【2022/5改正法後まとめ】電子契約対象外の契約書類とは 文書名一覧も紹介
【2022/5改正法後まとめ】電子契約対象外の契約書類とは 文書名一覧も紹介

電子契約化できない対象外の契約書とは 具体的に文書名も解説!

「2022/5以降、電子契約化できない契約書とは?」

と疑問に感じていませんか。

2022/5に全面解禁されたデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律により、これまで電子契約化ができない書類が多かった不動産業界において、ほぼすべての契約書の電子契約化が可能になりました。

一方で2022/5以降も一部の書類は電子契約の対象外ですので、確認が必要です。一部の書類は電子契約の対象外ですので、確認が必要です。

当記事では、2022/5以降に電子契約化が可能になった書類、2022/5以降も変わらずに電子契約化対象外の書類、電子契約化の対象外ではないけれど一部制限がある書類を解説します。

目次

2022/5の法改正でほぼすべての契約書が電子化可能になった

2022/5の法改正でほぼすべての契約書が電子化可能になった

2022/5の法改正の全面施行でほぼすべての契約書の電子契約化が可能になりました。以下では2022/5以降の電子契約可能な契約書の状況を解説します。

そもそも、契約書は電子契約化可能?

書面契約を電子契約化しても大丈夫なのでしょうか。結論、法的に問題なく、書面契約と同様に法的効力を持たせることができます。

そもそも、契約は民法522条に2項に記載の契約方式の自由によりいかなる形式でも成立します。

2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。

したがって、もちろん電子契約も法的に有効に成立します。しかし、ここで契約が成立することと、訴訟時に証拠書類として利用できることは別問題である点に注意が必要です。

民事訴訟法228条2項には以下の記載があり、訴訟時に証拠書類として利用するためには文書の真正性の確保が必要なことがわかります。

文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。

では、電子契約はどのように文書の真正性を確保しているかというと電子署名を付与することで真正性を確保しているのです。その旨が電子署名法3条から読み取れます。

電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。

以上から、書面契約を電子契約化したとしても、法的に有効で、かつ、係争時の証拠として利用できることがわかります。

2022/5にほぼすべての契約書の電子契約化が可能になった

書面契約と同様に利用ができる電子契約ですが、2022/4以前まで、一部の業界の契約書は電子契約化の対象外でした。特に不動産業界における契約書は宅建業法上などで書面契約が義務付けられていたため、電子契約の活用が進んでいなかったのです。

しかし、2021/9にデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律の改正を含むデジタル改革関連法案が施行されたことで、2022/5には不動産業界などにおける複数の契約書の電子契約化が可能になりました。

結果、ほぼすべての契約書の電子契約化が可能になっています。電子契約化可能な文書例は以下の通りです。

  • 売買契約書
  • 秘密保持契約書
  • 注文書・注文請書
  • 代理店契約書
  • 労働者派遣契約書
  • 雇用契約書
  • 取引基本契約書
  • フランチャイズ契約書
  • 業務委託契約書
  • 委任契約書
  • 請負契約書 など

一部、電子契約化対象外の契約書は残る

とはいえ、ごく一部の契約書の電子契約化は未だ対象外です。逆に言えば、ごく一部の電子契約化対象外の文書さえ押さえておけば、安心して電子契約サービスを活用できますので、対象外の文書をしっかりと押さえておきましょう。

電子契約の利用が対象外の契約書一覧

電子契約の利用が対象外の契約書一覧

電子契約の利用が対象外のごく一部の契約書を紹介します。電子契約が対象外の契約は以下の通りです。

対象外の文書名対象外の文書の根拠法令
事業用定期借地契約借地借家法23条
企業担保権の設定又は変更を目的とする契約企業担保法3条
任意後見契約書任意後見契約に関する法律3条

上記の契約はいずれも公正証書によって契約を締結する必要が法律上あるため、電子契約の利用が対象外です。

  • 事業用定期借地契約
  • 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約
  • 任意後見契約書

