近年の日本では、コロナ禍の影響を受けて電子サインを導入する企業が増えてきています。英語圏でも同様に、電子サインのニーズは増加傾向にあります。
またアメリカやヨーロッパなど英語圏の多くの国では、コロナのパンデミック前から電子サインが活用されているのです。
そこで今回は、英語圏における電子サインの普及状況や法的効力、英語対応しているおすすめ電子サイン・電子署名サービスを詳しく紹介していきます。
英語圏での電子サインの普及状況
英語圏では電子サインが一般市民にまで普及している国も多いです。
P&S Intelligence 社による電子署名の調査によると、電子サイン最大の市場を構えている国はアメリカ。
この電子サイン大国アメリカでは、2030年までに市場規模は24.61億ドル (約2608億円) に拡大すると予想されています。
電子サインを活用するメリットとして「紙の契約書の郵送が不要」という点を上げることができますが、もともとアメリカでは書類の送受信にファックスが利用されていました。
原本となる契約書を、契約の当事者がそれぞれ印刷して署名欄に署名を施します。
署名を付与したそのページをそれぞれが相手方にファックスで送付し、原本となる契約書の署名欄に相手方のサインを付け加え、保管するという方法です。
その後デジタルサービスの普及に伴い、PDF化した契約書の署名欄をE-mailで送る方法がメジャーに。現在では、更に利便性の高い電子サインとタイムスタンプを用いた電子署名が広く普及しています。
また英語圏の多くの国では、金融サービスとデジタル技術を結びつけた「フィンテック」が先進しており、金融や行政に関わる様々な手続きや税務などにも電子サインが採用されているケースが多く見られます。
アメリカに次いで市場が大きい国はドイツで、2030年までに市場規模は8.98億ドル (952億円) まで拡大すると予想されています。
電子サインの法律的な有効性・証拠能力
現在、世界的な電子サインの普及に伴い、英語圏の多くの国で電子サインに関する法制度整備の動きが活発になっています。
その多くが、電子上における認証を法制度にて手当することにより、電子サインや電子契約、電子記録など電子上での情報処理や情報交換を効率化することを目的としています。
ここでは、英語圏の代表国としてアメリカにおける電子サインの法的効力の有無を紹介していきます。
アメリカの法律において、電子署名に関連する法律として以下の2つが挙げられます。
- 「ESIGN法」(連邦法・2000年成立)
- 「統一電子取引法(UETA)」(統一州法委員会全国会議にて1999年に制定)
それぞれ解説していきます。
ESIGN法
今から20年前の2000年6月、アメリカにおいて連邦レベルで従来の直筆の署名と同じ法的効果を持つものとして電子サインを認める「ESIGN法(Electronic Signatures in Global and National Commerce Act)」が可決されました。
ESIGN法は、連邦法としてすべての電子取引に適用されます。
当事者たちがESIGN法の基準に従って電子サインや電子契約、電子記録を行うことにより、手続きに信用が付与されます。
統一電子取引法(UETA)
「統一電子取引法(UETA)」(以下UETA)は各州がそれを州法として採用することによって法律となります。
アメリカの48州をはじめ、ワシントンDC、米国領ヴァージン諸島、プエルトリコがこのUETAを州法として採用されています。
アメリカでは判例上「電子記録(electronic record)」は書面要件を満たすと考えられており、またUETAでもそれが明確に規定されています。
ESIGN法とUETAは共通して電子サインの定義を広く捉えており、特定の形式や技術を要件とせずに、紙の書面の代替として電子サインや電子契約、電子記録の有効性や証拠能力を広義に認めています。
日本の電子サインにおいて議論となる「当事者型」や「立会人型」のような区別もありません。
またニューヨーク州やイリノイ州ではUETAを採用していませんが、ニューヨーク州は「デジタル署名法(Digital Signature Act)」にて、イリノイ州は「電子商取引安全法(Illinois Electronic Commerce Security Act)」にて根本的にESIGN法やUETAと同じスタンスが明確にされており、電子サインや電子契約、電子記録の法的効力が認められています。
電子サインを利用する前に確認しておくべき10のこと(10 Things You Need to Know Before Using an Electronic Signature)
ESIGN法とUETAを踏まえた上で、アメリカをはじめとする英語圏において「電子署名を利用する前に確認しておくべき10のこと(10 Things You Need to Know Before Using an Electronic Signature)」は以下のとおりです。
- サインは本物か、それとも単なるイメージか
Is the signature real, or just an image? - 第三者機関による電子証明書は必要か
Do you need a 3rd party security certificate? - 第三者機関による電子証明書に年間のライセンスコストを支払う必要があるか
Do you have to keep paying for the 3rd party certificate? - 署名と一緒に取得されるデータはあるか
What data is captured along with your signature? - 証拠保管の継続性や監査証跡はあるか
Is there a chain of custody or audit trail? - 何年か後に裁判をすることになった場合、契約書の法的効力が認められるか
What if you have to go to court years from now? - 改ざんされていないことをどのように証明するか
How do you know it hasn’t been tampered with? - 当事者が署名したことをどのように確認するか
How do you know the correct person signed it? - 契約書はどのように保護され、検証されるか
How are the documents protected and verified? - 文書に署名していないと相手方が主張する場合、どのように対応するか
What if someone claims they didn’t sign the document?
