電子契約サービス導入時に必要なものとは? 4つの準備事項と注意点を解説!
電子契約サービス導入時に必要なものとは? 4つの準備事項と注意点を解説!

電子契約サービス導入時に必要なものとは? 4つの準備事項と注意点を解説!

「電子契約導入時に必要なものとは?」

と疑問に感じていませんか。

クラウド型の電子契約サービスを導入するのであれば、サーバの構築や電子証明書の発行などは不要ですので、短期間で導入が可能です。

一方で、電子契約に求める要件整理や電子契約に関係する法律の理解など、事前に理解が必要なものがある点に留意ください。

当記事では、電子契約サービス導入によるメリット、システム導入前に必要なもの4つ、システム導入後に必要なもの2つを解説します。

目次

電子契約サービス導入のメリット

電子契約サービス導入のメリット

電子契約サービスを導入することで多数のメリットがあります。その中で特に大きなメリットを紹介します。

契約書1通あたり2,500円のコスト削減効果を見込める場合がある

電子契約サービスを導入することで以下のコスト削減効果を得ることができます。

  • 印紙税の削減
  • 書面契約の作成・郵送・管理コストの削減
  • 監査コストの削減 など

電子契約サービスで世界No1シェアであるDocuSignを導入したソフトバンク株式会社では、契約書1通あたり2,500円のコスト削減効果があったと公表しています。

扱う契約書の種類や量にもよりますが、電子契約サービスを導入することで大きなコスト削減効果を得られる好例といえるでしょう。

契約締結までのリードタイムを最短で1日にできる場合がある

書面契約で契約を締結する場合、自社で契約書を作成して相手方へ郵送した後、相手方から記名押印済みの契約書を受領するまで、2-3週間程度かかることも珍しくありません。

一方で立会人型の電子契約サービスを利用することで、契約締結用のURLが記載されたメールを相手方に送付するのみで契約締結をすることができますので、最短で1日まで取引のリードタイム短縮を期待することができます。

電子契約サービス導入前に必要なもの

電子契約サービス導入前に必要なもの

導入メリットの大きい電子契約サービスですが、導入前に必要なものがあります。対応を十分にしなければ、想定していたメリットが受けられないこともありますので、確実に対応をしてください。

必要なもの①:電子契約に求める要件整理

電子契約サービスを導入する前に、必要なものとして、選定予定のシステムに求める要件整理があります。以下では要件整理の簡単な流れを説明します。

現行業務の整理

現行の契約業務上で扱っている契約書の以下について整理をします。

  • 契約書の種類
  • 作成頻度
  • 作成工数
  • 保管方法 など

契約書の現状整理をすると同時に、契約書別にどのような業務フローで稟議が進んでいるのか業務フローの整理もするとよいです。この作業を実施することで、現状の契約業のどこに課題があるのか検討しやすくなります。

電子契約導入範囲の検討

次に必要なものとして、現状の契約業務で扱う契約書、および、業務フローをインプットに、電子契約サービスで解消したい課題の検討を進めます。

特定の契約書の作成に時間がかかりすぎている、社内承認までのリードタイムが非常に長いなど、契約書別に課題を洗い出すのです。

課題の中で契約業務に対する影響度が高いものから優先的に、課題を解消できる欲しい機能を洗い出しましょう。

例えば、契約書作成に時間がかかりすぎているのであれば、契約テンプレート機能が搭載されていてほしい、社内承認に時間がかかりすぎているのであればワークフロー機能が搭載されてほしいなどの要領で、要件を洗い出します。

必要なもの②:電子契約化可能か確認

必要なものの2つ目として、これから電子契約化しようと検討している契約書が電子契約化可能か確認する業務があります。なぜなら、一部の契約書は書面契約での締結を法律上で求めているからです。

2022/5より大部分の契約書の電子化が可能になっている

2021/9に施行されたデジタル改革関連法において、その中の取り組みの1つである「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」で「押印・書面の交付等を求める手続きの見直し」が実施されました。

この法律により2022/5には改正宅建業法が施行され、不動産業界を中心にこれまで電子契約化ができなかった契約書の電子契約化が解禁されています。

したがって、世の中に存在する大部分の契約書の電子契約化が可能になっている状況です。

一部の契約書は引き続き書面契約での契約締結を求めている

一方で、一部の契約書では引き続き法的に書面契約による契約締結を求めているため、注意が必要です。

逆に言ってしまえば、一部の電子契約化できない契約書さえ把握してしまえば、それ以外は電子契約の利用ができますから、安心して電子契約を利用できます。

したがって、電子契約サービス前には、必要なものとして、書面契約が義務付けられている契約書に該当しないか以下の確認があげられるのです。

文書名 根拠法令 改正法施行予定
事業用定期借地契約 借地借家法23条
企業担保権の設定又は変更を目的とする契約 企業担保法3条
任意後見契約書 任意後見契約に関する法律3条
特定商取引(訪問販売等)の契約等書面 特定商取引法4条、5条、9条、18条、19条、37条、42条、55条 2023年6月