公正証書とは判官や検察官、法務局長などを永年勤めた選ばれた法律の専門家(公証人)によって作成された公文書です。

公正証書は規制改革推進会議により電子化の範囲や時期について現状、検討が進んでいる状況であるため、現状は電子契約の対象外といえます。

電子契約化の対象外ではないが制限が残る契約書

電子契約化の対象外ではないが制限が残る契約書

電子契約化の対象外ではないが、電子契約化する際に一部制限がある契約書があります。

電子契約化に承諾が必要

以下の契約書は電子契約化の際に相手方からの承諾が必要です。

文書名根拠法令
建設工事の請負契約書建設業法19条3項、施行規則13条の2
設計受託契約・工事監理受託契約の重要事項説明書建築士法24条の7第3項
設計受託契約・工事監理受託契約成立後の契約等書面建築士法24条の8第2項
下請会社に対する受発注書面下請法3条2項
不動産売買・交換の媒介契約書宅建業法34条2第11項、同12項
不動産売買・賃貸借契約の重要事項説明書宅建業法35条8項、同9項
不動産売買・交換・賃貸借契約成立後の契約等書面宅建業法37条4項、同5項
定期借地契約書借地借家法22条2項
定期建物賃貸借契約書借地借家法38条2項
定期建物賃貸借の説明書面借地借家法38条4項
取壊予定建物の賃貸借契約における取壊事由書面借地借家法39条3項
マンション管理業務委託契約書マンション管理適正化法72条6項、同7項、73条3項
不動産特定共同事業契約書面不動産特定共同事業法24条3項、25条3項
投資信託契約約款投資信託及び投資法人に関する法律5条2項
貸金業法の契約締結前交付書面貸金業法16条の2第4項
貸金業法の生命保険契約等に係る同意前の交付書面貸金業法16条の3第2項
貸金業法の契約締結時交付書面貸金業法17条7項
貸金業法の受取証書貸金業法18条4項
割賦販売法の契約等書面割賦販売法4条の2、割賦販売法35条の3の8・同条の3の9第1項、同3項
旅行契約の説明書面旅行業法12条の4、12条の5、施行令1条等

建設工事の請負契約・下請との発注契約は関連業務が多いことから取引文書量も多く、かつ、印紙税に係るコストも高いです。この印紙税を削減できるだけでも、大きなコストメリットをうめるでしょう。

したがって、印紙税を削減できる関連契約書を電子契約化した場合のコストメリットが非常に大きいです。

印紙税は書面契約であると課税されますが、電子契約の場合、印紙税は非課税ですので、印紙税の節税をするのであれば電子契約の活用ができます。

したがって、相手方の承諾が電子契約化に必要であるものの、承諾さえ得れば電子契約化、印紙税の節税をすることができますので、積極的に電子契約化を進めていくことをおすすめします。

電子契約化に希望が必要

以下の契約書は電子契約化する場合には相手方の希望が必要です。

文書名根拠法令
労働条件通知書面労働基準法15条1項、施行規則5条4項
派遣労働者への就業条件明示書面派遣法34条、施行規則26条1項2号

労働条件通知書や派遣労働者への就業条件明示書面は相手方の希望を確認してから、電子契約化する必要があります。

承諾と比べると相手方からの希望をもらうというのは少し難易度が高いようにも感じられますが、さほどハードルは高いものではないと考えています。

なぜなら、スマートフォンが普及して書面の管理を電子上で行うことに慣れている労働者からすると、契約書も電子上に残したいとの希望がでやすいのは想像に難しくないからです。

電子契約サービス導入のメリット

電子契約サービス導入のメリット

一部電子契約の対象外の契約書があるものの、ほぼすべての契約書を電子契約化可能です。では、電子契約化するとどのようなメリットがあるのか以下では解説します。

契約書1通あたり2,500円のコスト削減が見込める

電子契約サービスを導入することで以下のコスト削減効果を見込めます。

  • 印紙税の削減
  • 書面契約の作成・郵送・管理コストの削減
  • 監査コストの削減 など

電子契約サービスで世界No1シェアのDocuSignを導入したソフトバンク株式会社では、印紙税の削減も含め、契約書類1通あたり2,500円のコスト削減効果があったと公表しています。

この事例からもわかる通り電子契約サービス導入によるコストメリットは大きいといえるでしょう。

法対応が容易

電子契約は電子とはいえ、契約書ですので各種税法に基づいた保存が必要です。例えば電子契約は相手方と電子上で契約書をやり取りしますので電子帳簿保存法電子取引要件を満たした保存が求められます。

電子帳簿保存法電子取引要件は以下の通りです。

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け
  • 見読可能装置の備付け等
  • 検索機能の確保
  • 真実性の確保

この中でシステムに求められる機能は以下の2つの要件に対してです。

  • 検索機能の確保
  • 真実性の確保

電子契約サービスであれば、システム上で主要三項目(取引年月日、取引先日付、取引金額)の文書検索が可能な上、文書にタイムスタンプを付与できるサービスが多いですので、電子帳簿保存法電子取引要件に容易に対応ができます。

Excelなどの自作した電子契約の場合、電子契約サービスのように工数をかけることなく簡単に法対応をするのが難しいので、この点が大きなメリットといえるでしょう。

契約業務を即日で完結できる可能性がある

立会人型の電子契約サービスを利用すると契約締結用のURLが記載されたメールを相手方に送付するのみの方法で契約締結が完了できますので、取引のリードタイム短縮を期待できます。

取引の中には契約締結まで3週間程度かけるものも多いかと思いますが、電子契約サービスを利用すれば最短で即日契約業務が完了できる点にメリットがあるといえるでしょう。

電子契約サービス上には契約書のテンプレート登録、文書の一括送信、顧客別ステータス管理、ワークフロー機能など、契約業務関連を効率化する多数の機能を搭載していますので、リードタイムを短縮しつつ、契約業務も効率化ができます。

まとめ 対象外の書類を把握しておこう

まとめ 対象外の書類を把握しておこう

2022/5の不動産業などにおける契約書の電子契約化が解禁されたことで、大部分の契約書が電子契約化可能になりました。一方で依然として電子契約化対象外の契約書は残りますので注意が必要です。

電子契約化が対象外の契約書は非常に少数です。したがって、一度対象外の契約書を確認すれば、安心して電子契約サービスの導入を進められるでしょう。

対象外の契約書を把握したうえで電子契約サービスを導入し契約の関連業務を効率化してきましょう!

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