【英語対応】おすすめ製品とその特徴を詳しく解説
ここでは、英語圏の国を相手としたグローバル取引におすすめの電子サイン・電子署名サービスを3つ紹介していきます。
DocuSign:英語含む43言語対応
「DocuSign」は、世界180ヶ国以上で50万社を超える導入実績を持ち、世界シェアNo.1を誇る電子署名サービスです。
金融・医学など業界問わず多くの企業で使用されていることはもちろん、自治体での導入事例もあります。
DocuSignが人気である理由のひとつとして、その適用国・言語の広さが挙げられます。
英語圏をはじめ、世界180ヶ国以上に対応しているほか、DocuSign eSignatureで文書を送信するときのユーザーインターフェイスは日本語をはじめ14言語、DocuSignで署名するときのユーザーインターフェイスは43言語から選択可能です。
日本語をはじめ、DocuSign eSignatureで文書を送信する場合に選択可能な言語
英語(米国) | 中国語(簡体字・繁体字) | スペイン語 | オランダ語 |
フランス語 | ドイツ語 | イタリア語 | 韓国語 |
ポーランド語 | ポルトガル語(ブラジル) | ポルトガル語(ポルトガル) | ロシア語 |
またDocuSignは各国の電子署名関連の法律にも準拠しているため、それぞれの国で安全を保証しながら使用することができます。
更にISO27001:2013の認定を筆頭に、世界水準のセキュリティが担保されている点も評価されており、現時点(2022年2月)において最高レベルに厳しいグローバルセキュリティ基準を満たしています。
また世界基準のセキュリティ担保のために、DocuSignは改善・改良を常に実施しているのです。
Adobe Sign:英語含む34言語対応
Adobe社は新型コロナウイルス流行を機にアメリカ・シアトル市と協力して、電子文書や電子サインでリモートワーク環境構築を支援するなど、電子サイン普及に向けた動きも目立つ企業です。
このAdobe社が提供する電子契約サービス「Adobe Sign」は、英語圏で広く使用されているAdobe社の他製品やPDFとの親和性の高さが評価されています。
対応言語は、送信者・受信者ともに日本語・英語を含む34言語から選択可能。
またAdobe社の調査によると、Adobe Signの利用率は2020年1月から2021年1月までの1年間で前年比220%に増加しています。
電子印鑑GMOサイン:日本語と英語対応
「国内企業をメインとしながら英語圏の企業とも取引がある」という場合は、国内での知名度と信頼が最も高い「電子印鑑GMOサイン」がおすすめです。
対応言語は日本語と英語のみですが、日本企業を主として英語圏の企業との取引がある場合は問題なく使用することができます。
また電子印鑑GMOサインは現在、インドなど英語圏以外の国にもサービスを提供していることで注目を集めている電子サインです。
記事まとめ
今回は、英語圏における電子サインの普及状況や法的効力、英語対応している電子サイン・電子署名サービスを詳しく紹介しました。
英語圏の多くの国では、コロナ流行前から電子サインが活用されています。
今回紹介した「DocuSign」「Adobe Sign」「電子印鑑GMOサイン」は、いずれも日本語・英語に対応しています。
コロナ禍の影響を受け、日本でも多くの企業が電子サインを導入しているため、英語圏との取引がある企業は電子サインを上手く活用することで業務の効率化を図ることができます。