完全非対面で契約が利用可能になります。
融資までのリードタイムが短縮できる
電子契約サービスを利用すれば、訪問するまでの時間や内部的な承認フローに係る時間を削減できるため、融資までのリードタイムを短縮できます。
加えて、事務センターへの書類の送付や保管センターへの契約書の送付といった手間を省ける点でコストメリットがあるといえるでしょう。
顧客体験の向上が期待できる
完全非対面で個人融資取引が実現するため、顧客としては銀行の営業時間にとらわれず契約締結が実施できるメリットがあります。
したがって、顧客体験の向上につながるため、他行との差別化につながるでしょう。
銀行が利用する電子契約サービスの選定ポイント
監査など外部による監視の目が強い銀行が電子契約サービスを導入する場合の検討ポイントをご紹介します。
セキュリティの水準
最高レベルの会計監査やシステム監査、税務監査を受けますので高いセキュリティ水準を求められます。
サービス自体に求めるアクセス制御などのセキュリティ要件の他、サービス提供会社のセキュリティ体制や内部統制の体制などを確認する必要があるでしょう。
まずは自社のセキュリティ要件を一覧化したうえで、事業者に提供し回答してもらいましょう。そのうえで、監査上などで必要となるSOC1レポートの提出を求めるような流れになるかと思います。
銀行が提供するサービスを利用する
銀行自体がリリースしている電子契約サービスを利用するのも1つの手段です。
SMBCやみずほ銀行などがクラウドサインなどをOEMして電子契約サービスを提供しています。
銀行自体が電子契約サービスを提供しているため、銀行が求められるセキュリティの水準や機能を網羅していると考えられます。厳しい要件をクリアするための最短ルートでしょう。
サービス導入時の注意点
電子契約は税法上の国税関係書類に該当するため、法人税法上などで求められる7年保管(繰越欠損金がある場合は10年保管)を実施する必要があります。
また、税法の電子帳簿保存法電子取引要件にしたがった保存が必要な点に注意が必要です。2022/1に電子帳簿保存法は改正され、電子取引文書の紙保管が認められなくなりました。
仮に税務調査時に電子で保存していない旨が発覚した場合には青色申告の承認取り消しなどのリスクがありますので留意ください。
信用を第一とする銀行業で青色申告の取り消しは致命的なレピュテーションリスクとなりえます。
まとめ 電子契約サービスを導入して契約業務を効率化しよう!
銀行業で利用する電子契約サービスは高いセキュリティ要件をクリアし、かつ電子契約サービスとして必要な機能が搭載されていることが求められます。
したがって、過去に金融業界で利用された実績のあるサービスや銀行が提供しているサービスを利用することが最も確実なサービス選定のポイントです。
電子契約サービスを利用して契約業務の効率化を開始していきましょう!