新型コロナのまん延でテレワークの導入が進み、脱ハンコ・ペーパーレス化などの取り組みも活発化しています。
この記事では、契約業務などの電子化に伴ってシェアを広げている「電子署名」の最新動向をご紹介。
国内外で高いシェア率を誇る人気の電子契約システムも紹介しているので、電子契約の導入をお考えの企業様はぜひ参考にしてみてください。
電子署名を導入する企業が急増!シェア拡大の理由とは
まずは、日本国内における電子署名・電子契約のシェア率と、急速に導入が進む背景について見ていきましょう。
また電子署名の導入によって得られるメリットなども簡単に触れていきます。
電子署名のシェア率と今後の見通し
一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)と株式会社ITRが2021年1月に実施した「企業IT利活用動向調査2021」では、電子署名のシェア率について以下のような結果が出されました。
電子契約サービス事業者の電子署名を電子契約で採用している | 17.5% |
---|---|
契約当事者の電子署名を電子契約で採用している | 14.4% |
電子署名を利用しない電子契約を採用している | 14.6% |
電子契約サービス事業者の電子署名・契約当事者の電子署名の両方を採用している | 16.0% |
電子署名を利用しているか分からないが電子契約は利用している | 4.7% |
電子契約をまだ利用していないが、利用を検討・準備中である | 17.7% |
電子契約をまだ利用しておらず、利用予定もない | 15.1% |
引用元:https://www.jipdec.or.jp/archives/publications/J0005168.pdf
電子契約を導入している企業は全体の67.2%となり、前年度調査の41.5%から大きくシェアを延ばしていることが分かります。
また電子契約の市場規模についても、2021年は176億2,000万円まで上昇する見込みとなっており、これは2020年度の売上100億7,000万円と比較して75.0%増の値です。
電子署名の導入が進んでいる理由
電子署名・電子契約のシェア率が高まっている背景として、以下のような理由が考えられます。
- 働き方改革によってテレワークの導入が普及し、自宅からでも契約締結を行える仕組みの需要が高まった
- DX(Digital Transformation)推進の一環として電子化を進める企業が増えている
- 新型コロナを契機として、不測の事態における事業継続のために電子署名が有効であることが周知された など
働き方改革やDX推進などは以前から取り組みがなされてきましたが、新型コロナのまん延によってその勢いが急加速したことは間違いないでしょう。
電子署名・電子契約の仕組みはNew Normal時代における新たな契約の形として、今後もシェア率を延ばしていくことが予想されます。
電子署名の活用で期待できるメリット・効果
電子署名の仕組みを導入することで、以下のようなメリットを期待することができます。
コスト削減
従来の書面契約では、契約書類の印刷代(プリンター・インク・用紙)や郵送代(封筒・切手)、またこれらの作業を担当する従業員の人件費などが生じていました。
一方電子契約であれば、これらのやり取りを全てオンライン上で行えることから、印刷・郵送にかかるコストの大幅な削減が可能です。
また電子契約の場合は収入印紙もかからないため、高額な契約を行う企業におけるメリットは大きいと言えます。
業務効率化
書面契約の場合、書類作成・印刷・製本・郵送といった様々な作業が伴うことから、契約締結が完了するまでに1週間以上の時間を要するケースも珍しくありません。
しかし電子契約を導入すれば、オンライン上でデータの送受信が可能となるため、最短数分程度で契約締結を完了できるようになります。
コンプライアンス強化
電子署名(デジタル署名)やタイムスタンプを用いた電子契約の場合、アクセスログや操作記録などが全て保管され、なりすまし・データ改ざんのリスクを抑えられるというメリットもあります。
またクラウド上で契約書を管理することで、災害時などでもデータ紛失・破損のリスクがなくなるため、BCP対策の面でも有効なツールと言えるでしょう。
世界・国内でシェア率の高い人気電子契約システム
続いて、国内外で高いシェア率を誇っている人気の電子契約システムをいくつかピックアップしてご紹介します。
世界トップシェア【DocuSign(ドキュサイン)】
DocuSignはアメリカ企業の「DocuSign.Inc」が提供する電子契約システムで、全世界180ヶ国・50万社以上で導入されているなど、世界トップシェアを誇ります。
44言語もの多言語に対応しており、海外企業と取引のある企業におすすめ。
またDocuSignは、Salesforce・Box・Google Driveなど350種類以上のAPI連携に対応している点も魅力です。
<料金プラン>
プラン | 料金 |
---|---|
Personal(個人向け) | $15/月 年間一括払いの場合$10 |
Standard(企業向け) | $45/月 年間一括払いの場合$25 |
Business Pro(企業向け) | $65/月 年間一括払いの場合$40 |
<契約方式・本人確認方式>
契約方式 | 立会人型 |
---|---|
本人確認 | メールアドレス認証・SMS認証・電話認証 など |
モバイル対応 | ○ |
国内トップシェア【クラウドサイン】
クラウドサインは国内トップシェアの電子契約サービスです。
法律に関するポータルサイト「弁護士ドットコム」の運営会社が提供しており、弁護士監修のもと現行の法律に合わせたシステムを利用できる点が特徴。
電子署名に必要な機能・セキュリティ対策も充実しているなど、安心して利用できるサービスとなっています。
<料金プラン>
プラン | 料金(税込) |
---|---|
Standard | 11,000円~/月 |
Standard Plus | 22,000円~/月 |
Business | 要問合せ |
<契約方式・本人確認方式>
契約方式 | 立会人型 |
---|---|
本人確認 | メールアドレス認証・アクセスコード認証 |
モバイル対応 | ○ |
大手企業でのシェア率が高い【電子印鑑GMOサイン】
電子印鑑GMOサインは国内の大手企業をはじめ、20万社以上で導入される人気の電子契約サービスです。
GMOインターネットグループが運営していることから、長期利用を想定した安定的な利用が可能。
またGMOサインは導入時・導入後のサポートが充実しており、電子署名の仕組みがよく分からないといった場合でも導入しやすい点が魅力です。
<料金プラン>
プラン | 料金(税込) |
---|---|
お試しフリープラン | 0円 |
契約印&実印プラン | 9,680円~/月 |
<契約方式・本人確認方式>
契約方式 | 当事者型・立会人型 ※当事者型の場合は相手の登録が必要 |
---|---|
本人確認 | メールアドレス認証・手書きサインによる認証・認証局による本人確認 |
モバイル対応 | ○ |
電子署名の最新動向と人気ツールまとめ
- 日本国内における電子契約のシェア率は右肩上がりで、今後も同様の傾向が続くことが予測される
- 電子署名の導入により、コスト削減・業務効率化・コンプライアンス強化といったメリットが見込める
- 世界シェアではDocuSign、国内シェアではクラウドサインがトップとなっている
グローバル対応を重視するなら世界トップシェアのDocuSign、国内での使いやすさならクラウドサインというように、企業のビジョンや事業内容に合わせたツール選びが大切です。
電子署名の導入は今後も増加していくことが見込まれるため、取り残されないためにも、今のうちから導入を検討・準備していく必要があるでしょう。