必要なもの③:各種リスクへの対応方針の決定

必要なもの③:各種リスクへの対応方針の決定

電子契約サービスを利用する際、対応が必要なものとして、各種リスクへの対応があります。電子契約が抱える代表的なリスクは以下の通りです。

  • なりすましリスク
  • 無権代理のリスク

なりすまし署名リスク

多くの企業が立会人型電子契約サービスを利用するかと思いますが、立会人型電子契約サービスでは契約締結用のURLを記載したメールを相手方に送付するため、アドレスが漏洩した場合になりすまし署名のリスクがあります。

このなりすまし署名のリスクを回避するために、必要なものとして、導入する電子契約サービス上に本人確認のための機能が搭載されているか確認する必要があるでしょう。

例えば、二要素認証が搭載されているシステムを選ぶとなりすましリスクに対応ができます。

無権代理のリスク

なりすましリスクを回避したとしても、そもそも署名者本人に契約締結のための権限がない場合があります。このリスクを無権代理のリスクと呼称しています。

無権代理のリスクに対応するためには、必要なものとして、電子契約サービスを利用する前に以下のような契約締結者の本人情報確認が挙げられます。

  • 契約者の氏名
  • 所属
  • 役職 など

必要なもの④:電子契約が法的に有効な理由確認

電子契約サービス利用開始時には相手方へ電子契約導入の可否を確認する必要があります。その際に多くの場合で電子契約の法的な有効性について質問されますので、電子契約がなぜ法的に有効であるか説明ができる必要があるのです。

したがって、電子契約サービス導入前に必要なものとして、電子契約が法的に有効な理由の確認があります。

契約はどのような形式であれ成立する

そもそも、契約は民法522条2項に記載の契約方式の自由により、どのような形式の契約であっても成立します。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

したがって、口頭などの証跡の残らない形式であったとしても、問題なく契約は成立するのです。しかし、契約が成立することと、契約を係争時の証拠として利用できることは別論点である点に留意ください。

契約を係争時の証拠として利用するためには、民事訴訟法228条1項にあるような真正性を満たす必要があります。

1 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

電子契約は電子署名を付与することで真正性を確保する

電子契約において真正性をどのように満たすかというと、電子署名を付与することで真正性を満たします。電子署名法3条を参照すると、電子署名による真正性確保が可能な旨の記載を確認できます。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

以上から、電子署名付の電子契約であれば、書面契約と同様に法的に有効であり、利用がすることができます。

システム導入後に必要なもの

システム導入後に必要なもの

システム導入後に必要なものがあります。中には対応が漏れることで、ペナルティが課されるものもありますので確実に対応をしましょう。

必要なもの①:相手方への周知

電子契約サービス導入後、相手方にシステム導入の可否を確認する必要があります。しかし、相手方の中には導入に対して難色を示す場合がありますので、導入によるメリットなどを説明する必要がある点に留意が必要です。

相手方が難色を示しやすいポイントは以下の通りです。

  1. 電子契約サービス導入によるメリットがわからない
  2. 電子契約の法的な有効性がわからない
  3. 電子契約サービス導入による手間やコストが大きそう など

上述の1.2については、ここまでで記載した内容を説明すればよいです。3については、立会人型電子契約サービスを利用すれば、相手方は送られてきたメールに記載のURLをクリックするのみで、手間やコストがかからない点を説明してあげてください。

必要なもの②:法律への対応

電子契約は電子とはいえ、契約書ですので、各種税法に基づいた保存が必要です。例えば、以下の税法に基づいた書類保存が求められます。

  • 電子帳簿保存法
  • 法人税法 など

電子帳簿保存法など、要件を満たして保存をしていない旨を国税調査時に指摘された場合、青色申告の承認取り消しなどリスクがありますので必ず対応をするようにしてください。

電子契約を含む電子取引をした文書は必ず電子データとしての保存が義務化されました。電子取引した電子文書を電子保存しておらず、書面保存していた場合にもペナルティの対象となりますので注意が必要です。

まとめ システム導入時に必要なことを把握しよう

まとめ システム導入時に必要なことを把握しよう

電子契約サービスは導入することで、コストの削減など大きなメリットがあります。位一方で、相手方への導入時説明や法律への対応など、導入前後で必要なものがありますので必ず事前に確認をしておきましょう。

ぜひ電子契約サービスを導入して、契約業務の効率化を推進してください!

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